ギャヴィン・ブライヤーズ指揮のライヴ盤登場!自作、スケンプトン、そして、ペルト。
イギリスの実験的作曲家、ギャヴィン・ブライアーズ(1943-)は、師でもあるジョン・ケージやフィリップ・グラスと同じように、クラシックの現代音楽の世界よりも、ニューエイジ・ミュージックの作曲家としてより親しまれているようです。
その理由としては、若き日の彼が、デヴィッド・ボウイと組んでロックの世界で活躍していたブライアン・イーノの世話になっていたためでしょう。ブライアーズの事実上のデビュー作で、世界的なヒット作となった“タイタニック号の沈没”の音盤は、イーノが興したオブスキュア・レーベルからリリースされました。
もう一つの理由としては、いわゆるバリバリの現代音楽関係者からの反発が考えれらます。曰く、作風が甘い、抒情性に傾き過ぎている。でも、なにもハードボイルドであることだけが、コンテンポラリー・ミュージックの作法というわけではありますまい。ブライアーズの音楽がもつ、あの夢の世界に入り込んでしまったかのような独特の浮遊感、幻惑感には抗し切れない魅力があるのです。
自らの音楽を「進行中の作品」と認識しているブライアーズは、一つの名前を与えられた作品といえども、同じように演奏・録音することは決してありません。それは優れた演奏家が、前回とまったく変わり映えのしない演奏を漫然と繰り返したりはしないように、彼にとっては自明のことわりなのでしょう。音楽の専門教育を受けたことがなく、むしろジャズのベース奏者として即興演奏を楽しんでいたブライアーズが、新大陸に渡って自らの使命に目覚めたのは24歳のとき。70歳を過ぎた彼は、今度は南半球に渡って音楽祭を仕切り、自主レーベルも立ち上げて、若いアーティストを育てる仕事に邁進しているようです。40年前に、ブライアン・イーノが彼にしてくれたように。
(タワーレコード)
アデレード・タウン・ホール ~ ブライヤーズ、スケンプトン、ペルト:管弦楽作品集
ギャヴィン・ブライヤーズが指揮を執ったオーストラリアのアデレード交響楽団。2015年のアデレード芸術祭ライヴ録音が、ギャヴィン・ブライヤーズの自主レーベル「GB Records」から登場。
自作自演となるブライヤーズの作品に、ハワード・スケンプトン、アルヴォ・ペルトの作品は、いずれも精妙に管弦楽の綾が積み上げられた濃密な作品。コンサート・マスターは、アデレード交響楽団で初の女性リーダーとなったヴァイオリニスト、吉本奈津子。
(東京エムプラス)
【収録曲目】
スケンプトン:レント
ブライヤーズ:ポラッツィ・フラグメント
ペルト:もしバッハが養蜂をしたら
ブライヤーズ:歌劇「G」より エネリーナのアリア、エピローグ
【演奏】
ギャヴィン・ブライヤーズ(指揮)
アデレード交響楽団
【録音】
2015年3月4日、アデレード・タウン・ホール、ライヴ
ギャヴィン・ブライヤーズ:ナッシング・ライク・ザ・サン
アデレード芸術祭ライヴの第2部は、2007年にロイヤル・シェイクスピア・カンパニーとオペラ・ノースに委嘱された、シェイクスピアのソネット集。
同じ詩が朗読版と歌版で2回ずつ繰り返されており、朗読と歌では伴奏も別々に作曲されている。
(東京エムプラス)
【収録曲目】
ブライヤーズ
ナッシング・ライク・ザ・サン
【演奏】
ペイイー・チェン(ソプラノ)
ジョン・ポッター(テノール)
ギャヴィン・フライデー(スピーキング・ヴォイス)
アナ・コールマン(クラリネット)
ジェームズ・ウッドロウ(ギター)
レベッカ・ラゴス(パーカッション)
ローランド・ピールマン(ピアノ)
モーガン・ゴフ(ヴィオラ)
イマンツ・ラーセンズ(ヴィオラ)
ニック・クーパー(チェロ)
ギャヴィン・ブライヤーズ(コントラバス)
【録音】
2015年3月3日、アデレード、エルダー・ホール、ライヴ
イ・タッティ・マドリガルズ
「タイタニック号の沈没」で知られるイギリスのコンポーザー=コントラバシスト、ギャヴィン・ブライヤーズの自主レーベル「GB Records」。
GB Recordsの最新作は、ハーバード大学のイタリア・ルネサンス研究所Villa I Tatt(i ヴィッラ・イ・タッティ)の委嘱による、ギャヴィン・ブライヤーズのマドリガル集。
歌うのは、ドイツの人気ヴォーカル・アンサンブル、ジンガー・プア。ジンガー・プアのために書かれた、イタリア・ルネサンスの精神による美しきマドリガルをどうぞ。
(東京エムプラス)
【収録曲目】
ブライヤーズ
マドリガル集第5巻(2009-2013)
マドリガル集第4巻(2004)より*
【演奏】
ジンガー・プア
プリスカ・エセル(ソプラノ)*
アンドレアス・ペール(カウンターテナー)*
【録音】
ミュンヘン
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年09月19日 00:00