WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.199
サラ・ヴォーン『サラ+2』(1965)
サラ・ヴォーン(vo)
バーニー・ケッセル(g)
ジョー・コンフォート(b)
1962年8月7、8日ロサンゼルス録音
曲目:
01.ジャスト・イン・タイム
02.ホエン・サニー・ゲッツ・ブルー
03.オール・アイ・ドゥ・イズ・ドリーム・オブ・ユー
04.アイ・アンダースタンド
05.グッドナイト・スウィートハート
06.家に帰らないか
07.ホエン・ライツ・アー・ロウ
08.キー・ラーゴ
09.ジャスト・スクイーズ・ミー
10.オール・オア・ナッシング・アット・オール
11.君を想いて
【アルバム紹介】
1.名シンガー、サラ・ヴォーンのユニークなアルバム
2.ギターとベースのみをバックに歌ったスタンダード集
3.ギターは名手バーニー・ケッセルが参加
今回はジャズ史に名を残す名シンガーの一人、サラ・ヴォーンのユニークなアルバムを紹介いたします。
サラ・ヴォーンの並みはずれた歌唱力はバックの編成がコンボであろうと、ビッグバンドであろうと、またそれがジャズであっても、ブラジルであっても、最高の歌唱となって数々のアルバムが残されています。
本作はバックがギターとベースのみという、極めてシンプルな編成で、スタンダード・ソングを見事に歌い上げた一作です。
同じルーレット・レーベルでの1961年の『アフター・アワーズ』は本作と同じくギター、ベースをバックに歌ったNY録音の傑作で、それに続く内容のものになります。
西海岸のロサンゼルスでレコーディングされた本作はギターに名手バーニー・ケッセル、ベースがジョー・コンフォートという顔ぶれで、全編を通して、ソロらしいソロは全くなく、最後の“君を想いて”でケッセルの間奏があるぐらいで、どの曲もサラのヴォーカル・メインで聴かせるアレンジになっています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
深く心に響く“ホエン・サニー・ゲッツ・ブルー”。
この曲はスタンダード・ナンバーとして有名な1曲ですが、マーヴィン・フィッシャー作曲、ジャック・シーガル作詞、1956年にジョニー・マティスのヒット曲“ワンダフル!ワンダフル!”のB面の曲として世に出て、数多くのアーティストによる名唱や名演があります。
サニーはブルーになると、瞳が曇って雨が降り出す、という歌い出しで始まる1曲ですが、サラ・ヴォーンはさりげなくフェイクした感じで歌いはじめ、歌詞は本来“Her Eyes”となっているところを“His Eyes”と男性に置き換えて歌っているのがわかります。
ゆるやかに声を伸ばす部分や深く低音にさがるところなどの声の起伏による表情づけが素晴らしく、4分もない歌唱の中に、歌のもつ力のようなものを感じさせてくれます。
シンプルな編成ゆえの静謐さもあり、黄昏時にリラックスして聴くジャズ・ヴォーカルのおすすめ盤といってもいいアルバムです。
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2022年10月14日 10:00