テンシュテット&LPOとルネ・コロのジークムント!~“ヴァルキューレ”第1幕
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団のアーカイヴ録音から、テンシュテットの「ヴァルキューレ」第1幕のライヴ録音が初登場!これは、2005年から始動したLPO自主制作CDシリーズにおける、テンシュテットの第16番目のリリースとなります。
冒頭の嵐の場面から、ぞくぞくするような緊張感と期待に満ちた音が炸裂。ワーグナーを得意としたテンシュテットの面目躍如といった息詰まる演奏で幕を開けるこのアルバム、一旦は病でLPOの音楽監督を退くも、治療を行いながら演奏を続けたテンシュテットの執念とも思える迫力に満ちた音に満たされています。曲が終わっての満場の拍手も熱烈です。
ジークムント役には、1970年にバイロイトで「さまよえるオランダ人」のエリックを歌い注目された後、最高の“ヘルデンテノール”として世界各地の劇場でワーグナーを歌ってきたルネ・コロ、ジークリンデ役には「オランダ人」のゼンタや「タンホイザー」でヴェーヌスを歌い好評を博したエヴァ=マリア・ブントシュー、フンディング役には、バイロイトに18シーズン連続登場という重鎮ジョン・トムリンソンを起用。スリリングかつ濃密な人間模様を描き出しています。
(ナクソス・ジャパン)
1952年の東独ハレ歌劇場から指揮者人生のスタートを切ったテンシュテットは、客演先のスウェーデンで亡命に踏み切るまで、旧東ドイツの歌劇場のシェフを4つも歴任した典型的なヨーロッパのオペラ指揮者でした。その音楽づくりもフルトヴェングラーやクレンペラーに比されたように、極めてドラマティックなもので、優雅さとはほど遠いその指揮姿は時に何かに憑かれたように、なりふり構わぬ熱狂に支配されたのです。そのためブルックナーよりもマーラーが評判となり、何よりも得意としていたのはワーグナーの音楽でした。
テンシュテットは誰もが認めるワーグナー指揮者でしたが、寡聞にして彼がワーグナーのオペラを指揮した録音が残っていることを知りません。少なくとも旧EMIには、いかなるオペラの全曲録音も行なわなかったはずです。ロンドン・フィルとは相思相愛の仲だったのに、ドイツのオーケストラとは悶着ばかり起こしていたことがわざわいしたのでしょうか。せめて1983年のメットでの「フィデリオ」を録音しておいて欲しかった。テンシュテット・ファンはベルリン・フィル、ロンドン・フィルと残した管弦楽名曲集の録音で渇きを癒すしかなかったのです。そこにこの驚くべき記録が登場と相成りました。これを聴かずにはおれません。
チェーンスモーカーだったテンシュテットは1985年に喉頭癌に冒され、長く苦しい闘病生活と指揮台への復帰を繰り返しました。その闘いを終えたのは1998年1月12日。まだ71歳でした。
(タワーレコード)
【収録曲目】
ワーグナー
楽劇「ヴァルキューレ」第1幕
1. 序曲
2. いったい誰の家だ?でも、とにかく休まねば
3. あなたが傷を治してくれた男は不幸な男・・・
4. この人は疲れ切ってかまどの前に横たわっていました
5. フリートムントとは申せません
6. そんなにも悲惨な運命に定められたとは
7. わしは野蛮な一族を知っている
8. 父さんが話していた剣
9. お客様・・・寝ておいでですか
10.冬の嵐は喜びの月の前に
11.あなたこそ春
12.ああ、甘い歓び!すばらしい人
13.ヴェルゼがあなたの父親で
14.さあ、ヴェルズング族のジークムントをご覧ください
【演奏】
ジークムント…ルネ・コロ(テノール)
ジークリンデ…エヴァ=マリア・ブントシュー(ソプラノ)
フンディング…ジョン・トムリンソン(バス)
クラウス・テンシュテット(指揮)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
【録音】
1991年10月7日・10日、ロンドンサウスバンク・センター、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール、ライヴ
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年10月03日 16:45