WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.244
ブッカー・アーヴィン『ストラクチュアリー・サウンド』(1967)
ブッカー・アーヴィン(ts)
チャールズ・トリヴァー(tp)
ジョン・ヒックス(p)
レッド・ミッチェル(b)
レニー・マクブラウン(ds)
1966年12月14日~16日、ロサンゼルスにて録音
曲目(オリジナルLP発売時):
01.バークシャー・ブルース
02.ダンシング・イン・ザ・ダーク
03.ストールン・モーメンツ
04.フラネス
05.ブーズ・ブルース
06.ユーアー・マイ・エヴリシング
07.ディープ・ナイト
08.A列車で行こう
【アルバム紹介】
1.パシフィック・ジャズ・レーベルでのリーダー・アルバム
2.豪放でパワフル、骨太なテナー・サックスのスタイル
3.メンバーは個性のある実力派ぞろいの顔ぶれ
テナー・サックス奏者が活躍する隠れ名盤、今回は60年代にパシフィック・ジャズ・レーベルに吹き込まれたブッカー・アーヴィンのリーダー・アルバムを紹介いたします。
ブッカー・アーヴィンは1930年にテキサス生まれのテナー・サックス奏者で、もともとトロンボーンを吹いていましたが、アメリカ空軍に入隊後にテナー・サックスを自己でマスターし、除隊後はバークリー音楽大学で学びました。そのキャリアで有名なのは1958年から参加し始めたチャールス・ミンガス・バンドでの活躍です。ミンガスの個性的な音楽を、豪放でパワフル、骨太なテナー・サックスのスタイルで支えました。
本作はプレスティッジでの数あるリーダー作に次いでリリースされたパシフィック・ジャズ・レーベルでの一品で、聴かせどころの多いハードバップ作になっています。
楽曲はランディ・ウェストン作の“バークシャー・ブルース”に始まり、スタンダード曲なども盛り込み、メンバーのチャールズ・トリヴァーやアーヴィン自身のオリジナルも含まれています。
トランペットのチャールズ・トリヴァーの他、メンバーはピアノに名手のジョン・ヒックス、ベースにはレッド・ミッチェル、ドラムスにレニー・マクブラウンという個性のある実力派ぞろいの顔ぶれです。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ハードバップ・テイストが渋く光る“ストールン・モーメンツ”。
この曲は、サックス奏者であり、作編曲家としても名を馳せたオリヴァー・ネルソンが作曲したナンバーで、数多くのミュージシャンに演奏されているスタンダード・ナンバーとしても知られる一曲です。
ブルーなピアノのイントロで始まり、ハードバップ・テイストが渋く光る2管によるテーマの提示があり、ブッカー・アーヴィンのテナー・ソロが始まります。フレージングは非常に饒舌で、音数も多く、巧みなブロウが炸裂します。続いて、チャールズ・トリヴァーのトランペット・ソロに移りますが、このソロも卓越した無駄のない節回しで魅了します。ソロが終わるとシンプルにテーマに回帰し、冒頭のピアノのリフを繰り返しつつ、フェイド・アウトとなります。
ブッカー・アーヴィンの力強い吹きっぷりはあまりにストレートで明快ゆえ、聴いていて気持ちがよくなりますが、それだけに稀有な存在だったとあらためて認識する次第です。本作以降もいろいろな活躍が期待される中、1970年に腎臓病のため、39歳の若さでその生涯を閉じました。
国内盤CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2023年09月08日 10:00