Stephen Bishop(スティーヴン・ビショップ)時を駆ける新作スタジオ・アルバム『We'll Talk About It Later in the Car』
AORの秀作「ケアレス」、「水色の手帖」を生んだ都会派ロマンティック・シンガー・ソングライター、スティーヴン・ビショップ。多作とはいえないが、地道にマイペースながらも、極上のメロディと巧みなソングライティングの作品を、今も変わらずファンへ届け続けている。
その彼らの新作スタジオ・アルバムとなるのが、2016年の『BLUEPRINT』以来、約3年ぶりとなる『WE'LL TALK ABOUT IT LATER IN THE CAR』。本作は、元々、彼がキャリアの始めに作った楽曲をレコーディングしようというアイディアから生まれたデモ・プロジェクトから始まったという。しかし、それらのデモをレコーディングしていくうちにアイディアはどんどん膨らんで行き、アルバムへと発展していった。
スティーヴン・ビショップいわく、本作に収録されている楽曲は「40年前にヒットになってたとしても、もおかしくないもの」だという。アルバムからはリード・トラックとして「Like Mother Like Daughter」が公開されているが、この曲についても本人はこうコメントしている。「『Like Mother Like Daughter』は自分でも誇らしく思っている。ファンがこれまで聴いてきたものとは結構違っている。俺がバラード・ソングライターだけじゃないってことをみんなに分かってもらえればと思うよ」
初期のデモを新たにレコーディングするという企画からスタートしていることもあり、またソングライターとして数々の名曲を世に送り出している彼だけあって、本作に収録されている楽曲のほとんどは、スティーヴン・ビショップ本人によるものであるが、1曲だけ、ジミー・ウェッブによるものが収録されている。その曲「Something Else」はジミー・ウェッブが12歳のときに作った、彼にとって初めて作った楽曲である。「今まで聴いた中で最も悲しい曲の1つだと思う」スティーヴンはそうコメントしつつ、さらに続ける。「この曲をレコーディングしたのは自分以外ではアート・ガーファンクルだけだ。コンサートの最初にこの曲を演奏してたけど、いつかアルバムに収録したいと思っていたんだ」
またアルバムのタイトルは、自身とキャリー・フィッシャーとのエピソードにまつわるものだという。「キャリー・フィッシャーと出かけていたときの出来事からきているんだ。“SATURDAY NIGHT LIVE”の収録に来ていて、そこで彼女は電話につかまるんだ。そしてその電話の相手に”じゃあ、あとで車の中で話すわね”って話しているのを耳にしたんだ。最初は自分のことを話しているのかなと思ったんだが、あとから、そのフレーズが、キャリーのお母さんであるデビー・レイノルズが、ある話題をまた別の機会に話したいときに使うものだと知ったんだ。それ以来、そのフレーズがずっと頭にあったんだ」
洗練されたソングライティングで知られる”ミスター・ロマンティック”ならではの、素敵なエピソード満載の新作スタジオ・アルバム『WE'LL TALK ABOUT IT LATER IN THE CAR』。スティーヴン・ビショップの魅力溢れる1枚である。
【収録曲】
01. Almost Home
02. In Dreams I Fly
03. One In A Million Girl
04. Someone Else
05. Like Mother Like Daughter
06. A Million Little Pieces
07. In Love With A Violent Man
08. The Day You Fall In Love With Me
09. I Don't Know Enough About You
10. Nora June
11. French Postcards
12. Tiny Pillow
13. Tinseltown
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タグ : AOR
掲載: 2019年10月09日 10:35