ザ・シー・アンド・ケイク(The Sea and Cake)、6年振りのアルバム『Any Day』
photo by Heather Cantrell
6年振りの新作アルバムは、サム・プレコップ、ジョン・マッケンタイア、アーチャー・プルウィットの3ピースとなって初のリリース作で、サムのヴォーカルにフォーカシングした、近年では最も歌心溢れる、爽やかでエレガントなポップ・ソング集となった。
今やブライアン・ウィルソンの作品には欠かせない存在(2016年の“ペット・サウンズ 50周年アニバーサリー” ツアーでは音楽監督)となったポール・マーテンズが久々に(2000年のアルバム『oui』以来)ゲスト参加して、アレンジを彩り、ユーフォン(Euphone)名義での活動でも有名なニック・マクリ(Thrill Jockeyからもリリースしていたザ・ジンクスのメンバーでもあった)がダブル・ベースで参加している(その他の曲のベースはジョン・マッケンタイアが担当)。
ジョンのドラミングは初期の作品群に匹敵するほど軽快かつ緻密に、これまでは控えめだったアーチャーのギター・エフェクトが非常に効果的に使用されており(サムのギターとのアンサンブルも素晴らしい)、最小限の編成ながら今まで以上に多彩なアレンジに聞こえる工夫がなされている。
3月に発売されたばかりのヨ・ラ・テンゴの最新アルバム『There’s a Riot Going On』のミックスでもその手腕を発揮したジョンのエンジニアリングは冴えわたり(レコーディングはシカゴとジョンが移り住んだLAで行われた)、繊細でオーガニックなサウンドと、流麗かつメランコリックなメロディーが今まで以上に絶妙にブレンドされた、ザ・シー・アンド・ケイクにしか創り出せないオリジナリティ溢れる傑作アルバムが完成した。
彼らの正統な継承者ともいえるリアル・エステイト、影響を公言しているキング・オブ・コンビニエンスのEirik Glambek Bøe率いるKOMMODEのファンには堪らない、シャム・キャッツやミツメのファンにも聴いてほしい、捨て曲なしの珠玉のギター・ポップ・アルバム。
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掲載: 2018年05月29日 10:57