UKが生んだモンスター・ロック・アクト=Biffy Clyro(ビッフィ・クライロ)が手掛けた初のサントラ・アルバム
独自のスタジアム・ロック・サウンドとその高い技巧に裏打ちされた圧巻のライヴ・パフォーマンスで、全英を代表するロック・トリオとして確固たる存在感を放つ、UKが生んだモンスター・ロック・アクト=ビッフィ・クライロ。2016年にアルバム『ELLIPSIS』を発表し、全英チャート1位を記録した他、世界各国でも素晴らしいチャート・アクションを見せた彼ら。2018年には初のアコースティック・ライヴ・アルバムを発表した彼らが、5月17日に突如デジタル限定でバンド史上初となる映画のサウンドトラック『BALANCE, NOT SYMMETRY』を発表、世界中のファンを歓喜させたのだが、そのサウンドトラックが遂にフィジカル(2枚組アナログ盤)でも登場する!(※現状アナログ盤のみのリリース)
独自の世界観とサウンドスタイルを持つビッフィ・クライロらしく、このサウンドトラックも通常のサウンドトラックとは全く違う方法で制作されている。普通であればまず映画があり、その世界観に合わせた楽曲を構築してサウンドトラックとするのだが、ビッフィ・クライロはまず自分達の中から生まれる楽曲で物語を表現し、彼らのサウンドが持つ世界観/ストーリーに合わせて映画が製作されていったのだ。彼らの歌詞が映画の台詞に影響を与え、その台詞から生まれる感情をサウンドで表現していく、といった、相互作用によって互いに高め合いながら、楽曲と映画を構築していったのだ。
この手法に関して、映画の脚本にも参加しているサイモン・ニール(vo/g)はこう語っている。
「監督のジェイミー・アダムスとの話の中で、俺達がレコードを作って、その物語を彼が映画にするっていうアイディアが生まれ、すぐさまそのやり方にとんでもない興味を感じた。普通じゃありえない手法だよね。アルバムが、映画の方向性を決めていくんだ。まず曲を作って、その物語を俳優たちが演じていく…、すごく特殊な手法で、常に進化していったよ。これはスコアじゃない。一枚の”アルバム”なんだ」
サントラ発表前夜に突如公開された新曲「Balance, Not Symmetry」は、タイトで複雑に絡み合うサウンドに絶叫と美しいメロディ・ラインとが交互に現れ、ビッフィ節とも言うべき彼ら独自のサウンドが封じ込まれた、新たな名曲といっても過言ではないほどのトラックだ。この強烈なインパクトを放つ楽曲で幕を開けるこのサウンドトラックには、他にもアリーナを揺さぶるほどのアンセム的な存在感を持つ「All Singing and All Dancing」や「Tunnel and Trees」、そして彼らのメロウな美しさが見事に捉えられた「Touch」など、圧巻の楽曲たちが収録されており、その全曲で物語が綴られていく、壮大な作品に仕上がっている。
また、映画のムードを方向付けるインスト曲も3曲(「Pink」「Navy Blue」「Yellow」)収録されているほか、今までのビッフィ・クライロにはなかったスタイルを聴かせてくれる「Gates of Heaven」や、アンビエントなテイストが至上の美しさを感じさせる「Colour Wheel」など、実験性に満ちた楽曲が収録されている点も、特筆すべきだろう。ちなみに今作には、昨年彼らが発表した『MTV UNPLUGGED』で披露されていた新曲「Different Kind of Love」のスタジオ・レコーディング・ヴァージョンも収録されている。
この映画の監督を務めるのは、サイモンとともに脚本を手掛けたジェイミー・アダムス。スコットランドにて撮影されたこの映画は、Glasgow School of Artに通うアメリカの女学生を主人公に、彼女の人生に降りかかる哀しみや苦難、そしてそれを乗り越えていく姿を綴った作品となっている。
掲載: 2019年06月13日 13:28