ポシュナー/#bruckner2024プロジェクト~ 第5弾は交響曲第3番(1873年初稿/ノーヴァク版)
Capriccio Records公式YouTubeページより
CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿(バージョン)を録音しようという企画、「#bruckner2024」の第5弾。今回リリースされるのは、ブルックナーの交響曲の中で異稿が最も多い「交響曲第3番」の初稿(1873年作曲)です。楽譜はノーヴァク版を使用。
第3番の各稿の中では初稿が最も長く、また「ワーグナー」のニックネームの由来であるワーグナーの楽劇から引用したモチーフが最も多く使われており、独自の魅力となっています。しかし、今では信じられない話ですが、初演のためのリハーサルに臨んだウィーン・フィルから「演奏不能」と宣告されてしまい、初演は行われませんでした。その後の改訂稿に比べると「整理が付いていない」「作曲法が練れてない」とされることもある初稿ですが、ブルックナーの革新的な着想がよりオリジナルな形に留められていることから評価する声も強く、演奏・録音の機会は着実に増えています。
マルクス・ポシュナーとウィーン放送交響楽団による演奏は、特に速い楽章では速めのテンポを採り、若々しい気概を感じさせます。一方緩徐楽章ではしっかりとテンポを緩め、しっとりとした情感や先に進むのを戸惑うような風情を醸します。第3番第1稿再評価の転機をもたらしたインバル/フランクフルト盤の演奏時間(23:59/18:53/06:09/16:17)と比べると、特に前半2楽章において顕著な違いがあり、イメージがかなり異なる演奏となっていることが想像できるでしょう。
※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付属します。
【#bruckner2024について】
ウィーンを拠点とするレーベル「Capriccio」がブルックナー研究の第一人者でイェール音楽大学院のポール・ホークショーの監修の下、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までに全交響曲のすべての稿を録音するというプロジェクトです。少なからぬ曲で目下刊行が進んでいる新ブルックナー全集(NBG)の楽譜が使われる予定。
指揮者には全曲を通じてマルクス・ポシュナーを、オーケストラはポシュナーの手兵リンツ・ブルックナー管弦楽団を主体にウィーン放送交響楽団も起用。今後は22年秋に第3番の第1稿(1873年稿、ノーヴァク版)が、また年末までに第8番の第1稿(1887年稿、ホークショー校訂による新全集版)が予定され、ブルックナー・ファンにとっては目と耳の離せないシリーズとなりそうです。
(ナクソス・ジャパン)
【曲目】
アントン・ブルックナー(1824-1896): 交響曲第3番 ニ短調 WAB 103(1873年初稿/ノーヴァク版)
1. I. GemaBigt. Misterioso 19'23"
2. II. Adagio: Feierlich 16'17"
3. III. Scherzo: Ziemlich schnell 06'09"
4. IV. Finale. Allegro 15'08"
【演奏】
ウィーン放送交響楽団
マルクス・ポシュナー(指揮)
【録音】
2022年1月23-24日 Wien、Radio Kulturhaus(オーストリア)
2022年1月25日 Konzerthaus(オーストリア)
CD(輸入盤)
CD(輸入盤・国内流通仕様・日本語解説付き)
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ANTON BRUCKNER
掲載: 2022年07月22日 18:00