WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.248
ジャック・モントローズ『ジャック・モントローズ・セクステット』(1955)
ジャック・モントローズ(ts)
コンテ・カンドリ(tp)
ボブ・ゴードン(bs)
ポール・モアー(p)
ラルフ・ペナ(b)
シェリー・マン(ds)
1955年6月24日、7月6日、ロサンジェルスにて録音
曲目:
01.リッスン・ヒア
02.魅せられて
03.サム・グッド・ファン・ブルース
04.フールズ・ラッシュ・イン
05.スピークイージー
06.クレド
07.プリティ
08.ザット・オールド・フィーリング
【アルバム紹介】
1.パシフィック・ジャズ・レーベルに残された、名手ジャック・モントローズのリーダー・アルバム
2.テナー・サックスのみならず、アレンジでも非凡な才能を発揮
3.ウエスト・コースト・ジャズの実力派の面々が参加したセクステット編成
テナー・サックス奏者が活躍する隠れ名盤、今回はパシフィック・ジャズ・レーベルに残された、名手ジャック・モントローズのリーダー・アルバムを取り上げます。
ジャック・モントローズはウエスト・コースト・ジャズ・シーンで活躍したテナーマンですが、アレンジにも非凡な才能を発揮したことでも知られています。
1928年にデトロイトに生まれて、10代の時にローカルのダンス・バンドでサックスを独学で学び、その後、南カリフォルニアを拠点に活動するようになりました。そこで参加したバンドで本作にも参加しているバリトン・サックスの名手であるボブ・ゴードンに出会っています。
本作はスタンダード曲(2、4、8曲目)とそれ以外のジャック・モントローズのオリジナル曲で構成された内容になっており、メンバーはウエスト・コースト・ジャズの実力派の面々が顔をそろえています。編成は3管をフロントにおいたセクステットの形をとっており、アンサンブル面での妙味も十分楽しめるものです。なかでもバリトン・サックスのボブ・ゴードンのプレイが聴けるのが本作の魅力のひとつといえるでしょう。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
巧みなアレンジが光る名スタンダード“フールズ・ラッシュ・イン”。
1940年に書かれたこの曲はジョニー・マーサーが作詞、ルビー・ブルームが作曲のナンバーで、数々のアーティストによって歌唱・演奏されている1曲です。
ここではジャック・モントローズの巧みなアレンジが施された、テンポアップした解釈で聴かせています。
テーマは3管のアンサンブルによる変化に富んだ音の動きが見事ですが、テーマの提示が終ると、快速なスイング・ビートに乗ってテナー・サックスのソロが始まります。ジャック・モントローズのクールなトーンによるフレージングはウエスト・コースト・ジャズそのものの香りを伝えています。続いて、バリトン・サックスのソロ。ボブ・ゴードンによる伸びやかで爽快なフレージングが続きます。そしてトランペット・ソロが煌びやかなソロをきめ、ピアノのソロへと受け渡されてゆきます。その後再びアンサンブルによるテーマへ回帰し、そのままエンディングをむかえます。
セクステットの編成だとサウンドが重厚になりがちですが、ウエスト・コースト・ジャズ独特のライトさがここには広がっていて、どこか爽やかさを感じさせるものになっています。
本作で名プレイを披露している盟友のボブ・ゴードンですが、本作のレコーディング後、翌月である1955年8月に自動車事故によりこの世を去りました。まだ27歳という若さでした。
国内盤CD
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掲載: 2023年10月06日 10:00