特集:孤高の女性シンガーソングライターたち 森田童子、佐井好子、浅川マキ、etc.
1960年代の日本に欧米から持ち込まれたフォーク・ミュージックが若者を中心に浸透するにつれ自分で作った歌を自ら歌う歌手、つまりシンガーソングライターも数多く登場しました。ここでは、その黎明期たる60、70年代にそのキャリアをスタートさせた日本の女性シンガーソングライターによる作品をいくつか紹介いたします。
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森田童子 『FM東京 パイオニア・サウンドアプローチ実況録音盤』
CD
アナログ盤
1975年にシングル「さよならぼくのともだち/まぶしい夏」でデビューした森田童子。サングラスとカーリーヘアという特徴的で謎めいた存在感で成熟期に入ったフォーク・シーンで異彩を放ちながら、同年リリースの『GOOD BYEグッドバイ』を皮切りに、『マザー・スカイ=きみは悲しみの青い空をひとりで飛べるか=』(76年)、『a Boy ボーイ』(77年)と、立て続けに傑作アルバムを発表していきます。本作は短くも濃密な森田童子のキャリアでも、充実期にあった1978年春、FM東京(現TOKYO FM)の人気番組「パイオニア・サウンドアプローチ」に出演した際の実況録音盤。ベスト的な選曲と繊細な歌唱と演奏、貴重なMCもそのままに、ファンならずとも必携のライヴ・アルバムです。
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佐井好子 『1976.6.29 ライブ・アット 京都山一ホール』
CD
アナログ盤
日本屈指の伝説的な女性シンガー・佐井好子の1976年ライブ音源。佐井好子は1975年にアルバム『萬華鏡』でデビュー。現在でも世界的に名盤と評価の高いセカンドアルバム『密航』を1976年7月に発表するが、この音源はそのアルバム発売直前の長尺ライブを録音したものである。2008年にライブ音源集『LIVE 1976/79』としてCDで発売された際にこの日の録音が7曲収録されているが、今回は演奏1曲目からラスト&アンコールまでの全17曲を完全収録。なんとアルバム『密航』収録曲を全曲演奏、さらに未発表曲やカバー曲も登場するという佐井好子ファン垂涎の豪華盤! (C)RS
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浅川マキ 『浅川マキの世界』
海外からも”発見”されてしまった漆黒の和シッド・フォーク。”クイーン・オブ・ダークネス”、浅川マキ。2010年に没するまでに数多くのアヴァンギャルドな作品を残した彼女の記念すべきデビュー作。プロデュースに天井桟敷の寺山修司が関わり、マヘリア・ジャクソンやビリー・ホリデイなどの黒人霊歌に影響を受けた唯一無二の世界観が横溢した漆黒の一枚。初期の代表曲①③や和レア・グルーヴとして有名な④など、近年リリースされた英Honest Jon'sの海外ベスト盤にも本作から5曲収録。初期の浅川マキを聴くならこの一枚。 (C)新宿店:TANAKAMAN
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金延幸子『み空』
金延幸子が1972年9月に発表したURC時代唯一のソロ・アルバム。澄みきった歌声と清冽なアコースティック・サウンドは女性シンガー・ソングライターの鑑となった。 (C)RS
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山崎ハコ 『人間まがい』
キャリア初期のスタジオ名作アルバムを初CD化。本作は、1979年に発表された通算5枚目のスタジオ・アルバム。『ちびまる子ちゃん』他でも紹介されてきた「呪い」を収録。 (C)RS
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五輪真弓『少女』
「名盤復刻」シリーズ。五輪真弓のデビュー・アルバム『少女』がBlu-spec CD2(高品質CD)で登場。「なわとび」「朝もやの公園で」「少女」他を収録。 (C)RS
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中山ラビ 『私ってこんな』
女性シンガー、中山ラビの、ユニバーサルミュージックが保有するオリジナルアルバムを最新リマスターにて再発。本作は1972年発売の1stアルバム。 (C)RS
バッキングは細野晴臣、洪栄龍、林立夫らが担当。
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谷山浩子 『ねこの森には帰れない』
「朝の扉をひらく時」「河のほとりに」などを収録した1977年発表のセカンド・アルバム。
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藤原秀子 『私のブルース +7』
五つの赤い風船の紅一点ヴォーカリスト、藤原秀子(フー子ちゃん)がURCに残した唯一のソロ・アルバムが発売。五つの赤い風船とはまたひと味違い、彼女のクールな側面が強調されている作品。 (C)RS
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中島みゆき 『愛していると云ってくれ 』
中島みゆき通算4枚目のオリジナル・アルバム。5枚目シングルで初のオリコン1位の大ヒット曲となった「わかれうた」、人気曲「化粧」、そして1981年TBSドラマ『3年B組金八先生(第2シリーズ)』第24話の伝説のシーンで使用され話題となった「世情」他、全9曲収録。アルバム収録ミュージシャンとして、ドラムにつのだひろ、ピアノに坂本龍一、ベースに後藤次利、パーカッションに斉藤ノブ等が参加している。 (C)RS
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渡辺真知子 『海につれていって 』
1978年5月2日に発売された、渡辺真知子のファースト・アルバムを高品質CD"Blu-spec CD2"で復刻。ヒット・シングル「迷い道」「かもめが翔んだ日」他を収録。 (C)RS
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門あさ美 『Fascination』
CD(紙ジャケット仕様)
Blu-spec CD2
1979年12月に発売されたファースト・アルバム。9月に先行発売されたデビュー・シングル「ファッシネイション」、アルバムと同時発売された2枚目のシングル「Morning Kiss」収録。全10曲中、インストゥルメンタル曲を除くすべてが彼女自身の作品(共作含む)で、いきなり実力を全開にしている。これは、彼女はデビュー当初からTVに出ない、コンサートも開かない、代わりに創作に専念してレコードをシッカリと作っていく、という方針を打ち出していたから。本作アルバム・ジャケットにもイラストを用い、音楽優先のイメージ戦略を貫いている。ところが、デビュー・シングルにあしらわれた彼女の艶っぽいフォトが一部で話題を呼び、"謎の美人シンガー"として注目されていくことに。このアルバムのキャッチコピーに掲げられた「ファッション・ミュージック」とは、"いつでも自分のそばに置いておきたい"と思ってもらえる音楽作りを目指すという意味を込めたもので、以後、学生や若いサラリーマンなどを対象にした、大人のアイドル的スタンスを築いていくことになった。
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八神純子 『思い出は美しすぎて 』
1974年第8回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会において「雨の日のひとりごと」で優秀曲賞、「幸せの時」で入賞を獲得。さらに、1975年第9回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会では「幸せの国へ」で優秀曲賞を受賞した、八神純子のファースト・アルバム。デビュー・シングル「雨の日のひとりごと」やセカンド・シングル「さよならの言葉」などの楽曲を収録。 (C)RS
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尾崎亜美 『PRISMY』
1978年リリースの通算4作目のアルバム。鈴木茂/坂本龍一/林立夫らティン・パン・アレー組や、オフコース のメンバーなどがバッキングを担当。作詞・作曲・編曲、全てを自らがこなすマルチな才能、コンテンポラリーなポップス指向が前面に押し出された完成度の高い楽曲群は、まさに"尾崎亜美ポップス"が完成した記念碑的作品。
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久保田早紀 『夢がたり 』
1979年にリリースされた、久保田早紀のファースト・アルバムがBlu-spec CD2で復刻。ミリオンセラーの大ヒットとなった「異邦人」他を収録。 (C)RS
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りりィ 『ダルシマ<タワーレコード限定> 』
ジャニス・ジョプリンを彷彿させるハスキー・ボイスで「心が痛い」「私は泣いています」などのヒット曲も残した女性シンガー・ソングライターの草分け的存在りりィのファースト・アルバム『たまねぎ』から1年2ヶ月の期間をおいて発表された名盤セカンド・アルバム。木田高介によるカラフルなアートロック的アプローチが冴える。りりィ初のヒット曲となった「心が痛い」を収録。
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広谷順子 『その愛に 』
広谷順子のデビュー・アルバム。1996年のCD選書で初CD化されるも、その後長らく入手困難だった名盤。全曲のアレンジを松任谷正隆が担当。名曲「古都めぐり」メロウ歌謡ボッサ「Last Scene…さよなら」ほか「Summer Moonlight」「朝もやの中で」メロウチューン満載のフィメール・シンガー・ソングライター傑作(全曲本人作曲)。 (C)RS
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吉田美奈子 『扉の冬 』
荒井由実『ひこうき雲』と双璧を成すSSWの名盤が新規リイシュー。シンガーソングライター/ソウルシンガーとして70年代から活躍し"恋は流星"夢で逢えたら"といった不朽の名曲を放つ一方で、山下達郎の初期楽曲の歌詞も手掛けていた吉田美奈子が1973年にリリースしたファーストアルバムが新規リマスタリングを施し高音質CD(UHQCD)でリイシュー。同年にリリースされた荒井由実『ひこうき雲』と双璧を成すと言っても過言ではない作品で、どちらも演奏を支えるのキャラメル・ママ(細野晴臣、松任谷正隆、鈴木茂、林立夫)。ゴスペルからの影響を感じさせる吉田美奈子の陰影のある歌とキャラメル・ママによるタイトな演奏は、50年近く経った今でもそのレベルの高さに圧倒させられる名作。
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大貫妙子『Grey Skies』
アナログ盤
Blu-spec CD
シュガーベイブ解散後、クラウン・レコードとソロ・アーティスト契約、1976年9月25日にリリースされた記念すべきファースト・アルバム。1976年6月~8月にかけて行なわれたレコーディングには、山下達郎、坂本龍一、矢野誠、ティン・パン・アレー(細野晴臣/鈴木茂/林立夫)らが参加。「愛は幻」、「約束」、「時の始まり」、「街」は、シュガーベイブが解散していなければ、セカンド・アルバムに収録されていただろう作品。
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矢野顕子 『JAPANESE GIRL 』
ユーミンと並ぶもうひとりの天才、矢野顕子の1stアルバム。リトル・フィートのメンバーがバックバンドで参加しアメリカで録音されたAMERICAN SIDE(1~5)、ティンパンアレーやムーンライダーズのメンバーが参加したJAPANESE SIDE(6~10)からなる全10曲。矢野顕子の故郷・青森の津軽民謡をベースにした(4)や青森の民謡を元にした(5)、ライブでも度々演奏される(3)など、矢野顕子の大胆で繊細な天性のボーカル表現とバンドサウンドがスリリングに融合し和とロックのクロスオーバーとして鳴らされる驚愕の一枚。 (C)新宿店:TANAKAMAN
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荒井由実 『ひこうき雲』
1973年発表のデビュー・アルバムをリマスタリングして再発売。アサヒ『旨茶』CMソング「きっと言える」「紙ヒコーキ」「ひこうき雲」他、全11曲を収録。 (C)RS
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掲載: 2023年06月26日 10:00