ピリオド楽器による驚愕のチャレンジ!~『ロト&レ・シエクル:リゲティ作品集』
毎回思いもよらぬ企画で、音楽ファンの度肝を抜く奇才指揮者フランソワ=グザヴィエ・ロト。今回は何とリゲティをとりあげました。1923年に生まれ、2006年に歿したリゲティは、今年が歿後10年のまさに現代作曲家。それをピリオド楽器集団のレ・シエクルで演奏するというのが常人には思いつかない発想です。
収められた3篇のうち2つは木管五重奏のための室内楽曲。このジャンルで重要なレパートリーとなっていますが、ピリオド楽器による演奏はもちろん初めて。レ・シエクルのメンバーであるマリオン・ラランクール(フルート)、エレーヌ・ムロ(オーボエ)、クリスティアン・ラボリ(クラリネット)、ミカエル・ロラン(バソン)、ピエール・ルジェリ(ホルン)の五重奏ですが、まず木管楽器の音色の違いに驚かされます。ことにバソンとホルンは、今や絶滅寸前の19世紀的なフレンチ・サウンドを聴かせ、同曲の印象ががらりと変わります。
さらに興味津々なのが、ロトの指揮する「室内協奏曲」。13人の奏者のための作品で、各奏者の力量とアンサンブルの難しさで知られます。リゲティならではの猟奇的な音楽が繰り広げますが、パステル画のような明るい音色でとっつきにくさや難解さは皆無。むしろあっと言う間の18分を味わえます。
これを聴かずにリゲティは語れません。ロトとレ・シエクルの企画力と実力の脱帽。目が離せません。
(キングインターナショナル)
【収録曲目】
リゲティ
6つのバガテル(1953)~木管五重奏のための
室内協奏曲(1970)
10の小品(1968) ~木管五重奏のための
【演奏】
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
レ・シエクル
【録音】
2016年4月12-14日、メジャン礼拝堂、アルル、ライヴおよび、シテ・ド・ラ・ミュジーク、パリ、ライヴ
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年11月12日 00:00