Prefab Sprout(プリファブ・スプラウト)、1984年の初作『Swoon』他4作品が最新リマスター音源アナログ盤再発
プリファブ・スプラウトは、1982年にデビュー。イギリスはニューキャッスル出身のパディ・マクアルーン(ヴォーカル、ギター、ソングライティング)を中心に結成。インディからシングルを2枚発表後、CBSからアルバム『スウーン』を1984年に発表する。翌年のセカンド『スティーヴ・マックイーン』でウェンディ・スミス(ヴォーカル)、マーティン・マクアルーン(実弟/ベース)、ニール・コンティ(ドラムス)というラインナップが確定する。その後88年にサード『ラングレー・パークの挨拶状』、89年の4作目『プロテスト・ソングス』、90年の『ヨルダン・ザ・カムバック』と順調に新作を発表するが、その後一時沈黙。97年に6作目『アンドロメダ・ハイツ』で復活。しかしバンドとしてはその4年後の2001年に発表された7作目『ガンマン・アンド・アザー・ストーリーズ』でパディ・マクアルーンのソロ・プロジェクトとなるが、またも沈黙。誰もがその復活を諦めかけた2009年、『レッツ・チェンジ・ザ・ワールド・ウィズ・ミュージック』でまさかの復活を遂げ、2013年には9作目『クリムゾン/レッド』が発売。2019年には、パディ・マクアルーン幻のソロ・アルバム『I Trawl the Megahertz』がプリファブ・スプラウト作品として登場。
パディ・マクアルーン幻のソロ・アルバム『I Trawl the Megahertz』がプリファブ・スプラウト作品として登場>>>
デビュー・アルバム『Swoon』(スウーン)。地元の大手インディ・レーベルであるキッチンウェア・レコード(配給はCBS)から1984年3月に発売され、全英トップ20入りした記念すべきアルバムで、プロデュースはケイン・ギャング(英国ブルーアイド・ソウル・バンド、レーベルメイト)のデイヴィッド・ブリュイスが担当。荒削りながらも洗練されたコード感、美しいがやや風変わりなメロディ・ラインなど、パンク/ニュー・ウェイヴを経たUKポップ/ロック・シーンにも新鮮な風を吹き込んだ1枚として話題なった。エルヴィス・コステロが彼らのことを大いに気に入り、本作収録曲の「クルール」をカヴァーし、また彼のツアーでオープニング・アクトに抜擢された。
大ヒット・3rdアルバム『ラングレー・パークからの挨拶状』(原題:From Langley Park to Memphis)。アルバム冒頭の2曲(エルヴィス・プレスリーをイメージした”The King of Rock 'N' Roll”/ブルース・スプリングスティーンをイメージした”Cars and Girls”)はこれまでに無い、軽快なロックン・ロール・ナンバーとなっており、80年代を代表するポップ・アンセムとなった。パディ・マクアルーンのアメリカ文化への憧れと皮肉を込めたオマージュがアルバムを貫くテーマとなっており、美しいメロディと独自の歌詞の世界観に一層磨きがかかっている。ゲスト・アーティストとして、 ”Nightingales” にスティーヴィー・ワンダーがハーモニカで参加、“Hey Manhattan!”にピート・タウンゼントがギターで参加しているのもアルバムの聴きどころの一つ。
代表作である1990年8月リリースの5作目『Jordan: The Comeback』(ヨルダン:ザ・カムバック)。プロデュースは2ndアルバム「スティーヴ・マックイーン」と同様トーマス・ドルビー。甘くロマンティックなムードと謎めいた雰囲気が最高のバランスで昇華した、プリファブ・スプラウトの最高傑作との呼び声も高いアルバム。ロック、ポップ、R&Bからゴスペルまで、パディ・マクアルーンのソングライティングの才能が最高レベルで発揮された全19曲の一大叙事詩。サウンド、歌詞、ともに充実しきった1枚として長く記憶されるべき作品。全英アルバムチャートで過去最高の7位を記録し、ブリティシュ・アワードでは最優秀アルバムにノミネートされた。
1992年にリリースされたベスト盤『A Life of Surprises』。全英7位にランキングされた異色のポップ・ヒット「キング・オヴ・ロックンロール」(1988年)を筆頭に、5枚のアルバムからパディ・マクアルーン自身が選んだ曲のほか、当時の新曲「ホエン・ラヴ・ブレイクス・ダウン」「イフ・ユー・ドント・ラヴ・ミー」が収録されている。パディの抒情的であり、ドラマティックなソングライティングは、辛口なことで知られる英国の音楽評論家からも高く評価されていて、熱狂的なファンを多く持つ。
タグ : UK/US INDIE リイシュー リマスター ロック復刻&発掘
掲載: 2019年07月11日 11:39