ウジェーヌ・ルフェーヴル、テシエ&アンサンブル・ルヴィアタンによる『18世紀フランス語圏のルソン・ド・テネブル』
[Château de Versailles Spectacles 公式チャンネルより]
「ルソン」の静謐な響きを、ヴェルサイユ宮殿に集うフランス最前線の俊才たちと
キリスト教社会で春の日曜日に祝われる復活祭に先立ち、救世主イエスが現世で十字架にかけられ苦しみぬいて絶命したことを思い返しながら、人類の罪深さを考え直す「聖週間」。バロック期のフランス語圏では、この時期の夜明け前に行われていた祈りの時間帯をずらし、日中に小編成の峻厳・清廉な音楽を通じて行うルソン・ド・テネブル(暗闇の朝課)の儀式があり、そのために書かれた楽曲が多く現存しています。
その特質上、華美な響きを避けてオルガン一つ、ないしそこに低音楽器を添える程度で独唱者が歌う小編成の音楽に仕上げられますが、ここではフランス古楽シーン最前線で活躍する若き名手たちが、バスーン、ヴィオール(ガンバ)、ヴィオローネ、チェロという4種の低音楽器を用い、クラヴサンやオルガンとともに、趣深いくすんだ響きで18世紀初頭の祈りの場を再現。
近年発見された手稿譜によるフォルクレ父子どちらかの組曲や人気作曲家ボワモルティエの名品編曲など器楽トラックも充実していますが、躍進めざましい独唱者ウジェーヌ・ルフェーヴルの温もり豊かな独唱がこれらの古楽器の響きと実によくなじむ一連のルソンは、演奏機会の少なさが不思議なほど魅力的に聴こえ興趣が尽きません。ブリュッセルのイタリア系作曲家フィオッコやブルゴーニュ地方ディジョンのジョゼフ・ミシェルなど、フランス王室に縛られない選曲で視野を広げてくれるプログラムも好感度大。ヴェルサイユ宮殿の小礼拝堂の穏やかな音響をよく捉えた自然派録音でお楽しみください。
(ナクソス・ジャパン)
『暗闇と深淵』~独唱と通奏低音によるルソン・ド・テネブル、18世紀フランス語圏から
【曲目】
エクトール=ジョゼフ・フィオッコ(1703-1741):
1-4. 第1の哀歌
ジャン=バティスト・フォルクレ(1699-1782) またはアントワーヌ・フォルクレ(1672-1744):
5-7. 三つのヴィオールのための組曲
ピエール=ルイ・ポリオ(1724-1796):
8-12. 『エレミア哀歌』による聖土曜日のための第1ルソン
ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエ(1689-1755):
13-16. 通奏低音を伴わない三つのフルートのためのソナタ (バスーン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロと通奏低音による演奏)
ジョゼフ・ミシェル(1688-1736):
17. エルサレム、エルサレムよ『高音部、チェロおよびバスーンと通奏低音による 聖週間第2日のための第3ルソン』より
ミシェル=リシャール・ド・ラランド(1657-1726):
18-22. 聖金曜日のための第3ルソン
【演奏】
ウジェーヌ・ルフェーヴル(ソプラノ)
アンサンブル・ルヴィアタン(古楽器使用)
カミーユ・デュポン(チェロ、バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
ジュリー・デサン(バス・ド・ヴィオール、ヴィオローネ)
クレマン・ジョフロワ(クラヴサン〔チェンバロ〕)
ロリス・バリュカン(オルガン)
リュシル・テシエ(バスーン、指揮)
【録音】
2022年5月2-4日、ヴェルサイユ宮殿プチ・トリアノン礼拝堂、ヴェルサイユ、フランス
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2023年02月03日 00:00