グラント・グリーン(Grant Green)重要ライヴ2作品『Funk in France』『Slick!』が〈Resonance Records〉より登場
69年パリ、70年アンティーブ王道ジャズからファンクの道に進む軌跡を明らかにする重要音源!Souliveもコピーしたという「Up Shot」2versionを含む後世にも大きな影響を与えたグリーンの重要ライヴ!
国内仕様盤:日本語帯解説書付き 英文解説完全翻訳ブックレット
Funk in France: From Paris to Antibes (1969-1970)
本作では、1969年10月26日のパリORTF(フランス放送協会)のスタジオでの録音と、1970年6月18日、20日の南仏アンティーブ・ジャズ・フェスティヴァルの音源をカップリングして収録。テープの元はINA( フランス国立視聴覚研究所) のもので、アンティーブの録音も、とてもライヴとは思えない音質に驚きますが、さらに驚くべきは、やはり、この演奏でしょう。
69 年のパリ録音では、オープニングからジェームス・ブラウンのヘヴィ・ファンクな演奏が飛び出す一方、ロリンズの“オレオ”“ソニームーン・フォー・トゥ”あり、M4のようなブルーズあり、ここでは、シングル・トーンを中心にホーン・ライクな演奏を見せるグラント・グリーンの姿や、レイドバックした演奏を見せる姿があります。また、バーニー・ケッセルが参加してのギターの演奏はシャンソン歌手、シャルル・トレネの曲を演奏するなど、フランスでの演奏らしく、また、ポップなナンバーも得意としたこの時期らしいグラント・グリーンのリラックスした演奏がなんとも魅力的です。
それに対して、70年のアンティーブ・ジャズ・フェスの音源は、パリの演奏から一年足らずとは思えない“ファンク色の濃厚な演奏”。しかも、7月18日、20日の演奏の中から、名曲“アップショット”は2 ヴァージョンを収録!この曲は、69 年にブルーノートからリリースされた作品『Carryin' On』に収録されていた楽曲で、90 年代のムーヴメントJam Band ブームも巻き起こしたSoulive もコピーして夢中になって演奏したという、グラント・グリーンのファンク・クラシック。このライヴ・ヴァージョンを掘り起こしたということもニュースなら、異なる2ヴァージョンを収録するというのは、〈如何にもResonance!〉らしい粋な構成!
Resonanceらしく、解説も超豪華。マイケル・カスクーナ、当時を知るINA のスタッフに加え、Souli ve のギタリスト、エリック・クラズノー、そして、あのドクター・ロニー・スミスもインタビューに答えるという感涙ものの構成になっています
Slick! - Live at Oil Can Harry's
本作は、後期のグラント・グリーンの真価を明かす一作。オープニングは、ジャズ・ギターのルーツを垣間見せるようなチャーリー・パーカーのナンバーからスタート。続く、カルロス・ジョビンの“ハウ・インセンシティヴ”は、『ファンク・イン・フランス』でも聴かれるナンバー。しかし、間違いなく、演奏は5年後のもの。グルーヴするリズムに、エレピと共に刻まれるカッティングと、ギター・ソロは、よりファンクな演奏にシフト!特に、20~21分すぎたあたりからの演奏はR&Bの鼓動を感じさせます。
しかし、なにより聴きものは、31分に及ぶ、ソウル・メドレー!スタンリー・クラークの“ヴァルカン・プリンセス”、オハイオ・プレイヤーズの“スキン・タイト”、ボビー・ウーマックのソウル・クラシックス“ウーマンズ・ガッタ・ハヴ・イット”、スティーヴィー・ワンダーの“ブギー・オン・レゲエ・ウーマン”、そしてオージェイズの“フォー・ザ・ラヴ・オブ・マネー”・・・これらのR&B 名曲を怒涛の勢いでソウルフル&ダンサブル(時々メロウ・・)に演奏するバンドの演奏は正に圧巻!
本ライヴ音源は、現在知られるグラント・グリーンの最後のライヴ録音として非常に貴重。というのも、日本はもとより、世界全般においても、今までリリースされてきた後期のグラント・グリーン作品は、ややもすればイージーといわれることもあったものですが、ライヴでの演奏は、同時代のスタジオ作品とは全く違っていたことがここで証明されるのです。ライヴ作としては、72年の『ライヴ・アット・ザ・ライト・ハウス』から3年後になるわけですが、このメドレーの熱さといったら、別格!ベースが創りだすウネリ、キーボードが刻むバッキングに絡みついて応酬するグラント・グリーン!!60 年代後半から切り拓いた道が一本の筋となって展開されていく様に、溜飲が下がる感もあります。
エレピを弾くのは、現代のヒップホップのシーンにおける最重要人物の一人であるカリーム・リギンズの父上であるエマニュエル・リギンズ!現代シーンへの遺伝子のつながりも興味をそそってやみません。