WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.204
デクスター・ゴードン『クラブハウス』(1979)
デクスター・ゴードン(ts)
フレディ・ハバード(tp)
バリー・ハリス(p)
ベン・タッカー(b) on 03
ボブ・クランショウ(b) not on 03
ビリー・ヒギンズ(ds)
1965年5月27日ニュージャージーにて録音
曲目:
01.ハンキー・パンキー
02.アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
03.デヴィレット
04.クラブハウス
05.ジョディ
06.レディ・アイリス・B
【アルバム紹介】
1.ブルーノ―ト発掘音源BNLTシリーズのデクスター・ゴードン
2.名盤『ゲッティング・アラウンド』の前日のレコーディング音源
3.トランペットにフレディ・ハバードら名手揃いのクインテット編成
ブルーノ―トの発掘盤シリーズであるBNLTシリーズの名盤、今回取り上げるのはテナー・サックス奏者のデクスター・ゴードンのアルバムです。
デクスター・ゴードン(デックス)は1960年代初頭に活動の拠点をパリやコペンハーゲンといったヨーロッパに移して、その後14年もの間、そこで過ごしていましたが、時々アメリカに帰ってレコーディングをしていました。
1965年5月にアメリカに戻ってきたデックスはブルーノートに2枚のアルバムをレコ―ディングしました。それが本作とその翌日の録音になる『ゲッティング・アラウンド』で、本作は発売が見送られ(1979年に発売)、『ゲッティング・アラウンド』は発売となり、ブルーノート時代の代表作になったというわけです。
本作で取り上げられた楽曲はデックスのオリジナルが3曲(01、04、05)と半分を占めており、スタンダード名バラードの‟アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー“など全6曲になっています。
メンバーはトランペットにフレディ・ハバード、ピアノにバリー・ハリス、ベースにボブ・クランショウ(03はベン・タッカー)、ドラムスにビリー・ヒギンズと名手揃いのクインテットです。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
名スタンダードのバラード演奏が光る“アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー”。
オリジナル中心の本作の中にあって唯一の有名スタンダード曲であるこの演奏を聴いてみましょう。
1951年に世に出た、フランク・シナトラも作曲者にクレジットされているナンバーですが、そのシナトラ以外にもビリー・ホリデイなどの名唱があり、歌でなくとも数々の名演も存在しています。
デックスのここでの演奏は同曲の、60年代におけるテナー・サックスの一大名演となっており、本作の聴きどころともいえます。
ピアノのブルーなイントロに導かれ、デックスが情感たっぷりにテーマを歌い上げ始め、アドリブ・フレーズも交えながら、じっくりと聴かせてゆきます。続いてフレディ・ハバードがデックスの雰囲気そのままにソロをつないでゆき、ロングトーンを中心とした展開で進行しますが、中間部のコード進行のところからソロがデックスにバトンが渡り、味のあるプレイを繰り出してゆきます。やがてテーマに回帰し、余韻をたっぷり残しつつエンディングを迎えます。
他の曲で聴かせる堂々たるハードバップ然としたデックスのテナーもお薦めの本作ですが、このバラード演奏での捨てがたい魅力も知っておきたいところです。
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2022年11月18日 10:00