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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.280

バド・パウエル『ポートレイト・オブ・セロニアス』(1965)

BP

バド・パウエル(p)
ピエール・ミシュロ(b)
ケニー・クラーク(ds)

1961年12月17日、パリ録音

曲目(LP初発売時):
01.オフ・マイナー
02.ゼア・ウィル・ネヴァー・ビィ・アナザー・ユー
03.ルビー・マイ・ディア
04.ノー・ネーム・ブルース
05.セロニアス
06.モンクス・ムード
07.アイ・エイント・フーリン
08.スクアッティ

【アルバム紹介】
1.ビバップ系ピアニスト、バド・パウエルの1961年録音のリーダー・アルバム
2.移住先であったパリでレコーディング
3.リスペクトするセロニアス・モンクのナンバーを中心にプレイ

今回は前回取り上げたセロニアス・モンクがある意味師匠ともいうべき存在だったビバップ系ピアニスト、バド・パウエルのアルバムを紹介いたします。

セロニアス・モンクは天才という名にふさわしいピアニストでしたが、その影響を受けたバド・パウエルも天才と呼ぶに値するプレイ・スタイルを持っていました。
その絶頂期は1940年代後半から1950年代初頭にかけてと言われており、その頃にレコーディングされた音源ではアーティスティックともいえる圧巻のプレイが聴けます。その後、ドラッグやアルコール中毒などで、体調が不安定な状態でありながらも、自身の確固たるビバップ・スタイルでの演奏で聴く者を魅了してゆきました。

本作は、1960年代に入ってからの演奏で、移住先であったパリでレコーディングされたもので、タイトル通り、リスペクトするセロニアス・モンクのナンバー(1、3、5、6)を中心に見事なプレイを披露している逸品です。
ベースにはフランス人のピエール・ミシュロ、ドラムスには数多くのジャズ名盤にその名を残した名プレイヤー、ケニー・クラークが参加した強力なピアノ・トリオ編成であることも魅力です。またプロデューサーとしてキャノンボール・アダレイがその名を連ねているのも興味深いです。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
独特のうなり声も炸裂の“オフ・マイナー”。

アルバム1曲目に収録されたセロニアス・モンク作曲のナンバーですが、バド・パウエルは本作のこの演奏から遡ること、1947年にこの曲をルースト(ルーレット)レーベルに初レコーディングしています。その時も独特のうなり声とともに、ソロをとっていますが、本作でのこのテイクでもしっかりうなりながらプレイしています。
曲はイントロがなく、出だしからテーマ・メロディで始まります。テーマの提示が終わると、ピアノ・ソロに移り、正攻法のビバップ・テイストのアプローチで聴かせてゆきます。決して技巧的になることはなく、フレーズをよく歌わせて終始堅実な姿勢で臨んでいます。ピエール・ミシュロのベースのウォーキング・ライン、ケニー・クラークのスインギーなドラミングもいい感じです。演奏はストレートにテーマ、ソロ、テーマという展開で進行し、エンディングをむかえますが、どこか貫禄さえ感じさせる演奏に思えます。
なお、本レコーディングでのベースのピエール・ミシュロとドラムスのケニー・クラークはバド・パウエルとはこの時期レギュラー・トリオを組み、パリのブルーノート・クラブに出演もし、そのレコーディングも残っています。
この“オフ・マイナー”以外にもバラードの“ルビー・マイ・ディア”での演奏も冴えわたっており、バド・パウエルのセロニアス・モンクに対する畏敬の念が見え隠れします。

国内盤Blu-spec CD2

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2024年06月14日 10:00