VOX AUDIOPHILE EDITION~スラットキン&セントルイス響/ガーシュウィン:管弦楽作品集 新リマスターで復活!
VOX AUDIOPHILE EDITIONシリーズ
ガーシュウィン生誕125周年。スラットキン&セントルイス響のヒット・アルバムが新リマスターで登場
ガーシュウィンの管弦楽作品の全貌がまだ広く知られているとは言えなかった1974年に、VOXはスラットキンとセントルイス響を起用してピアノを含む管弦楽作品をクアドラフォニック方式のLP3枚組のセットで発売。ノリ良く、精度の高い演奏により、ガーシュウィンのシンフォニックな作品の魅力を広く世に知らしめました。このCDにはそこから管弦楽作品を集めています(ソロ・ピアノをフィーチャーした作品集も続けてリリース予定)。
これらの作品にはオーケストラの中の楽器にソリスティックな見せ場が多々あり、広がりと奥行きを感じさせる音場の中にソロ楽器が浮かび上がるマーク・オーボートの録音マジックが一層の効果を挙げています。選曲・演奏・録音が揃った名盤と言えるでしょう。プロムナードではアンドレ・コステラネッツが使ったパート譜が使われています。
ブックレットには初出LPの解説書から該当作品の解説と7枚の写真が転載されています。
VOX AUDIOPHILE EDITION
マーク・オーボートとジョアンナ・ニックレンツのコンビElite Recordingsが制作した優秀録音をマイク・クレメンツが24bit/192kHzで新規リマスターするプロジェクト、VOX AUDIOPHILE EDITION. 去る2023年3月19日に亡くなったマーク・オーボートについて、レナード・スラットキンが次のようなコメントを寄せました。
「50年以上の長きにわたる録音歴において、マーク(・オーボート)以上のエンジニアはいませんでした。ジョアンナ・ニックレンツと組んだ録音は考えうる限り最高の仕上がりとなりました。私もオーケストラも、どんな小さなミスさえも見逃してもらえませんでしたから。とは言っても、マークは優雅で洗練され、ウィットがあって、魅力いっぱいの人物でした。最悪の事態に直面した時でも、常にパイプをくわえたまま確固たる態度で、しかし相手を立てて乗り越える術を心得ていました。マークと現場を共にした人、その仕事のクオリティを知る人ならば、録音エンジニアとして真っ先に名前が挙がるのは彼でしょう。」
(ナクソス・ジャパン)
ガーシュウィン:管弦楽作品集 スラットキン(指揮)
ジョージ・ガーシュウィン(1898-1937):管弦楽作品集
レナード・スラットキン(指揮)/セントルイス交響楽団
1. パリのアメリカ人(1925)
2. 子守歌(弦楽オーケストラ版 1920)
3. プロムナード(室内オーケストラ版 1937)
4. キューバ序曲(1932)
5-9. キャットフィッシュ・ロウ ~《ポーギーとベス》からの組曲
5. I. Catfish Row
6. II. Porgy Sings
7. III. Fugue
8. IV. Hurricane
9. V. Good Mornin', Sister
ジョン・コーマン(ヴァイオリン・ソロ)…2
ユアン・タン(チェロ・ソロ)…2
ジョージ・シルフィーズ(クラリネット・ソロ)…3
バーバラ・リーバーマン(ピアノ・ソロ)…5-9
デイヴィッド・モートランド(バンジョー・ソロ)…5-9
セントルイス交響楽団
レナード・スラットキン(指揮)
録音:1974年
1974年LP初リリース
総収録時間:65分
VOX AUDIOPHILE EDITION~エリート・レコーディングズ制作音源の最新リマスター・プロジェクト
1965年に創設され、自然な音場空間とクリアな音像の録音によって世界のオーディオ・ファイルたちを唸らせたエリート・レコーディングズ。彼らがVOXレーベルに残した録音から評価の高かったものを選び、24bit/192kHzでリマスターするプロジェクトが始動します。イギリスを代表する録音エンジニアの一人マイク・クレメンツがアナログ・マスターテープからのデジタル化を担当し、イギリスの大手録音プロダクションのK&A Productionsがマスタリングを行います。「自然でダイナミックで正確」(米Stereophile)と評されたエリート・レコーディングズの名録音が最新技術でリフレッシュされたシリーズはジャケット右上の「AUDIOPHILE EDITION」が目印です。
(ナクソス・ジャパン)
エリート・レコーディングズ Elite Recordings
スイス生まれのエンジニア、マーク・オーボート Marc Aubort が1965年に創設。アメリカ生まれのプロデューサー、ジョアンナ・ニックレンツ Joanna Nickrenz を迎えてフリーランスの録音プロダクションとして活動し、このコンビで32年の間に600枚ほどの録音を制作しました。これらはVOX/Turnabout、VOX/Candide、Nonesuch、Vanguard、RCA、EMI、MMG、SONY、Reference Recordingなどからリリースされ、今もって名録音と評価されているものが多くあります。
マーク・オーボート Marc Aubort(1929-2023)
スイスに生まれ、1940年代にはヨーロッパで録音エンジニアとして活動を始めました。1958年にニューヨークに移住し、1958-65年にVanguardレーベルのチーフ・エンジニアを務めた後に独立し、1965年にエリート・レコーディングズを創設。
オーボートについてはアメリカのオーディオ系メディアが行ったインタビューが幾つかインターネットで読めます。基本的にはメイン・マイク2本で録音することを好み、その理由を「作曲者のイメージに最も近いはずだから」と答えています。
オーボートの録音は、左右のスピーカーの間にホールのような広がりと奥行きのある音場が感じられることが多く、MercuryのLiving Presenceなどに通じる臨場感があります。同時にオーケストラの各楽器の動きがマスの響きに埋もれないところも特徴です。米Tape Opとのインタビューで「ホールで言えば何列目あたりで聞こえる音をイメージしているのか?」と問われたオーボートは「4列目か5列目。だただし客席から10フィート(約3m)宙に浮いた所で、オーケストラを見渡すあたりになるだろう」と答えています。マイクについてはSchoeps社のコンデンサーマイクCM60を1960年代からずっと使い続けていたそうです。グラミー賞にノミネートされること18回、受賞2回。
ジョアンナ・ニックレンツ Joanna Nickrenz (1936-2002)
アメリカのシアトル生まれ。コンサート・ピアニストを目指して学び、ウィリアム・スタインバーグ時代のピッツバーグ交響楽団でピアニストを務めたことがあり、室内楽でも演奏しました。シェーンベルク:ナポレオン・ボナパルトへの頌歌の録音がきっかけで録音の仕事に興味を持ち、エリート・レコーディングズでマーク・オーボートのアシスタントとなり、間もなく録音プロデューサーと編集を任されることになりました。
ニックレンツは複雑なスコアの中のあらゆる音を聴きとってしまう能力でアーティストを驚嘆させ、”Ms. Razorears”(カミソリのような耳。今風に訳せば「神の耳」といったところでしょうか)と呼ばれました。オーボートはニックレンツを回想して「信じられない聴き取り能力。レジェンドだよ」と語っています。スクロヴァチェフスキやスラットキンをはじめ、録音に際してレーベルがどこであっても彼女をプロデューサーに指名した指揮者が少なからずいました。グラミー賞へのノミネートは実に18回を数え、受賞は4回。1984年にはスラットキン指揮のデル・トレディチ:夏の日の思い出(Nonesuch)で年間最優秀プロデューサーに選出。同部門で女性が受賞するのはグラミー賞史上初の快挙でした。
VOXレーベル
作曲家メンデルスゾーンの子孫ジョージ・メンデルスゾーン=バーソルディが1945年にニューヨークに創設したレーベル。レーベル名はラテン語の「声」から採られています。アルフレート・ブレンデルによるベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集をはじめ、オットー・クレンペラー、ヤッシャ・ホーレンシュタインらを起用したマーラーやブルックナー等の交響曲、当時としては斬新だったサティのピアノ曲全集、ダリウス・ミヨーが自ら指揮した交響曲全集、更には知られざる作曲家のシリーズ等を展開し、第2次大戦後のクラシック音楽レコードの活況に貢献しました。
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2023年05月12日 10:00