「ECM派サウンドエンジニア」が起用され統一した音響美を持つ「transheart」レーベル、菊地雅章、富樫雅彦による5作品の再発
「ECM派サウンドエンジニア」が起用され統一した音響美を持つ「transheart」レーベル、菊地雅章、富樫雅彦による5作品の再発。
1970年代初期のトリオ・レコード時代から現在まで長期にわたり数多くの国内、海外のジャズの作品を制作、ECMレーベルやヨーロッパ・ジャズの日本への紹介者としても知られるプロデューサー稲岡邦弥氏の「硬派の美学」に基づくレーベルtransheart(トランスハート)。代表的9作品を紙ジャケット仕様で再リリース。
稲岡氏は「ECMの真実」、「ECM catalog」などの著作、主宰するJazzTokyoを中心とするメディアで活動。ジャズにとどまらない「新しい音楽カテゴリー」を形成して大きな影響を与えてきた。transheartの各作品は1981?93年オスロ、ニューヨーク、東京などで制作されヤン・エリック・コングスハウク、デイヴィッド・ベイカー、及川公生などの「ECM派サウンドエンジニア」が起用され統一した音響美を持っている。アーティストは、稲岡氏が終生をかけて音楽を分かち合った菊地雅章、ポール・ブレイ、富樫雅彦の三人に代表されるラインナップが並ぶ。ECM でのマンフレート・アイヒャーとアーティストとの関わりと同じく、そのプロデュースワークから他のレーベルとは明解に異なる音楽と音響が聴こえてくる。廃盤になって久しい「今後は現れることがない究極の個人レーベル」の全貌を二期に分けて集中的にリリース。
Masabumi Kikuchi『Attached (未練)』
2019.01.23 Release
CD / DIGITAL / DDCB-13042 / 2,315 Yen+Tax
Released by B.J.L. X AWDR/LR2
Masabumi Kikuchi (p) | 1990 NY
1990年代以降「アフター・アワーズ」(1994 | Verve)、未完の「ホームプロジェクト」、最期の「黒いオルフェ」(2016 | ECM)で結実していくピアノ・ソロ・シリーズの端緒。亡きギル・エヴァンスへのレクイエムでもある。「ススト」(1980 | Sony)に代表されるポスト・マイルスのエレクトリック・ミュージックからピアノ・トリオ、ソロなどのアコースティック音楽に転ずる貴重な分水嶺の記録。オリジナル3曲、カーラ・ブレイ、オーネット・コールマン、デューク・エリントン、セロニアス・モンク、チャールズ・ミンガスの全9曲。
【収録曲】
01. Sad Song
02. Peace
03. Aiyb
04. Mood Indigo
05. Pannonica
06. Intermission Music
07. Reincarnation Of A Lovebird
08. Yester-Blue
09. A Short Piece
Masabumi Kikuchi『Aurora』
2019.01.23 Release
CD / DIGITAL / DDCB-13043 / 2,315 Yen+Tax
Released by B.J.L. X AWDR/LR2
Masabumi Kikuchi (synth) | 1990 NY
ニューヨークのスタジオで菊地雅章一人がシンセのみで即興演奏に挑む密室型レコーディング「リアルタイム・シンセサイザー・パフォーマンス」の代表作。オーバーダビングを拒否してキーボード演奏の王道を逆手にとる「究極のへそまがり」はジャズ・ミュージシャン・オン・シンセの極み。80年代中期の6アルバム「六大」(Polystar)に続き「エレクトリックの時代」のエッセンスを総括するアルバム。多くの菊地ファンに疑問符を投げかけた異色作。
【収録曲】
01. AUROLA (partⅠ)
02. AUROLA (partⅡ)
03. AUROLA (partⅢ)
04. AUROLA (partⅣ)
Masabumi Kikuchi『Dreamachine』
2019.01.23 Release
CD / DIGITAL / DDCB-13044 / 2,315 Yen+Tax
Released by B.J.L. X AWDR/LR2
Bill Laswell (producer) | Nicky Skopelitis (g, synth) | Aiyb Dieng (perc) | Bernie Worrell (synth) | 1989 NY
1990年、全盛期のビル・ラズウェルと共同作曲を行いプロデュースをゆだねたアルバム。当時のニューヨーク・ファンク・シーンを飾るブーツィー・コリンズ、バーニー・ウォーレルなどが集結して巨大で強靭なビートが炸裂。エレクトリック路線の中で最もファンクに近づき、かつ孤立した音楽で後の菊地雅章のクラブ・ミュージックへの接近を予告する最大の問題作。
【収録曲】
01. The Sprawl
02. Black Star Dub
03. Night City
04. Mute
05. Straylight
06. Freefall
07. Matrix Dub
Masahiko Togashi『Passing In The Silence』
2019.01.23 Release
CD / DIGITAL / DDCB-13045 / 2,315 Yen+Tax
Released by B.J.L. X AWDR/LR2
Masahiko Togashi (perc) | Recorded December 4-6, 1993
富樫雅彦、5枚目のパーカッションのソロ・アルバム。80年代より続くソロ・シリーズの中で最も静謐な音楽に徹した特異な音響的作品。フリー・インプロヴィゼーションでありながらサイレントな孤独な世界観に満ちている。1988東京、及川公生による名録音。
【収録曲】
01. Introduction
02. PAS 1
03. PAS 2
04. PAS 3
05. PAS 4
06. PAS 5
07. PAS 6
08. PAS 7
09. PAS 8
10. PAS 9
11. PAS 10
12. PAS 11
13. PAS 12
Masahiko Togashi Trio『Voices』
2019.01.23 Release
CD / DIGITAL / DDCB-13046 / 2,315 Yen+Tax
Released by B.J.L. X AWDR/LR2
Masahiko Togashi (perc) | Steve Lacy (ss) | J.J. Avenel (b, kalimba) | Recorded June 14, 1988
富樫雅彦がスティーヴ・レイシー、J.J.アブネルと組みオリジナル作品によるフリー・インプロヴィゼーションの限界に挑む。名作「ブラ・ブラ」(PAN Music | 1986)に次ぎ世界に最高の共演者を求めたスケールの大きい富樫作品の金字塔。
【収録曲】
01. Door
02. Orange
03. Action
04. In The Pot
05. Cliches