日本語字幕付き。ゲルギエフ渾身のプロコフィエフ“セミヨン・コトコ”[映像作品]
日本語字幕付。ゲルギエフはプロコフィエフのオペラに並々ならぬ情熱を注いでいますが、不遇の作品「セミヨン・コトコ」を再録音しました。1999年にウィーン・コンツェルトハウスで録音されたフィリップスCDとほぼ同じ歌手陣を起用しながら、今回はブルーレイ+DVD 各1枚同封、日本語字幕付きと何から何までパワーアップしての発売です。
「セミヨン・コトコ」は1939 年、プロコフィエフのソ連帰国後の作で、初のソヴィエト・オペラ。当時プロコフィエフはソ連政府に請われて帰国しながら、期待と裏腹の微妙な立場となり、起死回生を狙い必死でした。
当時話題となっていたカターエフの小説「私は労働者の息子」を題材に、華やかな舞踏会や上流階級の優雅な生活といったオペラの定石を排し、労働者やパルチザンの汗臭い生活を描きます。イデオロギー色全開で、純真な人々と憎き敵との衝突が展開の軸となっていますが、プロコフィエフの個性的すぎる音楽が「ソヴィエト人民の英雄的闘争を描くのに不適切」と激しく批判され、結局演目からはずされ今日に至っています。
革命直後、ソ連内戦時のウクライナが舞台。前線から帰郷した若き砲兵セミヨン・コトコがソフィヤとの婚礼の最中、ドイツ兵が乱入して皆を捕えます。セミヨンは逃げてパルチザンとなります。ソフィヤの父は娘を地主に嫁がせますが、セミヨンは教会を襲撃しソフィヤを助けるもののドイツ兵に捕われてしまいます。処刑されそうになるものの、同志たちに救われます。
曲の素晴らしさを理解しようとせず、失敗作として採りあげられないことにゲルギエフは義憤を覚え、再評価に力を注いているとのこと。たしかに「戦争ソナタ」で知られるピアノ・ソナタ第6番から8番と同時期の作で、プロコフィエフの技法が頂点に達していた円熟期の確かな筆致は駄作であるはずなく、プロコフィエフならではの実験性と才気煥発ぶりを再認識できます。日本語字幕付なのもうれしい限り。
ゲルギエフ入魂の演奏は息をのむ充実感。歌手陣もロシア映画のような役者ぶりを見せ、プロパガンダ作品とわかりながら感動で涙を禁じえない世界を作り上げています。
(キングインターナショナル)
【収録曲目】
プロコフィエフ
歌劇「セミヨン・コトコ」Op.81
【演奏】
セミヨン・コトコ:ヴィクトル・ルツューク(テノール)
ソフィヤ:タチヤナ・パヴロフスカヤ(ソプラノ)
ソフィヤの父:ゲンナジー・ベズズベンコフ(バス)
フローシャ:ワルワラ・ソロヴィヨワ(メゾソプラノ)、
村長レメニュク:エフゲニー・ニキーチン(バス)
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
マリインスキー劇場管弦楽団&合唱団
【演出】
演出:ユーリ・アレクサンドロフ
映像監督:アンナ・マティソン
【収録】
2013年、サンクトペテルブルク、マリインスキー第2劇場
(DVD+Blu-Ray)
リージョン:All
画面:NTSC 16:9
音声:2.0 PCM STEREO、DTS5.1HD 48kHz/24bit
字幕:日露英仏独西
収録時間:約148分
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年08月21日 22:06