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高橋久美子|ESSEオンラインの人気”暮らし系”エッセー集『暮らしっく』11月30日発売|サイン本はオンライン・渋谷店限定!

暮らしっく



高橋久美子『暮らしっく』


ESSEオンラインの人気”暮らし系”エッセーが待望の一冊に!
丁寧だけど丁寧じゃない。飾らない、無理しない。40代作家の高橋久美子さんのクラシック(古風)な暮らしを綴ったエッセー集。

古い一軒家に住み、手作り野菜と食事、物は捨てずに物々交換、ご近所さんとの交流や、東京と故郷・愛媛を行き来する二拠点生活のこと…
等身大の暮らしをすべて一冊にまとめました。

第1章 暮らしのこと
第2章 季節の食のこと
第3章 捨てない暮らし
第4章 ご近所さんとのこと
第5章 二拠点生活


忙しい毎日だからこそ、使い勝手のいい台所にしておくと日常が楽になる。私もまだまだ、ここに棚つけたいとか、梅干しと味噌用のラックがもう一つほしいとか、夢はあるけれど、これだけでずいぶん理想に近づいた。自分で考えてちょっとずつ手を加えて空間を作るのが楽しい。私は今あるものを最後まで使いきらないと気がすまない人なので、新しいものを買う前に、あるものを組み合わせDIYすることも多い。
遊びに来た人は「久美子さんち物多いですね」となるけれど、そういう捨てない派のキャラが定着しつつあるから、この土鍋はなんだ、この野草はなんだと、みんな台所ウォッチングを楽しんでいる。見た目よりも、自分が使いやすくてリラックスできる台所が一番だよね。
(「使い勝手のいい台所」より)


私の家こそ梅屋敷になっていた。玄関を開けると梅の甘い香りでうっとりする。最初は笑っていた夫だったが、料理をしたくても鍋もボウルもないので呆れている。私は仕事もそっちのけで、朝から晩まで梅ジャムを作ったり梅干しを漬けた。熱中すると自分でも止められない猪突猛進な性質だったことを思い出した。気がついた時には25㎏もの梅を仕込んでいた。もう棚に瓶が置けなかった。その頃には、「ここまでくるともはや狂気で、かっこいいな」と夫は感心さえしていた。
(「またまた梅の季節がやってきた」より)


捨てない生活をして40年。100均の洗濯ネットだろうと、無印のブラウスだろうと、破れたものは平等につくろってやる。「もう捨てても大丈夫ですよ~」という声が布から聞こえるまでは使いたおす。〈3年間着なかったものは捨てる〉なんていう流行りの言葉に流されることなく、着ない服は5年でも10年でも寝かし、日の目を浴びるときを待ってみる。漬け物ならぬ、漬け服だ。昔はイマイチだった服が、ヘビロテに変わる瞬間は必ずやってくるもんだ。
(「ようこそ捨てない世界へ!」より)


【著者について】
作家・詩人・作詞家。1982 年、愛媛県生まれ。音楽活動を経て2012 年より文筆
家として活動。主な著書に、小説集『ぐるり』(筑摩書房)、エッセー集『旅を栖すみかとす』(KADOKAWA)、『一生のお願い』『いっぴき』(共に筑摩書房)、『その農地、私が買います』(ミシマ社)、詩画集『今夜 凶暴だから わたし』(絵・濱愛子、ミシマ社)、絵本『あしたが きらいな うさぎ』(絵・高山裕子、マイクロマガジン社)がある。翻訳絵本『おかあさんはね』(マイクロマガジン社)では、第9 回ようちえん絵本大賞を受賞。執筆活動のほか、原田知世、大原櫻子、ももいろクローバーZなど、アーティストへの歌詞提供も多数。
公式HP:「んふふのふ」


暮らしっく


カテゴリ : ニューリリース 予約 | タグ : 書籍

掲載: 2022年11月11日 12:00