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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.301

ジョー・ヘンダーソン『インナー・アージ』(1966)

JH

ジョー・ヘンダーソン(ts)
マッコイ・タイナー(p)
ボブ・クランショウ(b)
エルヴィン・ジョーンズ(ds)

1964年11月30日、ニュージャージーにて録音

曲目:
01.インナー・アージ
02.アイソトープ
03.エル・バリオ
04.ユー・ノウ・アイ・ケア
05.ナイト・アンド・デイ

【アルバム紹介】
1.独特の個性を放った名テナー・マン、ジョー・ヘンダーソンのリーダー・アルバム
2.ブルーノート4作目、ワン・ホーン・カルテット編成
3.ピアノにマッコイ・タイナー、ドラムスにエルヴィン・ジョーンズ

前回に続き、今回もブルーノートの名盤を取り上げます。レーベル創立85周年の一環です。
今回ご紹介するのは、独特の個性を放った名テナー・マン、ジョー・ヘンダーソンのリーダー・アルバムです。

ジョー・ヘンダーソンはブルーノートの名盤であるホレス・シルヴァーの『ソング・フォー・マイ・ファーザー』、リー・モーガンの『ザ・サイドワインダー』等にも参加しており、自身のアルバムでは初リーダー作となった『ページ・ワン』が有名で、いずれも60年代前半のレコーディング作であり、その充実したプレイが聴けます。本作はブルーノート・レーベルでは4作目のリーダー・アルバムで、ワン・ホーン・カルテットの編成で変化に富んだブロウが楽しめる一作です。

収録曲は、1曲目から3曲目までがジョー・ヘンダーソンのオリジナルで、4曲目はデューク・ピアソンのオリジナル、そして5曲目はコール・ポーター作曲による名スタンダードの“ナイト・アンド・デイ”となっています。
特筆すべきはメンバーで、この時期ジョン・コルトレーンのカルテットに在籍していた2人、ピアノのマッコイ・タイナー、ドラムスのエルヴィン・ジョーンズが参加しており、ベースにはソニー・ロリンズと共演していたボブ・クランショウが加わっています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
緊張感あふれる硬派なタイトル曲“インナー・アージ”。

アルバム・トップを飾るタイトル曲はジョー・ヘンダーソンのオリジナルで、ここでの演奏が初演となりますが、90年代以降に多くのジャズ・ミュージシャンが取り上げるようになったこともあり、いわばスタンダード化した一曲といってもよさそうです。
演奏は不穏なフレーズ&コード進行が印象的なテーマからいきなり始まります。テーマを提示し終わると、ボブ・クランショウのベースのソロへと移行します。この間のピアノは控えめなバッキング、ドラムスもやや抑えめですが、続いてジョー・ヘンダーソンのテナー・サックスのソロになると、音量も増し、ダイナミックに展開してゆきます。ジョー・ヘンダーソンは躍動するリズムの波に揺られるように、時に奔放になり、自在なブロウで次々とフレーズを発してゆきます。サックスのソロが終わると、マッコイ・タイナーのピアノ・ソロとなり、コルトレーン・カルテットでのリズム・セクションを彷彿とさせるプレイで魅了します。続いて、エルヴィン・ジョーンズのドラム・ソロが始まり、持ち味の圧倒的なドラミングで引っ張ってゆきます。その後、再びテナー・サックスによるソロが続き、やがてテーマに回帰し、熱気を内に秘めたまま、エンディングとなります。時間にして12分近い力演となっており、アルバムの1曲目らしい、インパクトのある演奏となっています。
ジョー・ヘンダーソンは60年代後半にブルーノ―ト・レーベルを離れると、マイルストーン・レーベルと契約し、70年代にはエレクトリック・サウンドを取り入れた音楽に取り組むようになりますが、続く80年代にはレコーディングこそ少ないですが、再びアコースティックなジャズに戻り、90年代にヴァ―ヴに移籍して発表したアルバム『ラッシュ・ライフ』は大きな話題となり、商業的にも成功し、グラミー受賞の栄誉をもたらしました。2001年に64歳で惜しくも亡くなりましたが、こうして残されたレコーディングで、あらためて聴き返してみると、独特の存在感を誇ったテナー・マンであったことがわかります。

国内盤UHQCD

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2024年11月08日 10:00