エルヴェ・ニケ&リエージュ・フィルがフランクの秘曲“贖罪”を録音!
古楽大国ベルギー発、ピリオド指揮者ニケが正面から向き合ったフランクの秘曲
ドイツ語圏にほど近いベルギー東部で生まれ育ったフランクの音楽は、若き日の作品群よりもむしろ、後年フランスに帰化し、パリでフランス国民音楽協会の一員として活躍するようになってからの大作群が有名です。交響曲やイ長調のヴァイオリン・ソナタがその代表ですが、しかし生前のフランクはむしろ、国民音楽協会発足の前から稀代のオルガン奏者として知られていました。リストやブラームスのように、19世紀の芸術家の目線でキリスト教と新たに向き合った中後期の重要作品もありながら、意外なほど録音はなされていません。
この『贖罪』もまさにそうした作品のひとつで、たびたび演奏される間奏曲(“交響詩「贖罪」”という呼称でも知られる楽章)のほかは20世紀のプラッソン録音以降、ほとんど新録音が現れませんでした。
フランクの『贖罪』は、メゾソプラノ独唱と合唱を中心に展開してゆく物語とともに、管弦楽が壮麗な音楽絵巻を織り上げてゆく内容。
オラトリオと呼ばれることもありますが、フランク自身がこれを「詩曲=交響曲(Poeme-Symphonie)」と題しているところからも、管弦楽の扱いに主眼が置かれていることは明らかです。
今回の指揮者は、NAXOSやALPHAでシャルパンティエやリュリなどバロック作品を手がけ、Glossaでもヘンデル『水上の音楽』を手がけたフランスの古楽器系指揮者エルヴェ・ニケ。近年サン=サーンスやデュカスなど、急速にフランス近代作品の録音で実績をあげるようになってきた名匠と、作曲家の故郷ベルギー随一の名団体王立リエージュ・フィルの演奏でこの知られざる傑作を聴けるのは貴重。図版多数の充実解説はMusique en Wallonieレーベルならでは。この秋とくに見逃せないリリースです。
(ナクソス・ジャパン)
【曲目】
セザール・フランク(1822~1890):贖罪
(エドゥアール・ブロの詩による詩曲=交響曲)
1-5)第1部
6-10)第2部
【演奏】
エヴ=モード・ユボー(メゾ・ソプラノ)
エルヴェ・ニケ(指揮)
ベルギー王立リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団
フランデレン放送合唱団
【録音】
2018年10月、リエージュ、サル・フィラルモニーク
解説:ロラン・ヴァン・デル・ウーヴェン
[日本語解説付]
解説・歌詞日本語訳:白沢達生
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2019年09月25日 00:00