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ニューオーリンズのブルース・ギタリスト/シンガー、ウォルター・ウルフマン・ワシントン最新アルバム『My Future Is My Past』

Walter 'Wolfman' Washington

1960年代初期からニューオーリンズの音楽シーンで活躍を続ける、ブルース・ギタリスト/シンガー、ウォルター・ウルフマン・ワシントン。今年74歳となる彼が、ANTI-レコーズと契約、移籍第一弾となるフル・アルバム『MY FUTURE IS MY PAST』をリリースする。

10代からミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせていたという、ウォルター・ウルフマン・ワシントン。彼は、豊かな音楽的土壌を持つニューオーリンズの地で、リー・ドーシー、ジョニー・アダムス、アーマ・トーマスといった彼の地を代表するアーティスト達のバック・ミュージシャンとして腕を磨き、70年代後半からは自身のバンド、ザ・ロードマスターズを率い、ライヴを行うようになり、1980年代からはソロ・アルバムもリリースしている。

その彼にとって、2008年の『DOIN' THE FUNKY THING』に続く、何と約10年振りとなる新作スタジオ・アルバムとなるのが、本作『MY FUTURE IS MY PAST』である。本作での彼は、リー・ドーシーなどのバック・ミュージシャンを務めている時とも、ザ・ロードマスターズを率いている時とも違った面を見せている。本人曰く、より曲に注意を払う必要があったという。「バンドと一緒にやっている時は、サウンドを叩き出さなければと思うが、1人の場合、自分が出す音や発音などに気を払わなきゃならない。さらに、魂を注ぎ込み、気持ちを込めなきゃいけない。曲の一つ一つは、それぞれ物語になっている。その中で起こっていることを実際に思い浮かべることができるんだ。だから俺は、それぞれの曲のシチュエーションに自分の意識を合わせていった」

例えば、「Lost Mind」、「Save Your Love For Me」、「What A Difference A Day Makes」などは、繊細で心に沁みるようなナンバーだが、これらには、ウォルターのジャズ好きな面が反映されているという。「『What A Difference A Day Makes』は、ハッピーな曲なんだ。特別な気分にさせてくれる誰かを見つけた時のこと、毎日がその日の自分の気分を表しているということ、そしてその日は特別なものに感じるだろうってことを歌っている。この曲は、1960年代、AFB(All Fools Band)にいたとき演奏していたものだ。本物のミュージシャンの世界ではジャズが溢れていた。俺はそんなミュージシャンたちの多くがまだ演奏していた最後の時代にシーンに加わり、彼らの多くと会うことが出来た。彼らと演奏するのは楽しかったよ。ビッグ・ジョー・ターナーとかの錚々たる連中たちとね。彼らと演奏できるのは、舞い上がるような出来事だった。そんな彼らが演奏していたのが、これらの曲だったのさ」

ニューオーリンズの騒々しさと洗練された部分の両方を体現している、ウォルター・ウルフマン・ワシントン。同郷の輩であるギャラクティックのベン・エルマンがプロデュースを手掛け、アーマ・トーマス、イヴァン・ネヴィル、ジョン・クリアリーといった、やはりニューオーリンズを代表するアーティストたちがゲストとして参加した本作『MY FUTURE IS MY PAST』には、その地で育まれたウォルターの全てが詰まったアルバムである。

掲載: 2018年06月25日 17:41

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