CPO レーベル~2022年7月第2回発売新譜情報(7タイトル)
知られざる名曲の発掘、古楽から現代まで幅広く揃えたコレクション、高品質の録音で人気を誇るドイツのCPOレーベル。知られざる名曲の発掘、古楽から現代まで幅広く揃えたコレクション、高品質の録音で人気を誇るドイツのCPOレーベル。
今回は再案内となるミヒャエル・コルスティックのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全8曲に、ボロヴィチ&ベルリン・ドイツ放送響によるアルヴェーン: 交響的作品集第3集、ガウデンツ&イェナ・フィルによるヴォルフ: 管弦楽伴奏歌曲集と交響詩「ペンテジレア」、シルマー&ミュンヘン放送管によるロルツィングの珍しい歌劇“提督”など、CD7タイトルがリリースされます。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827):ピアノ協奏曲全集(第0番-第7番)(4枚組)
ミヒャエル・コルスティック(ピアノ)、コンスタンティン・トリンクス(指揮)ウィーン放送交響楽団
1998年から2007年にかけてOEHMSレーベルに録音したベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集が高い評価を得たドイツのピアニスト、ミヒャエル・コルスティック。ベートーヴェン生誕250周年を機に満を持して取り組んだピアノ協奏曲の全曲セットが登場します。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲は通常、第1番から第5番までを全集としますが、このコルスティックの全集は、第2番の初稿フィナーレであるロンド変ロ長調 WoO 6や、ヴァイオリン協奏曲のピアノ版(このCDでは第7番と表記)に加え、ベートーヴェンが1814年から15年頃に作曲したとされるニ長調の協奏曲断章(このCDでは第6番と表記)、14歳頃に作曲した変ホ長調の協奏曲までも収録していることが大きな特徴。
若書きの「第0番」変ホ長調 WoO 4はオーケストラ・パートが失われてピアノ・パートだけが伝えられています。この曲にオーケストレーションを施した例としてはスイスの作曲家ヴィリー・ヘスによるものがありますが、ここではコルスティックの発案で指揮者・音楽学者のヘルマン・デヒャントに依頼した新たなオーケストレーションを採用。第4番を参考に、ヘス版に無かったファゴット2本を追加。更に終楽章ではトランペット2本とティンパニを追加して、壮麗な響き持つ演奏時間約26分の協奏曲となりました。カデンツァはデヒャント作のものを参考にコルスティックが手を加えています。
ニ長調H15は未完成ながら258小節あり、ベートーヴェンが残した断章の中でも最大規模です。1986年にイギリスの音楽学者ニコラス・クックが他のスケッチなども参照しつつ独立した楽章として補筆完成させました。ここではクック版にヘルマン・デヒャントがカデンツァとコーダを加え、更にコルスティックが独自に手を加えた楽譜を演奏しています(演奏時間13’57”)。
本命と言うべき第1番から第5番では、ピアノもオーケストラもピリオド・スタイルを取り入れてペダルやヴィブラートを控え目にしつつ、モダン楽器らしいシンフォニックなサウンドの魅力もしっかりと表現しています。引き締まったテンポでドラマティックに展開してゆく速い楽章と、柔らかな響きで旋律をしっとりと歌う緩徐楽章が好対照です。
(ナクソス・ジャパン)
ヒューゴ・アルヴェーン(1872-1960):交響的作品集 第3集
ウカシュ・ボロヴィチ(指揮)ベルリン・ドイツ交響楽団
スウェーデンを代表する作曲家の一人アルヴェーン。1960年まで生きて二つの世界大戦を目撃したにもかかわらず、生涯を通じて後期ロマン派の重厚な作風を捨てることなく、美しい旋律と豊かな響きを駆使した作品を書き上げました。この交響的作品集第3集には、1897年から1898年にかけて書かれた交響曲第2番を中心に収録。
交響曲第2番は、優しさと明るさに満ちたロマンティックな第1楽章、葬送行進曲風の哀愁に満ちた楽想を持つ第2楽章、エネルギッシュな主部と伸びやかなトリオが好対照を成す第3楽章、そして重苦しい雰囲気の前奏曲に導かれパワフルでバロック風な趣きを持つフーガで全曲を堂々と完結する第4楽章と、それぞれの楽章が豊かな個性を持っており、作曲家自身が「芸術の決定的な突破口」と呼んだほどの成功を収めた作品です。同時収録は、スウェーデンの民謡のモチーフが印象的な「スウェーデン狂詩曲第3番」。アントニ・ヴィトに師事したポーランドの指揮者ボロヴィチが指揮するベルリン・ドイツ交響楽団の演奏です。
(ナクソス・ジャパン)
フーゴー・ヴォルフ(1860-1903):管弦楽伴奏歌曲集、交響詩「ペンテジレア」
ベンヤミン・アップル(バリトン)、ジモン・ガウデンツ(指揮)イェナ・フィルハーモニー管弦楽団
「私は臆病すぎるから、まともな作曲家にはなれない」と、フーゴー・ヴォルフがウィーンの友人に告白したのは、彼が28歳のときでした。感受性に富み、気難しい性格を持つ彼は1887年の時に12の歌曲を発表、以降、9年の間に集中的に歌曲を中心とした作品を書き上げた後、精神を病み1903年にこの世を去っています。
このアルバムには、ヴォルフ自身の編曲による管弦楽伴奏付きの12の歌曲と、初期作品である交響詩「ペンテジレア」を収録。管弦楽伴奏の歌曲はあまり演奏される機会がありませんが、原曲のピアノ伴奏が絶妙なアレンジにより、よりスケールの大きな作品に仕上がっています。ここで独唱しているのは1982年ドイツのレーゲンスブルク生まれのベンヤミン・アップル。フィッシャー=ディースカウが2012年に亡くなる2週間前までレッスンを受けていたという、文字通り最後の弟子で、すでに国際的に高い評価を確立しています。
「ペンテジレア」は、H.V.クライストの同名戯曲に基づいて女王ペンテレジアと勇士アキレウスの物語を描いた、起伏に富んだ作品です。
(ナクソス・ジャパン)
シューベルト/ブルグミュラー: アルペジオーネのための作品集
ロレンツ・ドゥフトシュミット(アルペジオーネ)、パウル・グルダ(ハンマークラヴィーア)、ダヴィッド・ベルクミュラー(ギター)、他
1820年代にウィーンのギター製造者ヨハン・ゲオルク・シュタウファー(1778-1853)により発明された、6弦の弦楽器「アルペジオーネ」。ギターのような24のフレットを持ちながら、チェロの特性も備えており「ギター・チェロ」という別名でも呼ばれ、発明から10年間ほどは高い人気を誇りましたが、やがて歴史の中に消えてしまいました。このアルバムではヴィオラ・ダ・ガンバ奏者として知られるドゥフトシュミットがアルペジオーネの復元楽器を使い、名作「アルペジオーネ・ソナタ」を演奏。共演がパウル・グルダで、楽器がアルペジオーネが発明されたのと同じ1824年製のグラーフのオリジナルという点も見逃せません。5つの歌曲ではその直前に歌詞の朗読を入れることで、歌の無いアルペジオーネの演奏でも楽しめるようにしています。ピアノ 教則本の作曲家として知られるブルグミュラーの「3つの夜想曲」はギターの伴奏で演奏。こちらもアルペジオーネの発案者であるシュタウファーのオリジナル楽器を使うという徹底ぶりです。企画から演奏までこだわり抜いた一枚をお楽しみください。
(ナクソス・ジャパン)
アルベルト・ロルツィング(1801-1851):歌劇《提督》全3幕(2枚組)
ウルフ・シルマー(指揮)ミュンヘン放送管弦楽団
イングランドの王位継承者ハインリヒは執務に飽き飽きしており、今日も「提督に行く」といって誕生パーティから逃げ出しました。もちろん「提督」というのは酒場の名前ですが、彼の妻カテリーナはすべてお見通しです。そして「提督」でさんざん飲み食いしたハインリヒは財布を忘れたことに気が付き、自身の指輪を店主に渡しますが…2011年に録音された歌劇《レジーナ》(777710)に続く、ロルツィングの珍しい歌劇の登場です。
《ロシア皇帝と船大工》、もしくは《ウンディーネ》で知られるドイツの作曲家ロルツィングは、生前絶大なる人気を誇り、その作品はワーグナーにも影響を与えるほど高く評価されるだけではなく、脚本家、俳優、歌手、指揮者としても広く知られていました。この《提督》は彼の10作目の歌劇であり、台本も作曲家自身の手によるものです。1847年ウィーンで作曲され、同年ライプツィヒで初演されたこの作品は《ロジーナ》と同じように政治、労働者を主題とする当時の社会を深く見据えた問題作ですが、、残念なことにしばらくして舞台から姿を消し、やがて完全に忘れ去られてしまいました。作品にはロルツィングが崇拝していたモーツァルトの影響がところどころに現れており、とりわけソロや合唱の場面では、超絶技巧が用いられた妙技を聴くことができます。モーツァルト作品を得意とするアネット・フリッチュら、魅力的な歌手を揃えた上演です。
(ナクソス・ジャパン)
世界初録音
ゲオルク・クリストフ・ヴァーゲンザイル(1715-1777):フルート、ヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ集 - 17のトリオ・ソナタ集より
アンサンブル・クリンゲクンスト
ゲオルク・クリストフ・ヴァーゲンザイルはオーストリアの作曲家。現在ではその作品をほとんど耳にする機会がありませんが、18世紀のウィーンでは高い人気を誇っており、数多くの弟子たちを育てた功績が知られています。このアルバムで紹介されているのは、フラウト・トラヴェルソ(横型フルート)、ヴァイオリンと通奏低音のための全17曲のトリオ・ソナタ集から選ばれた7曲で、いずれも世界初録音となります。収録された7曲全てが「速い-遅い-速い」という当時慣例の3楽章構成で書かれていますが、形式こそ同じであるものの、曲ごとの調性や旋律、リズム、テンポ、和声や強弱などは任意に設定されており、多彩で変化に富んだ音楽が楽しめます。アンサンブル・クリンゲクンストはこれら知られざる宝石のような作品を情感豊かに演奏しています。
(ナクソス・ジャパン)
ハインリヒ・イグナーツ・フランツ・フォン・ビーバー(1644-1704):1681年に出版された独奏ヴァイオリンと通奏低音のための8つのソナタ(2枚組)
プラメナ・ニキタソヴァ(ヴァイオリン)、レゼレマン(通奏低音/古楽器使用)
ハインリヒ・イグナーツ・フランツ・フォン・ビーバーの名声を決定づけ、18世紀まで広く演奏された作品の一つに、1681年にニュルンベルクで出版された「8つのヴァイオリン・ソナタ」があります。ビーバーと言えば、1674年頃に作曲された、当時のヴァイオリン演奏技法を集大成したとされる「ロザリオのソナタ」が有名ですが、この「8つのソナタ」も負けず劣らずの技巧を用いた作品であり、ビーバーはこの曲集で難度の高い技巧、芸術的内容、作曲技術レベルの総合に成功したと言えるでしょう。
ブルガリア出身のプラメナ・ニキタソヴァはドイツ・バロック音楽の録音等で評価を得ているヴァイオリニスト。LesÉlémens(レゼルマン)は17世紀と18世紀の作品の演奏に力を注ぐ、バーゼルのアンサンブルです。
(ナクソス・ジャパン)
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カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2022年06月22日 00:00