『激ロック』スペシャルコーナー【9月レコメンドアイテム】
IRON MAIDEN / 『Senjutsu』
GENRE:HEAVY METAL
ヘヴィ・メタルを代表するモンスター・バンドが放つ“戦術”――
過去最大級に重厚でドラマチックな、約6年ぶり17枚目のニュー・アルバム!
IRON MAIDENが、約6年ぶりの最新アルバムを発表。しかもタイトルは“Senjutsu”ということで、インパクト大のジャケ写と合わせて、心を躍らせたファンも多かったのではないだろうか。ソングライティングの面では、ベーシストでありリーダーでもあるSteve Harrisが単独で制作したラスト3曲はいずれも10分を超す長尺曲で、プログレッシヴ・ロックをバックボーンに持つHarrisらしい世界を展開。バンドがこれまで積み上げてきたストーリーテリングの能力と、過去作でものぞかせてきたエピックでプログレッシヴなメタルを最大限に発揮した戦術へと定まり、MAIDENのパブリック・イメージとも言える疾走感あるサウンドと好対照をなすような、過去最大級に重厚でドラマチックな作品に仕上がった。
菅谷 透【ライター推薦】
CARNIFEX / 『Graveside Confessions』
GENRE:BLACKENED DEATHCORE
USデスコア・バンド CARNIFEX!
近作の要素に磨きをかけつつ、重量感を保った超攻撃的サウンド鳴らす新作完成!
一時期の解散期間を挟んだものの、デスコア・シーンの黎明期から継続的にリリースを重ねるCARNIFEXが、2年ぶりの新作を発表した。シンフォニックなアレンジ、ブラック・メタル由来のコードやトレモロなど近作で取り入れた要素に磨きをかけつつ、デスコアらしい重量感を保った超攻撃的サウンドは文句なしの格好良さ。Mick Kenney(ANAAL NATHRAKH etc.)がプロダクションを手掛けた、エッジの効いたゴリゴリなサウンドも強度に拍車をかけている。アヴァンギャルドなホーンが躍るTrack.4や、原曲の不気味さをうまく残しつつブルータルに解釈したKORN「Dead Bodies Everywhere」のカバー、1stアルバム『Dead In My Arms』収録曲の再録も聴きどころ。
菅谷 透【ライター推薦】
TESSERACT / 『Portals』
GENRE:PROGRESSIVE METAL, Djent
UKプログレッシヴ・メタル・バンド、TESSERACT!
コロナ禍の表現方法を追求した圧倒的なライヴ・パフォーマンスをパッケージ!
スタジオ音源と比べても遜色のない、緻密なバンド・アンサンブルによる圧倒的なまでの完成度に、本作がライヴ音源であるということを忘れてしまうほどの内容である。イギリス出身のプログレッシヴ・メタル~Djentの人気バンド、TESSERACTによるキャリア史上2枚目となるライヴ・アルバムだ。ライヴ・パフォーマンスこそバンドの真骨頂と言える彼らのようなバンドが、コロナ禍という時代における表現方法を追求したかのような本作は、2020年の12月に公式サイトで公開した限定のストリーミング公演を収録した作品。新旧織り交ぜたセットリストは聴き応え十分、当然ながら音源を聴くだけでも楽しめるものではあるが、できれば凝った映像と共に味わい尽くしてもらうのがベストであろう。
井上 光一【ライター推薦】
SLAUGHTER TO PREVAIL / 『Kostolom』
GENRE:DEATHCORE
ロシアのデスコア・バンド、SLAUGHTER TO PREVAILが
多彩なアンサンブルで新機軸見せる2ndアルバムをドロップ!
現代デスコア・シーンにおいて、ひと際注目を集めるロシアはエカテリンブルグ発の4人組による、最新作となる2ndアルバム。人間業とは思えぬ獰猛極まりないヴォーカルと卓越した技術を持つ演奏隊が放つ、デスコアの破壊力とブラック・メタルの邪悪さを極限の形で示したような前作『Misery Sermon』(2017年)と比べると、本作で顕著となっているのはKORNや初期のSLIPKNOTといった、いわゆるニューメタルからの影響であろう。変則的なフレーズからクラシカル(!)なソロまで引き出しの多さを見せるギターをはじめとして、圧巻のヘヴィ・グルーヴによる多彩なバンド・アンサンブルは、表面的な重さとは一線を画す。この変化をセルアウトなどと思うなかれ、バンドの新たな可能性を提示した痛快な1枚!
井上 光一【ライター推薦】
MANESKIN / 『Teatro D'Ira Vol. I』
GENRE:HARD ROCK, GLAM ROCK, RAP ROCK
“ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2021”優勝!
イタリア発平均年齢20歳のMÅNESKINがロックの未来を照らす2ndアルバム発表!
平均年齢20歳のイタリアのロック・バンド MÅNESKINの2ndアルバムのテーマはアイデンティティの確立と抑圧への反発。ヨーロッパ最大の音楽の祭典“ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2021”で彼らを優勝に導いたアンセム「Zitti E Buoni」で幕を開け、ロックとラップが見事に融合した「Lividi Sui Gomiti」、溢れる愛欲をシンプルながらクセになるリズムに乗せた「I Wanna Be YourSlave」が続き、最後にロック・バラード「Vent'anni」で何者かになろうと藻掻く、彼らと同年代の“Vent'anni=20歳”の若者たちに寄り添う。この音楽性の幅広さとメッセージ性の強さをこの年齢で具現化できるとは、ロックの未来は明るい。
内堀 文佳【ライター推薦】
CREEPER / 『American Noir』
GENRE:GOTHIC ROCK, PUNK
UK発のホラー・パンク・バンド CREEPER!
コンセプチュアルな世界観で魅せる、欧州的美学に満ち満ちた濃密な1枚!
昨年の2ndアルバム『Sex, Death & The Infinite Void』が全英チャート5位を記録、メディアからも高い評価を受けたサウサンプトン出身の5人組 CREEPERが、早くも新EPを発表。フロントマンのWill GouldとHannah Greenwood(Key)との掛け合いで、エモーショナルに歌い上げる先行シングルのTrack.2「Midnight」のような、絶妙なポップさを持った王道のキラーチューンはもちろん、美麗なストリングを取り入れたロック・バラード、アコギやピアノをメインとした物憂げなナンバーまで、欧州的美学に満ち満ちた濃密な内容である。歌詞を読みながら、コンセプチュアルな世界観の隅々までを味わってほしい。
井上 光一【ライター推薦】
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリーマガジン、ポータルサイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライブイベント、13年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷宇田川町に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」と同じく宇田川町にあるロックファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営など、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティブ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2021年09月24日 16:56