10月19日更新:『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』50周年記念エディション発売記念、 マスターズ・チョイス ビートルズ・スペシャル!毎日更新!
初めて全編をオリジナル楽曲で構成したサード・アルバム
The Beatles『ハード・デイズ・ナイト』
ジャケの顔芸を眺めて、<ダントツでポールが面白いなぁ>と思ったのは遥か昔の学生時代……ブルースやR&B楽曲のカヴァーでキャリアをスタートした彼らが作るオリジナル楽曲は、最初からとんでもないクォリティーだったが、初めて全編をレノン-マッカートニーによるオリジナルで構成したサード・アルバムである本作は、彼らの天才性を改めて叩き付ける。全米制覇を成し遂げ、<ブリティッシュ・インヴェイジョン>を巻き起こした喧噪の最中に撮影された映画「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」のサントラという体裁の本作では、極端な多忙のため僅か数日のレコーディングという状況のなかで、信じられない名曲が量産されている。 “A Hard Day’s Night”“And I Love Her”“Can’t Buy Me Love”といった誰でも歌えるクラシックの凄さは何度賞賛しても足りない。“I’m Happy Just To Dance With You”での、8ビートのなかでかき鳴らされるジョンの猛烈な16ビートのギター、“Can’t Buy Me Love”に込められた強烈なメッセージ、“If I Fell”の転調を多用した複雑な曲調とジョン&ポールの息の合ったハーモニー、“Tell Me Why”でのジョンの多重録音による3声コーラス、ジョージ・マーティンのメロウなピアノ、“And I Love Her”や“You Can’t Do That”で使用されているカウベルやボンゴといった楽器の効果など、聴きどころは枚挙に暇がない。ちなみにタイトルは映画撮影中にリンゴが呟いた一言から生まれたという。
オンライン:内田 暁男
内田 暁男の「私とビートルズ」
〈同時代のロックで忙しいし古臭いの聴いてられない〉とイキリながらも、〈ビートルズを聴かなきゃダメでしょ〉という無言のプレッシャーにあっさりと負けて、『Revolver』を中古屋で買って聴いたのは大学時代。“Eleanor Rigby”を聴いて、〈何この過激な音楽!〉と即座にぶっ飛ばされました。。それからはビートルズを全部揃えて、いちいち興奮してたし、ついでにストーンズ、ニール・ヤング、デヴィッド・ボウイ、ヴェルヴェット、ザ・バンド、Tレックス、キンクスなど他無限大の、自分がバカにしてた〈古臭いの〉を揃えましたとさ。。。
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アメリカは南部メンフィスから届けられたアビー・ロードへの粋なトリビュート!
Booker T. & The MG's『マクレモア・アヴェニュー 』
サザン・ソウルを支えたスタックス・レーベルのハウス・バンド、Booker T. & The MG'sからビートルズへのリスペクト溢れる回答。’69年に「アビー・ロード」を聴いたブッカーT. ジョーンズがその革新性に感動し、すぐさま仲間を集めて自分たち流にインストでカヴァーしてしまったのが今作「マクレモア・アヴェニュー」(’70年作品)。ブッカー.T ジョーンズの歌心溢れるハモンド・オルガンに、スティーヴ・クロッパーのギターが鋭くもしなやかに鼓膜に突き刺さり、ドナルド・ダック・ダンとアル・ジャクソンJr.のリズム隊が強烈にドライヴする1枚。ビートルズに刺激されたサザン・ソウルの手練れ達が興奮して楽曲に挑みかかっている様がスリリング。ジョージ・ハリスンの「サムシング」を最初は大人しく始めつつも、後半、ニューオリンズなビートに変わりテンションがガシガシ上がっていく演奏が最高。あ、アルバム・タイトルはスタックス・レコーディング・スタジオがあった通りの名前です。
吉祥寺店:狩野 卓永
狩野 卓永の「私とビートルズ」
振り返ると、オリジナルであれ、カヴァーであれ、オマージュであれ、ラジオからテレビからしょっちゅう流れていて、物心ついた時には刷り込まれていたのが、ザ・ビートルズでした。特別、音楽に溢れた家庭でも無かったので、やはりその存在は普遍的というか、ひとつのジャンルというか、当たり前のように世の中に浸透していたんだなと思います。で、今もそれが進行中というのがすごいですね!
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アルバム・アーティストとしてのはじまり
The Beatles『ラバー・ソウル』
ビートルズといえば当時巷でよくかかっていた“ラヴ・ミー・ドゥ”“抱きしめたい”といったメジャー曲のイメージが強く「よく聴く曲が多いな」と思っていましたが、学生時代たまたま入手したのが本作。知らない曲のほうが多かったのですが、聴きこむほどに馴染んできて、今では一番の愛聴盤となりました。アルバム全体での録音技術向上による成果がアイデアとして随所に盛り込まれ、聴くたびにハッとします。“ミッシェル”での歌うような、“嘘つき女”での独創的なポールのベースラインも耳に残りますが、やはり心地いよいハーモニーとジョンのヴォーカルが最高!“ひとりぼっちのあいつ”の優しく諭すような、“イン・マイ・ライフ”での自己と向かい合うような丁寧な歌声は胸に沁みます。アルバム全体として次作『リボルバー』で全開となる<けだるさ>も見受けられ心地よいです。デビューからわずか2年で当時でも先駆的なアルバム単位でのマスターピースを作り上げたスピード感も驚異的。
オンライン:横山 和彦
横山 和彦の「私とビートルズ」
角川映画「悪霊島」(1981年)の劇場公開版主題歌に「レット・イットビー」が使われており、当時CM等でかかっていた記憶が、明示的なファーストビートルズ体験となり横溝正史とビートルズの組み合わせのコントラストが子供心に強烈な印象を残しました。いまでも同曲を聴くたびに映画の公開時キャッチコピー「鵺の鳴く夜は恐ろしい…」を思い出します。
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最高のエンディングが待っています
The Beatles『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』
<ロック史上の最高傑作>、<初のコンセプトアルバム>など仰々しい形容で評価されてきた代表作ですが、コンセプトは中途半端、<ビートルズ有名曲TOP10>に入りそうな曲も1曲あるかないか、という摩訶不思議な事実。でもそんな事はどうでもいいんです。サイケ賛歌“ルーシー・イン・ザ・スカイ~”、早くも70年代的洗練を放つ“ゲッティング・ベター”など、本気とおフザケと野心が混じった名曲、佳曲に加え、多種な効果音、無謀なテープ編集から派生した音塊は、何度聴いても新たな発見と謎がある。サイケと片づけるには余りに無邪気なアートワークも含めた賑々しい雰囲気はしかし、ラストの“ア・デイ・イン・ザ・ライフ”で早くも「幻想から目覚めよ!」と言わんばかりに冷や水を浴びせられるのです。この唐突な寂寥感と夢落ち的な余韻を味わうだけでも、本作を聴く価値は十二分にあると断言致します。
オンライン:岡本 大輔
岡本 大輔の「私とビートルズ」
近年では「ビートルズ」の偉大さをこの二人が端的に言い切っています。簡潔ながら妙に納得してしまいました。。。
「ビートルズと、我々ローリング・ストーンズは常に比較されてきたけれど、彼らの偉業の足下にも及ばないことくらいは分かってるさ。でもキースはそう思ってないんだ(笑)」 ーチャーリー・ワッツー
「およそポップミュージックに携わっている人間で、直接的・間接的にビートルズの影響を受けていないヤツなんているのかい?」 -ディアンジェロー
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ビートルズのカヴァーは数あれど、「恋」を通して哀愁や悲哀を日本語で歌うビートルズカヴァーアルバム。“幻”のカルト盤!
小山ルミ『ビートルズを歌う』
ビートルズフリークへ超変化球な1枚を。カルト歌謡の最高峰、小山ルミ。60年代後半~70年代序盤にアイドル級の人気を獲得し、ビートルズの日本武道館公演の前座として大舞台に立った<ザ・ドリフターズ>の映画も出演していた彼女。実は遠まわしにビートルズに関連していた彼女の73年リリースのアルバム。ここ日本でも多くのビートルズカヴァーが数あれど、幻のカルト盤として有名なのが、小山ルミ『ビートルズを歌う』だ。ビートルズのオリジナル歌詞とは似て非なる独特な日本の詩世界、そして、流暢な英語発音と全くオリジナルには寄せない歌謡曲特有の伸びやかで力強く歌い上げたボーカル、このボーカルにマッチした前期・中期・後期とバランスのよい選曲と申し分ない内容で、日本とイギリスの哀愁や悲哀がブレンドされたオンリーワンなカヴァーアルバムだ。お宝好きには<秘宝盤>として、若い世代には<これまでにない新しさ>を感じさせる1枚として新たな魅力を感じさせること間違いなし。
メディア編集部:田口 淳
田口 淳の「私とビートルズ」
インターネットも黎明期で検索1つで全ては知れず、伝聞や雑誌・TVでの数少ない特集が情報源だった時代。それは、つまりアーティストのベールが身ぐるみ剥がされない時代。中・高と今でいう“中二病”であった自分が知りえた数少ない情報の中で、<ロック=反抗>を音楽も生き方も全てにおいて体現していたヒーローがジョン・レノンでした。さいたまスーパーアリーナにできた「ジョン・レノン・ミュージアム」にも通い詰めて、毎年誕生日、命日には必ず巡礼して献花。そんな自分がタワーレコードの入社面接で面接官の店長(現社長)からの<ジョン・レノンのソロはどの時期が一番好きか>という質問に、面接という場を忘れて、あーじゃない、こうじゃないと語ってしまって、面接後に落ち込んだのも良い思い出です。
タグ : マスターズチョイス
掲載: 2018年10月19日 18:00