WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.253
クレア・フィッシャー『ファースト・タイム・アウト』(1962)
クレア・フィッシャー(p)
ゲイリー・ピーコック(b)
ジーン・ストーン(ds)
1962年4月12日、14日、ロサンジェルスにて録音
曲目:
01.ナイジェリアン・ウォーク
02.トッドラー
03.ストレンジャー
04.アフターファクト
05.フリー・トゥー・ロング
06.ピース・フォー・スコッティ
07.ブルース・フォー・ホーム
08.アイ・ラヴ・ユー
【アルバム紹介】
1.クレア・フィッシャーの1962年、パシフィック・ジャズ・レーベルでのリーダー作
2.キャリア最初期にレコーディングされたピアノ・トリオ作
3.べ―スには名手ゲイリー・ピーコックが参加
今回ご紹介するピアノ・トリオ名盤はクレア・フィッシャーが1962年にパシフィック・ジャズ・レーベルに吹き込んだ一作です。
クレア・フィッシャーといえば、ピアニストというより、アレンジャーとしての認知度が高いイメージがありますが、ラテン系の数々の仕事や、ルーファスやプリンスといったアーティストたちとの共演がそう思わせるせいでしょう。
本作はキャリアの最初期にあたる時期にレコーディングされたピアノ・トリオ編成でのアルバムで、ベースにゲイリー・ピーコックが参加している点が注目です。どこかエヴァンス風なタッチも感じさせる品のいいピアノが特徴になっています。
楽曲は3曲(1、3、8曲目)を除いてすべてクレア・フィッシャーのオリジナル曲になっており、コンポーザーとしての一面も伺い知れるものになっています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
3拍子のキー・トラック“ナイジェリアン・ウォーク”。
この曲はクレア・フィッシャーのオリジナルではありませんが、本作を印象づけるキー・トラックに違いなく、この曲を聴けば、本作のカラーがつかめるといっても過言ではありません。
イントロはなく、哀愁のあるテーマ・メロディが3拍子のリズムに乗って奏でられます。テーマの提示が終わると、ソロに移りますが、丁寧にリズムに合わせたソロで進行してゆき、だんだん高揚していったところで、ベースにソロが渡されます。べ―ス・ソロが落ち着くと再びピアノが前面に出てきて、それが一段落するとドラムスのソロに移行します。その後、再びピアノがエモーショナルなプレイであおった後テーマ回帰し、エンディングとなります。
アルバム全体を通して聴いてみると、楽曲の統一感があり、非常に味わいの深い一作なのがわかります。発売当初はアメリカのジャズ誌ダウンビートで5つ星を獲得し絶賛されたというだけあります。
国内盤SHM-CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2023年11月17日 10:00