古楽アンサンブル「ラ・モルラ」新録音!『フィレンツェ、見出された中世音楽 ~14世紀、羊皮紙写本の下から浮かび上がる音楽』
かつてサヴァールやバンキーニが無数の門弟を育ててきた古楽教育の世界的拠点バーゼル・スコラ・カントルムは、バロックやルネサンスのみならず、中世音楽の研究・演奏再現でも世界をリードする重要な拠点。
そこでクオリティの高い演奏を続け、近年は同時期にバーゼルで学び合ってきたチェンバロと歴史的ハープの名手・西山まりえとの共演を通じて日本でもファンを増やしつつあるコリーナ・マルティが、パートナーのミハウ・ゴントコと主宰するラ・モルラとともに、中世音楽研究の最前線にいればこそ!というほかない新録音をリリースします。
テーマは「14世紀のフィレンツェ」。北フランスのアルス・ノーヴァを横目に見ながら、やがて花開くルネサンス音楽への礎が着実に築かれつつあったこの時代のイタリア音楽世界にあって、水準の高い市民文化が育まれていたフィレンツェは大きな存在感のあった場所でしたが、折々の戦乱や長い年月をへて15世紀以前の音楽資料はほとんど数えるほどしかなく、専門家たちは同じ写本に繰り返し立ち返るしかなかったのですが……なんと今回は最新発見の楽曲が続々。
カメラ性能の向上により、中世当時は古い記述内容を全て削り落として別用途に再利用されていた羊皮紙写本に「かつて記されていた楽譜」まで判読ができるようになったため、思わぬ写本から未知の楽譜が続々出てきた……それを実演・録音したアルバムなのです。
チェンバロ以前の中世鍵盤楽器クラヴィシテリウムでの妙技はRAMEEレーベルの過去盤(RAM1108・0802他)で実証済み、さらにカウンターテナーのドロン・シュライファーをはじめ世界的な古楽歌手たちが清らかな声で紡ぎ出す多声楽曲も魅力。
国内仕様では充実した解説の翻訳と訳詩も完備、資料の少ない中世音楽に関心の高いユーザーの好奇心を隅々まで満たす1枚となっています。
(ナクソス・ジャパン)
『フィレンツェ、見出された中世音楽 ~14世紀、羊皮紙写本の下から浮かび上がる音楽』
【曲目】
1.ピエロ・マッツォーリ(1386-1430):御婦人、わたしの迷いは
2.作曲者不詳:わたしにとって、苦しみは甘味〔器楽〕
3.作曲者不詳:幸せでいなさい、楽しくしていなさい
4.ジョヴァンニ・マッツォーリ(1350頃/61-1426):そう知ってからは〔器楽〕
5.パオロ・ダ・フィレンツェ(1355-1436):ほとんど見えはしないのだ
6.ジョヴァンニ・マッツォーリ:丘のふもとで
7.ピエロ・マッツォーリ:あな痛ましきかな
8.アントニオ・ザカラ・ダ・テラーモ(1360頃-1416):これだけは申し上げられよう
9.ヤーコポ・ダ・ボローニャ(1340-1360頃活躍):力ある君主のもとでは〔器楽〕
10.ジョヴァンニ・マッツォーリ:天上の輝きが、この地上に
11.作曲者不詳:あなたを思い出しては、御婦人よ〔器楽〕
12.ピエロ・マッツォーリ:太陽神がみたダフネでさえ
13.フベルトゥス・デ・サリニス(1390-1420頃活躍):現世の救世主イエス/いかなる罪で傷を負い
14.フベルトゥス・デ・サリニス:あなたは何も残さなかったのか/高価なものほど讃えられる
15.ジョヴァンニ・ダ・カシア(1340-1350頃活躍):おお音楽よ、我がいとおしき技芸よ
16.パオロ・ダ・フィレンツェ:その男、至高の美をまのあたりにしようと
17.パオロ・ダ・フィレンツェ:恋は、わたしを充分に縛りつけてきた
【演奏】
ラ・モルラ(古楽器使用)
メンバー:
アンナ・ミクラシェヴィチ(ソプラノ)
ドロン・シュライファー(カウンターテナー)
ロマン・メリッシュ(カウンターテナー)
イーヴォ・ハウン・デ・オリヴェイラ(テノール)
コリーナ・マルティ(クラヴィシンバルム、オルガネット、各種リコーダー)
ミハウ・ゴントコ(リュート)
ナタリー・カルドゥッチ(中世フィドル)
【録音】
2018年3月、メーリン(スイス)、聖レオデガル教会
日本語解説付き
解説日本語訳・補筆、歌詞日本語訳:白沢達生
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2018年10月25日 00:00