ベアトリーチェ・ラナ&ネゼ=セガン/クララ&ロベルト・シューマン: ピアノ協奏曲
ベアトリーチェ・ラナによる、ヤニック・ネゼ=セガン指揮&ヨーロッパ室内管弦楽団とのクララ・シューマンとロベルト・シューマンのピアノ協奏曲
これまでワーナークラシックスからリリースされたアルバムが全て世界的に評価を得ているピアニスト、ベアトリーチェ・ラナ。このアルバムでは、ヤニック・ネゼ=セガン指揮&ヨーロッパ室内管弦楽団とのクララ・シューマンとロベルト・シューマンのピアノ協奏曲を録音。
数多い若手ピアニストの中でも、とりわけ注目を浴びる1993年、イタリア生まれのベアトリーチェ・ラナ。これまでにもショパンやバッハ、ラヴェル、ストラヴィンスキー作品で見事な演奏を披露していますが、今作はヤニック・ネゼ=セガンが指揮するヨーロッパ室内管弦楽団をバックに、クララ&ロベルト・シューマンのピアノ協奏曲の演奏を世に問います。
彼女が「いろいろな意味で天才的作品」と呼ぶクララのピアノ協奏曲は、天才少女の名を欲しいままにしていたクララ13歳(当時はまだヴィーク姓)の作品。後に夫になるロベルトの手を借りてオーケストレーションを完成させたとはいえ、「10代の彼女が何の制約もなしにこの音楽を構想し、楽章と楽章の間に休憩もなく、途切れることのない協奏曲を作曲したことが魅力的」と語るラナの言葉そのもの。実際に聴いてみればおわかりの通り、単なる少女の作品と言った生易しいものではなく、激しい感情の流出と、装飾的なフレーズを持つ美しい旋律に満たされた聴きごたえのある作品です。
ラナはこの珠玉の作品と、ロベルトの協奏曲を並べることで、2人の関係に光を当てるだけではなく、クララがいかに才能に恵まれた音楽家であったかを音として証明しました。ラナはフレーズを歌わせるところは思い切りテンポを落とし、その思いをじっくり伝えています。またヤニック・ネゼ=セガンの指揮も彼女のピアノに寄り添うとともに、オーケストラパートのすみずみまでに光をあて、充実した演奏を聴かせます。最後に置かれた「献呈」はロベルトからクララへの愛の贈り物。とはいえ、クララがロベルトと結婚しなかったら、その後の音楽史は違ったものになったのでしょうか・・・
2022年10月にニューヨークのカーネギーホールで行われた彼女の演奏について、New York Classical Reviewは、「この音楽をラナの演奏以上に聴くことは想像できないだろう。彼女は大きく丸みのある音を出し、すべてのフレーズを明確にすることに気を配り、どんなに速くても、どんなに緻密でも、音楽の優雅さと本質を語らせる」と、高評価をしています。
ワーナーミュージック・ジャパン取り扱い輸入盤のみ、日本語解説書・帯付き
日本語解説書には、相場ひろ氏により書き下ろし解説と、ベアトリーチェ・ラナとヤニック・ネゼ=セガンの対談の訳、オリジナル・ブックレットの作品解説訳を掲載
(ワーナーミュージック)
【曲目】
クララ・シューマン:ピアノ協奏曲第1番 イ短調 Op.7
ロベルト・シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
シューマン=リスト:献呈 S.566
【演奏】
ベアトリーチェ・ラナ(ピアノ)
ヤニック・ネゼ=セガン(指揮)
ヨーロッパ室内管弦楽団
【録音】
2022年7月8-10日
バーデン=バーデン祝祭劇場
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2022年12月09日 12:00