Walter Lang Trio(ウォルター・ラング・トリオ)、アルバム『TRANSLUCENT RED』を澤野工房からリリース
ルビーのような赤い透明感。
懐かしくノスタルジックな旋律。
静かな情熱があなたのハートを揺らす。
2018年6月某日早朝、突然電話が鳴った。「朝食でもどう?」と叩き起こされた。そう、ウォルター本人からであった。「Shinya Fukumori Trioのピアニストとしてツアーで来ていて、日本橋のホテルに居る。」まぁ近所やし……寝ボケてる暇なく、待ち合わせ場所に向かった。新世界の喫茶店で濃いめのコーヒーを飲みながら、この制作プロジェクトがなんとなくスタートした。アーティストと録音前に面と向かって話をすることはなく、ほぼチャットやメールで済ますことが多い。そう言えばウォルターが売り込みに来た際も直接訪問だったな……本当に律儀なひとである。(笑)
アルバムタイトル「Translucent Red 」すなわち「半透明な赤」。透明な美しいサウンドだけではなく、情熱や慕情を織り込んだウォルターらしい表現を感じさせる。そして日本人が好きそうな旋律が随所に散りばめられている。聴いたことのあるようなノスタルジックなメロディは親日家ウォルターの十八番である。スタンダードもさることながら、特にオリジナルの楽曲が秀逸であり、Tr.2からTr.4の流れはこのアルバムの聴きどころである。後半もメリハリのある構成が飽きのこない絶妙なバランスとなっている。
これは偶然だったのか必然だったのかはノーコメントですが、イタリアの匠、ステファノ・アメリオをエンジニアに起用し、レコーディングから音質までECMに近いクオリティまで昇華させた。サワノがモットーとしている「心地良い音」を言葉で説明することは難しい。だけど、この作品を聴けばニュアンスはご理解していただけるだろう。
Text by 稲田 力
Walter Lang Trio『TRANSLUCENT RED』
SONG LIST:
01. Nancy (with the Laughing Face)
02. Afterglow
03. I Wonder
04. Translucent Red
05. La Musa
06. Precious Love
07. Soon
08. I Loves You, Porgy
09. Still Gone
10. They Didn’t Believe Me
11. Any Old Days
12. Sevilla
13. Dawn Song
Rec:
Aug. 2018
掲載: 2018年12月04日 12:08