WALTER LANG TRIO(ウォルター・ラング・トリオ)新作『PURE』を〈Atelier Sawano〉よりリリース
これぞ珠玉、あまりにも透明。Walter Langの繊細にして透徹した世界観がここに結晶。あまりにも美しい北欧の夢がここに。
信じる者は救われる、とか。だから、このCDを今手にしているあなたは以下をなすべきだ。どのお店であれ、今すぐレジにこれを持って行き、そして我が物とすること。そうすれば、ここに収められた音楽は永遠にあなたのものとなり、果てしなく聴き返すことができるから。
このアルバムについて言えることは、実は幾つかしかない。あなたがジャズ・ピアノのファンであれば、必ず耳をそばだてることになる何かがある。しかも、あなたが欧州、殊に、北欧発の演奏の愛好者なら、求めるものの殆ど全てを得ることが出来る。え?あなたは長年アトリエ・サワノを聴いているって?その場合は問答無用です。
WALTERの新作はPure、と題されている。Pureとはまた身も蓋もない……。しかし、羊頭を懸けて狗肉を売るのが常の世間にあって、それが真に内容を映したタイトルであることに、あなたはきっと気づくことになる。その透明感、不純物のない世界観、マテリアルのいくつかを自らの外に得ながらもぶれることのない作品としての統一感。どれを取ってもPureとしか言いようがない。これは音楽の湧水だ。その底にクレソンを養うような清流だ。あるいはミルキイ・ウエイがそれと分かるほどに暮れながら、なお残照を残す澄み切った夕空だ。全編陶然とする美に満ちているが、中でも大半を占めるオリジナル曲は素晴らしい。だから、音楽に触れて、自らの裡にある美を目覚めさせるために、あなたはWALTER LANGを信じるべきなのだ。そこには、約束された救済があるだろう。
Text by 北見 柊
【FEATURED ARTISTS】
Walter Lang : piano
Thomas Markusson : bass
Magnus Öström : drums
【収録曲】
01. Branduardi
02. Always and Forever
03. Little Brother
04. Meditation in F min
05. 2 You
06. Sad Song
07. You Must Believe in Spring
08. Half Moon Bay
09. Phases
10. Who Can I Turn To
11. Meditation in Bb min
掲載: 2019年11月21日 19:37