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Naxos~2020年8月第2回発売新譜情報(7タイトル)

ブゾーニ

今回は、名手アルド・チッコリーニが参加したブゾーニ: 2台ピアノのための作品集、ギリシャの作曲家カラファーティの世界初録音となる“交響曲イ短調”、ブラジルの作曲家カマルゴ・グァルニエリのショーロ第1集、アメリカの現代作曲家トビアス・ピッカーの“言葉のないオペラ”&“エンカンタダス”など世界初録音を含むCD7タイトルがリリースされます

一部世界初録音
フェルッチョ・ブゾーニ(1866-1924):2台ピアノのための作品集
アルド・チッコリーニ(第2ピアノ)…1-12、アルド・オルヴィエト(第1ピアノ)…1-12,(第2ピアノ)…13-19、マルコ・ラペッティ(第1ピアノ)…13-19

フェルッチョ・ブゾーニは幼い頃から音楽の才能を発揮、優れたピアニストとして演奏活動を行うとともに、数多くのピアノ曲を作曲しました。生涯を通じて2台ピアノのための多数の作品も書き上げており、いくつかの作品からは、敬愛したJ.S.バッハの影響が強く感じられます。このアルバムの冒頭に収録されている「対位法的幻想曲」はその最たるものの一つで、複雑な対位法を駆使しながら、壮大なフーガを織り上げていくさまは、まさにバッハを思わせるブゾーニならではの作曲法です。
この曲の第2ピアノには名手アルド・チッコリーニが参加。精力的な演奏を聴かせています。
また、ブゾーニは先人リストの例に倣い、数多くのトランスクリプション(編曲)を残しました。ここにはシューマン、モーツァルト作品の編曲が収録されており、彼の極めて独創的なスタイルを知ることができます。アルバムには初期の作品(世界初録音)も収録。「若いころの作品は完成度が高くない」と自作を否定したブゾーニですが、この3曲からは成熟した技法が感じられます。
(ナクソス・ジャパン)

世界初録音
ヴァシリー・カラファーティ(1869-1942):交響曲 イ短調
バイロン・フィデツィス(指揮)アテネ・フィルハーモニー管弦楽団

ヴァシリー・カラファーティ(1869-1942)はギリシャで生まれ、ロシアで活躍した作曲家、音楽教師。ギリシャ人の両親を持ち、8歳で最初の音楽教育を受けたカラファーティは、サンクトペテルブルク音楽院に留学、リムスキー=コルサコフの作曲クラスで学び、1892年にはサンクトペテルブルクでの永住権を取得。やがて音楽院の対位法教授となりヘイノ・エッレルやショスタコーヴィチらを教えました。教師として活躍しただけではなく、作曲家としても歌劇やピアノ曲を発表、師リムスキー=コルサコフの作風を継承した重厚な作品を残しています。
このアルバムに収録された「交響曲 イ短調」はカラファーティの唯一の交響曲であり、4楽章という伝統的な形式を遵守した壮大な作品です。重厚な第1楽章に始まり、2楽章のスケルツォの優雅な旋律はチャイコフスキーを思わせ、郷愁溢れる旋律で綴られた第3楽章、華麗な第4楽章が続きます。生涯、自身をギリシャ人とみなしていたカラファーティの交響曲は、2017年になってようやくギリシャで初演されました。この録音はその記録です。後期の作品「伝説」と祝祭的な「ポロネーズ」も聴きどころです。
(ナクソス・ジャパン)

一部世界初録音
カマルゴ・グァルニエリ(1907-1993):ショーロ 第1集
イサーク・カラブチェフスキー(指揮)サンパウロ交響楽団

カマルゴ・グァルニエリ(1907-1993)の作品カタログは、ブラジルの文化にとって計り知れないほどの価値ある遺産であり、若い世代の作曲家たちの優れた先達として強い影響力を有しています。グァルニエリは1928年に詩人、音楽学者のマリオ・デ・アンドラーデと出会い、アンドラーデが提唱した「ブラジル・モダン・アート」のアイデアに共感、伝統的なブラジル音楽をクラシックの様式に反映する試みを行います。1951年に作曲された「ショーロ-ヴァイオリンとオーケストラのための」はそのアイデアを生かした作品で、1945年にこの世を去ったアンドラーデの理想「ブラジル音楽の継承」をそのまま形にしたかのような民族的な雰囲気に彩られています。
ちなみに「ショーロ」とはブラジルのポピュラー音楽のスタイルであり、グァルニエリは「協奏曲」を「ショーロ」に置き換えることが可能だと考えていました。ピアノをはじめ多彩な楽器を用いた「セレスタ」もショーロの一種。チェンバロを用いた古典的なイディオムを持つフルートの「ショーロ」、晩年の作品となったファゴットを独奏にした抒情的な「ショーロ」。どれも実験的でありながら、ブラジルのインスピレーションに彩られた見事な作品です。
(ナクソス・ジャパン)

一部世界初録音
トビアス・ピッカー(1954-):言葉のないオペラ/エンカンタダス
ジャンカルロ・ゲレーロ(指揮)ナッシュヴィル交響楽団

メトロポリタン歌劇場を始め、セントルイス歌劇場、サンタフェ歌劇場など、いくつものアメリカの歌劇場のための委嘱作品を書き、《ファンタスティックなきつね氏》で2020年のグラミー賞「ベスト・オペラ部門」を受賞。他、さまざまなオーケストラ作品でも知られるアメリカの作曲家トビアス・ピッカー(1954-)。このアルバムには演劇と音楽を融合した2つの作品を収録しています。
「エンカンタダス」は“白鯨”の作者ハーマン・メルヴィルの作品を元にしたもので、タイトルのエンカンタダスとは南米エクアドル西方沖にあるガラパゴス諸島のこと。厳しい自然環境のため、人間が寄り付かない魔の島の不気味な情景が描かれています。ナレーターは作曲家自身が務めました。
「言葉のないオペラ」は元々普通のオペラとして書かれましたが、後に声とテキストが取り除かれました。とはいえ、作品には装置の説明や台本のト書きなどが遺されており、奏者たちはこれに沿ってオペラの登場人物になることが求められています。
(ナクソス・ジャパン)

一部世界初録音
ルイス=ピポ(1934-1997):ギターを伴う作品集 第2集
ヴォルフガング・ヴァイゲル(ギター)

スペインで生まれた作曲家ルイス=ピポ(ルイス=ピポー)。パリに留学し、ピアノと作曲を学び、優れたピアニストとして活動しながら、多くの作品を書きました。中でも親友ナルシソ・イエペスのために書いたギター作品「歌と踊り 第1番」は、彼の名を飛躍的に高めたことで知られています。
第1集(8.573971)に続くこのアルバムには、前述の第1番を含む「歌と踊り」、彼の友人の思い出に捧げられた「秋の小品」、ナルシソ・イエペスのために書かれた2曲の前奏曲、昭和を代表する日本のギタリスト小原安正に捧げられた7曲の前奏曲が収録されています。
演奏しているヴァイゲルは1992年にピポと出会い、作品の改訂などで協力したギタリスト。1995年にはギター協奏曲をピポから捧げられるなど強い信頼関係を築いていましたが、1997年に作曲家が急逝し、多くのプロジェクトが中断してしまったのは残念です。この録音でヴァイゲルは、ピポのために心からの賛辞を送っています。
(ナクソス・ジャパン)

世界初録音
エドワード・グレグソン(1945-):ピアノ独奏曲全集
マレイ・マクラクラン(ピアノ)…1-15,17-30、エドワード・グレグソン(ピアノ)…16、ローズ・マクラクラン(ピアノ)…17-20

エドワード・グレグソン(1945-)はイギリス出身の作曲家。王立音楽アカデミーで作曲とピアノを学び、管弦楽曲から吹奏楽、合唱曲など幅広いジャンルの作品を発表しています。彼のピアノ曲はとても印象的なものが多く、複雑なリズムやハーモニーに彩られながらも、変奏曲やフーガなど古典的な形式が用いられており、時には抒情的なメロディが現れるといった比較的親しみやすい作風に拠っています。
このアルバムには初期の作品から最近の作品までが幅広く収録されており、グレグソンの作風の変遷をお楽しみいただけます。中級レベルの難易度で書かれた「わが友のためのアルバム」は自身の60回目の誕生日を祝して作曲されたもの。多彩な素材が散りばめられています。2020年の「3つの練習曲」は技巧的な作品。ラヴェルの旋律が引用されるなど工夫が凝らされています。初期の2作品はロマンティックな曲。実験的な「4つの絵」と「6つの小品」、マーラーのアダージェットから喚起された「金曜日の午前」、ティペットからインスパイアされた「ソナタ」。どれもがユニーク、かつ強い印象を残します。16曲目はグレグソン自身の演奏、他はグレグソンの良き理解者マクラクランの演奏で。
(ナクソス・ジャパン)

一部世界初録音
『BELOVED AND BETRAYED 愛され裏切られた』モンテクレール(1667-1737):フルートと歌のための小ドラマ
カリー・ヘンネマン・ショウ(ソプラノ)、レーラ・ブライトハウプト(トラヴェルソ)、レ・オーディネーレ(古楽器アンサンブル)

ミシェル・ピニョレ・ド・モンテクレール(1667-1737)はバロック期のパリで活躍した音楽家。貧しい家庭に育ったとされていますが、その生涯はほとんど知られておらず、肖像画も存在していません。9歳の時にラングル大聖堂の合唱団員となり、その後バス・ド・ヴィオロン(チェロとコントラバスの中間の楽器、チェロの前身)奏者として名を上げ、20歳の頃にはパリでバス・ド・ヴィオロン奏者として演奏活動を行っていました。その後イタリアに行き、フランソワ・クープランの2人の娘たちの教師を務め、イタリアの音楽様式を研究しながら、多くの作品を書き残しています。
このアルバムには、モンテクレールの初期の現存する出版された作品の一部を収録。『厳粛なアリアと酒の歌』シリーズから3作品と、1720年頃に独奏楽器としての役割が増大したとされるフルートを用いた協奏曲など、18世紀初頭のフランス音楽を楽しむことができます。演奏はフランス・バロック期作品を得意とするアンサンブル「レ・オーディネーレ」。まろやかな響きが魅力的です。また、トラヴェルソを演奏するレーラ・ブライトハウプトはクイケンが指揮する「Colorful Telemann」(8.573900/国内盤NYCX-10154)でもソリストを務める実力派。
(ナクソス・ジャパン)

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カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2020年07月16日 00:00