グレン・グールド/ア・ステイト・オブ・ワンダー~2つのゴールドベルク変奏曲(1955年&1981年)
グールドのソニー・クラシカルへの録音の出発点にして到達点――2つの個性的なゴールドベルク変奏曲を収録、まさに「驚異(ア・ステイト・オブ・ワンダー)」のグールド・ワールドへの最適なイントロダクション。
若きグレン・グールドの名を一躍世界的なものにした1955年録音のデビュー・アルバム「ゴールドベルク変奏曲」。そしてグールドが生涯を閉じる約1か月前、1982年9月に発売され、生前に発売された最後のアルバムとなった「ゴールドベルク変奏曲」。バッハの「ゴールドベルク変奏曲」は、まるで円環を閉じるようにグールドの生涯を縁取り、その独自の音楽を考える上で欠くことのできない作品です。この2つの録音を組み合わせて発売するアイデアは1984年に遡ります。グールド没後2年が経ち、当時のCBSが編んだグールドのバッハ録音のアンソロジーの第1巻がこの2つのゴールドベルクを1つのパッケージに収めた最初でした。
1955年盤は、20世紀に輝かしい足跡を残した録音アーティストとしての出発点となったグールド最初の「ゴールドベルク変奏曲」。まるで、この作品の30の変奏曲をあらわすかのように、録音セッション中のグールドの写真30葉が使われた有名なジャケットでも知られています(ブックレット内に掲載)。リマスターは元ソニー・クラシカルのエンジニア、アンドレアス・マイヤーがリマスターを手掛けた「グレン・グールド・リマスタード・ボックス~ザ・コンプリート・ソニークラシカル・アルバム・コレクション」(2015年発売)のDSDリマスター音源が使用されています。
一方1981年録音は、グールドがその生涯を閉じる約1か月前、1982年9月に発売され、グールドの生前に発売された最後のアルバムとなった2回目の「ゴールドベルク変奏曲」です。この1981年盤は初期のデジタル録音としても有名で、LPだけでなくCDも発売されました。その際LPのカッティングにもCD用のデジタル・マスターが使われましたが、当ディスクには、同時発売されるバッハ・ボックスと同様に、そのデジタル・マスターではなく、デジタル・マスターと並行して収録されていたアナログ・マスター素材からグールドやサミュエル・H・カーターの使った編集用のスコアをもとに編集し2002年にDSD化され、「A State of Wonder」というタイトルで発売された際の音源が使われています。アナログ・レコーディング完成期ならではの、のびやかで安定感のある音楽的なサウンドは、グールドの超絶的に美しいピアノ・サウンドを再現しています。
パッケージはマルチパック仕様。48ページのオールカラー・ブックレットには詳細な録音データや貴重なセッション写真、初出盤ライナーノーツのほか、生前のグールドにインタビューし、グールドが書いたさまざまな著作を編纂したことでも知られるティム・ペイジの文章が掲載されています。
(ソニーミュージック)
収録内容
<CD1>
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV 988(1955年モノラル[録音])
[演奏]グレン・グールド(ピアノ)
[録音]1955年6月10日、14日~16日 ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
<CD2>
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV 988(1981年[録音]/アナログ・マスターより編集)
[演奏]グレン・グールド(ピアノ)
[録音]1981年4月22日~25日、5月15日、19日、29日 ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2020年04月24日 13:00