貴志康一が所有していたストラディヴァリウス“King George"1710による演奏~石橋幸子『貴志康一: 知られざる作品群』
生誕113年記念・世界初録音
90年ぶりに愛器と埋もれた作品が再会!
貴志康一 知られざる作品群
貴志康一(1909-1937)は28年の生涯にバレエ音楽、オペレッタ、交響曲、ヴァイオリン協奏曲に加えて多くのヴァイオリン曲と歌曲を作曲した。彼の生前に出版されたのは6曲のヴァイオリン曲と7つの歌曲であるが、それ以外に大量の楽譜が残された。本アルバムは90年ぶりに演奏される初期作品と、ソナタを含む未発表の作品群を核としている。
(中略)特筆すべきは、これらの作品が、貴志康一が所有していたストラディヴァリ1710年「キング・ジョージ」によって演奏されたことである。ヴァイオリニストとして出発した貴志は1929年、ベルリンのエミール・ヘルマン商会で「キング・ジョージ」と出会い、少なくとも1933年まで手にしていた。現在「キング・ジョージ」を貸与されている石橋幸子さんによって埋もれていた楽譜にふたたび生命が吹き込まれた。貴志の愛器と楽譜が90年ぶりに再会したのである。康一ファンとして、このうえない喜びだ。
(毛利眞人 ライナーノートより抜粋)
使用楽器 ストラディヴァリ「キング・ジョージ」
1710年生まれの「キング・ジョージ」は、ジョージ3世の所有物であり、本人の名にちなんで名付けられました。シュポーア門下のベルンハルト・モリク(1802-1869)がドイツへ持ち込んだと言われています。また、ベルリンのヴァイオリン製作者であるオーガスト・リチャーズ(1836-1893)が楽器のメンテナンスをしていたことで知られています。
ドイツ系アメリカ人の楽器商、エミル・ハーマンは1929年頃にヴァイオリンを貴志康一に売却し、「キング・ジョージ」は日本に初めて上陸したストラディヴァリとなります。
1933年に貴志の手を離れたこの楽器は現在、1983年よりハービスロイティンガー財団に所蔵されています。
楽器は現在、石橋幸子が演奏しています。
(東武商事株式会社)
【曲目】
貴志康一(明治42年-昭和12年)(1909-1937)
(1)-(3)ヴァイオリン・ソナタ
I.Allegro moderato e con passione
II.Scherzo, Vivace
III.Quasi vivace
(4)-(8)ヴァイオリンとピアノの為の小品
(4)竹取物語
(5)南蛮寺
(6)南蛮船
(7)スペイン女
(8)海の詩
(9)-(11)ピアノ小品集
行進曲I
アンダンテ
行進曲II
モデラート
タンゴ
【演奏】
石橋幸子(ヴァイオリン)
根岸由起(ピアノ)
使用楽器:ストラディヴァリ1710年「キング・ジョージ」
【録音】
(1)-(8)2021年8月30-31日
スイス・チューリヒ・ラジオ放送局ホール
(9)-(11)2021年6月13日
ロンドン・セントポールスクール・ワッセンホール
※(5)-(11)世界初録音
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2022年10月06日 18:00