WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.200
エセル・エニス『ララバイズ・フォー・ルーザーズ』(1955)
エセル・エニス(vo)
ハンク・ジョーンズ(p)
エディ・ビッグズ(g)
エイビー・ベイカー(b)
ケニー・クラーク(ds)
1955年、ニューヨーク録音
曲目:
01.ラヴ・フォー・セール
02.ドリーマー・ドリーマー
03.ブルー・プレリュード
04.オフ・ショア
05.カジュアリー
06.ヘイ・ジャック
07.ララバイ・フォー・ルーザーズ
08.セイ・イット・エイント・ソー,ジョー
09.ユード・ベター・ゴー・ナウ
10.ブルー・ウィロー
11.ボン・ヴォヤージ
【アルバム紹介】
1.抜群の歌唱力を持ちながら、半ば知る人ぞ知る女性シンガー
2.10代から歌い始め、レコーディング時は20代前半というデビュー作
3.バックにはピアノにハンク・ジョーンズ、ドラムスにケニー・クラークら名手が参加
今回は抜群の歌唱力を持ちながら、半ば知る人ぞ知る女性シンガーの一人、エセル・エニスのジュビリー・レーベルでのデビュー盤を紹介いたします。
1932年にメリーランド州のボルチモアに生まれ、母親が教会のピアニストをしていた関係で10代の頃にピアノを習得し、彼女も教会のピアニストになりましたが、15歳の時に初めて歌を歌い、そこからシンガーとしてのキャリアが始まりました。
本作のレコ―ディングの時はまだ22歳か23歳という年齢でしたが、中高域の伸びのある、抑制のきいた澄んだ美声は絶品で、何度でも聴きたくなります。
楽曲はバラード主体で女性の恋心をちょっぴり悲しく歌ったものになっています。
バックにはピアノにハンク・ジョーンズ、ドラムスにケニー・クラークらの小編成のコンボが彼女のヴォーカルを静かに引き立てています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ムーディーにじっくり聴かせる“ラヴ・フォー・セール”。
この曲は大作曲家コール・ポーターの名曲のひとつで、数々のアーティストによる名演・名唱が存在する超メジャーなスタンダード曲です。本作はこの曲で始まります。
元々はミュージカル・ソングで、“愛を売る”という歌詞などから大胆な内容の歌詞を想起させるナンバーですが、それゆえに当時はインパクトのある1曲だったのでしょう。
エセル・エニスのこのヴァージョンはブルーな雰囲気のピアノのイントロに導かれ、ムーディーに歌い出す、そんなアレンジでじっくり聴かせています。曲の終わりの“My Love、Your Love For Sale”で結ぶ最後の一音が静かに闇に吸い込まれてく感じがなんともいえません。
エセル・エニスは本作リリース後、1958年にベニー・グッドマンのツアーに参加し大成功を収め、キャピトルやRCAから優れたアルバムを発表しました。その後は地元のボルチモアでの活動も含む歌手活動を精力的に続け、2005年のライヴ・アルバム『Ennis Anyone?』がファイナル・レコーディング作となり、2016年のラスト・パフォーマンスを経て、2019年同郷にて脳卒中が原因で86歳の生涯を閉じました。
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2022年10月21日 10:00