Tigran Hamasyan(ティグラン・ハマシアン)|鬼才ジャズ・ピアニストによる自身初となるアメリカン・スタンダード・アルバム『Standart』
現代ジャズ・シーンで最も注目を集めるピアニスト/作曲家の一人、アルメニア出身の鬼才、ティグラン・ハマシアン。最近ではオダギリジョー監督の映画『ある船頭の話』の音楽を担当するなど、その活躍と音楽性は、今やジャズという枠組みから飛び出しつつある。
その彼が2020年の『THE CALL WITHIN』以来約2年振りとなるニュー・アルバムをリリースする。これまでオリジナル楽曲中心に作品を発表し続けている彼だが、今作のテーマは”アメリカン・スタンダード“。1920年代から1950年代の〈グレイト・アメリカン・ソングブック〉の楽曲を中心としたアルバムとなる。
2021年春にロサンゼルスでレコーディングされた最新作『Standart』。ティグラン自身がプロデュースを手掛けた本作は、これまでオリジナル楽曲、もしくは彼の母国アルメニアの伝統音楽をベースにした作品を発表してきた彼にとって初めての試みとなるアメリカ音楽の作品集だ。アルバムにはリチャード・ロジャース、オスカー・ハマースタイン2世、ジョニー・マーサー、ジェローム・カーン、チャーリー・パーカー、そしてデヴィッド・ラスキンらが生み出したアメリカン・スタンダードが収録されている他、ティグランがバンド・メンバーとともに作り上げたインプロヴィゼーション作品など全9曲が収録されている。
「このアルバムで私は、これまで温め発展させたきた様々なテクニックやアイディアを、ようやく振り返る機会を得たレパートリーに用いることによって、その音楽に対する心からの感謝を表現したいと思った」本作についてティグランはそう説明する。「この楽曲とメロディーが本当に大好きなんだ。これは私にとってのアメリカン・フォーク・ミュージックだ。アルメニア系アメリカ人の移民である私は、さまざまな背景を持つ作曲家や音楽家たちが、暗い歴史を背負いながらも、自由を体現することに成功していることに共感を覚えている。そうした意味において、私も彼らのようになりたいと思う、自分の出身地の伝統の中から何かを見出したいと願っているんだ」
アルバムでティグランのバックを支えるのは、彼のトリオでベースを務めるマット・ブリューワーとドラマーのジャスティン・ブラウン。また2曲でアメリカの前衛的ジャズ・トランぺッター、アンブローズ・アキンムシーレが参加している。この他にも、レーベル・メイトであるジョシュア・レッドマンがチャーリー・パーカ―の「Big Foot」に、サックス奏者のマーク・ターナーがジェローム・カーン&オスカー・ハマースタインの「All The Things You Are」にと、スペシャルなゲストもフィーチャーしている。
〈アメリカン・スタンダード〉という新たな方向性を見出したティグラン・ハマシアン。『Standart』で彼は、時代を超えて聴き継がれてきたスタンダード・ナンバーを、これまで誰もが到達したことのない新たな音宇宙へと連れ出すことに成功した。
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収録曲: 01. De-Dah (Elmo Hope) 02. I Didn't Know What Time It Was (Richard Rodgers/Lorenz Hart) 03. All the Things You Are (feat. Mark Turner) (Jerome Kern/ Oscar Hammerstein II.) 04. Big Foot (feat. Joshua Redman) (Charlie Parker) 05. When a Woman Loves a Man (Bernard Hanighen/Gordon Jenkins/John Mercer 06. Softly, as in a Morning Sunrise (Sigmund Romberg/Oscar Hammerstein II) 07. I Should Care (feat. Ambrose Akinmusire) (Axel Stordahl/Paul Weston/ Sammy Cahn) 08. Invasion During an Operetta (feat. Ambrose Akinmusire) (Tigran Hamasyan/Ambrose Akinmusire/Matt Brewer/Justin Brown) 09. Laura (David Raksin/John Mercer)