WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.256
ホレス・パーラン『ムーヴィン&グルーヴィン』(1960)
ホレス・パーラン(p)
サム・ジョーンズ(b)
アル・ヘアウッド(ds)
1960年2月29日、ニュージャージーにて録音
曲目:
01.Cジャム・ブルース
02.オン・グリーン・ドルフィン・ストリート
03.アップ・イン・シンシアズ・ルーム
04.レディ・バード
05.バグス・グルーヴ
06.星影のステラ
07.ゼア・イズ・ノー・グレーター・ラヴ
08.イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー
【アルバム紹介】
1.名手ホレス・パーランの1960年ブルーノート・レーベルでの初リーダー作
2.右手が自由に動かないハンデをものともしない独自のスタイル
3.オリジナルは1曲のみのスタンダード名演集
今回ご紹介するピアノ・トリオ名盤はホレス・パーランが1960年にブルーノート・レーベルに吹き込んだ初リーダー作です。
ホレス・パーランはブルーノート・レーベルのピアニストとしてはちょっと地味な存在ですが、独特のリズム感を持ったプレイ・スタイルは聴き応えがあります。バド・パウエルやアーマッド・ジャマルといったピアニストに影響を受けたと言われていますが、間の取り方などは特に後者の影響もありつつ、パーラン自身は幼少期にポリオを患い、右手が自由に動かないハンデを持っているために身に着けた独自のものとも言えそうです。
本作はブルーノートでの初リーダー作ですが、オリジナル曲は3曲目だけで、あとはスタンダード名演集ともいえる選曲になっています。ベースにはサム・ジョーンズ、ドラムスにはアル・ヘアウッドと実力派が顔をそろえています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
デューク・エリントンの名曲“Cジャム・ブルース”。
アルバムの1曲目に収録されているこの曲は天才デューク・エリントンが作曲した名ブルース・ナンバーで、テーマのメロディは2つの音(ドとソ)しか出てこないシンプルかつ奥深い名曲です。同じピアノ・トリオ編成での演奏では、レッド・ガーランドのアルバム『グルーヴィー』に収録されたものが有名です。
さてここでの演奏はいい感じのスイング・ビートに乗ってテーマ・メロディの提示がまず始まります。提示後、ソロに移りますが、流暢にソロ・フレーズを弾きとばす、というより、リズム的なアプローチでどんどん盛り上げてゆきます。最高潮に達したところでテーマに回帰し、エンディングへと向かいます。タイトルの『ムーヴィン&グルーヴィン』の名の通りのスインギーな名演になっています。
ホレス・パーランは本作の後ブルーノート・レーベルでトリオ編成やクインテット編成といった意欲的なリーダー作をリリースしてゆきますが、70年代になると活動拠点をデンマークのコペンハーゲンに移し、現地のレーベル、スティープルチェイスから数々のリーダー作をリリースしており、以降も活動を続け、2017年に糖尿病等複数の病気のため、デンマークで亡くなりました。86歳でした。
国内盤SHM-CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2023年12月08日 10:00