Nad Sylvan(ナッド・シルヴァン)|イェイツの“詩”に焦点を当てた最新作『Spiritus Mundi』
Roine Stoltとのバンド=AGENTS OF MERCYでリード・ヴォーカルを担当し、2012年からは元GENESISのSteve Hackettのプロジェクト“Genesis Revisited”でも表現豊かな歌唱力を遺憾なく発揮しているスウェーデン人アーティストのNad Sylvan(ナッド・シルヴァン)。2019年に豪華アーティストを招き、ソロ3部作の最終章となった『The Regal Bastard』をリリースし、壮大な物語を終結させた。Nadの次なる最新作は未知の才能とのコラボ作品だ。今作は、Andrew Laitresというミュージシャンとの共同作業によって生まれた作品である。Andrewとの仕事は初めてではなく、アルバム『The Regal Bastard』に収められているボーナストラック「The Lake Isle of Innisfree」ですでにコラボレート済みだ。「一緒に取り組む素材があれば、是非もう一度彼と仕事をしてみたいと思っていた。それで彼のデモを聴かせてもらったとき、それらのデモに素晴らしいアレンジを加えて発展させて、きちんとした曲に仕上げてみないか?と提案したところ彼も乗ってくれたんだ。」 実際に2人が直接会ったのは、Steve HackettのツアーでNADがヴォーカルを担当していたときのわずか2回のみだ。NADはスウェーデン、Andrewはアメリカに住んでいるためファイルのやりとりだけで制作作業を進めていった。「AndrewのヴォーカルはSUPERTRAMPのRoger Hodgsonみたいな可愛らしい声質で、私のバリトンボイスと相まって、面白いサウンドスケープを生み出すことができたよ。」
『SPIRITUS MUNDI』と題された今作は、William Butler Yeats(イェイツ)の詩を見事に音楽に変換させている。アイルランド人でノーベル文学賞を受賞している詩人イェイツの詩を使用し“歌詞”に焦点を当てている(前作のボーナストラック「The Lake Isle of Innisfree」も彼の詩のタイトルである)。今作もオープニング「The Second Coming」から、ラストの「The Fisherman」までイェイツの詩の世界をシンプルな楽器を使用して見事に描いている。最も有名なイェイツの詩の1つ「To An Isle In the Water」では、アコースティック・ギター、ストリングスとKiwi Te Kannaのフルートが聴く者の眼前に美しい世界を映し出す。Nadが珍しくギターで作曲をしたという特別な想いを寄せているファースト・シングル「You've Got To Find A Way」は、イェイツの詩ではないという理由でボーナストラックとして収められるが、全ての楽曲が3部作で見せた世界とは明らかに違った仕上がりである。Andrew Laitresがつま弾くギターの温かい音色、そしてジェントルなNAD SYLVANの歌声によるハーモニーがイェイツの詩を立体的に浮かび上がらせた前代未聞の作品に対して、Nad自身も強い自信をもっている。
「この作品のリリースが楽しみでならない。聴いた人は誰でも好きになると思うよ。彼らはこの作品が僕のベストアルバムだと感じるだろうし、僕も同じ思いだ。今までの作品とは少し違っていて、それがまた良い仕上がりなんだ。」
今作も豪華なゲスト陣が加わっている。Tony Levinが4曲、Jonas Reingoldもベースで1曲参加している。ドラムはザ・フラワー・キングスのMirkko De Maio、そしてもちろんSteve Hackettも登場、12弦ギターを奏でている。
輸入盤CD
輸入盤LP
【収録曲】
1. The Second Coming
2. Sailing to Byzantium
3. Cap and Bells
4. The Realists
5. The Stolen Child
6. To an Isle in the Water
7. The Hawk
8. The Witch and the Mermaid
9. The Fisherman
10. You've Got to Find a Way
11. To a Child Dancing in the Wind
12. The Hawk (demo version)
タグ : プログレッシブロック (Progressive Rock)
掲載: 2021年04月06日 18:53