モンテブニョーリが1803年製エラールのために編曲&演奏/ベートーヴェン:交響曲第3番“英雄”(ピアノ独奏版)
1803年製エラールのために新たに編曲した《エロイカ交響曲》 のピアノ独奏版!
ベートーヴェンは1803年にエラール・フレール(エラール社)から贈られた新しいフランス製ピアノに出会い、これまで主に演奏してきたウィーン製ピアノとの大きな違いにも衝撃を受け、《ワルトシュタイン》や《熱情》などの傑作を生み出しました。また、ベートーヴェンに師事するためにウィーンに訪れていた19歳のフェルディナント・リースは、1803年10月にベートーヴェンが新しく作曲されたばかりの交響曲(第3番 《英雄》)を、自分のために弾いてくれたと10月22日に書いた手紙に残しています。
このアルバムは、リースが「その演奏で天も地も震えるに違いない」とその衝撃を表した歴史的場面にインスピレーションを得て製作されました。ルーカ・モンテブニョーリは、ベルギーの優れたピアノ製作者クリス・マーネが復元した、ベートーヴェンが所有していた1803年エラール製ピアノのレプリカを使用し、このピアノに合わせて、まったく新しいアレンジによるピアノ独奏版を創り上げました。ベートーヴェンの交響曲のピアノ版といえば、有名なフランツ・リスト編の他、フンメル、ツェルニー、カルクブレンナー等様々な編曲もありましたが、「エロイカ×エラール」という斬新な切り口で取り組まれた新たなピアノ版「英雄」にご注目ください。
同レーベルからリリースされたトム・ベギンのアルバム「ベートーヴェンと彼のフレンチ・ピアノ」(EPRC0036)では、同じエラール1803のレプリカを使用してベートーヴェンのピアノ作品とともに、同時代のダニエル・シュタイベルトとルイ・アダン(ジャン=ルイ・アダン)のピアノ・ソナタを収録していましたが、今作では、シュタイベルトが編曲したハイドンの「天地創造」序奏、ルイ・アダンが編曲したグルックの「精霊の踊り」などが収録されている点も興味深いポイントです。
ルーカ・モンテブニョーリはイタリアのピアニスト兼フォルテピアニスト、そして多才な演奏家、教師、研究者として活動しています。ローマのサンタ・チェチーリア音楽院でモダン・ピアノを、パリ国立音楽院とソルボンヌ大学でピリオド・ピアノを学び、欧州各国でソロおよび室内楽のリサイタルを行ってきました。柔軟な編成の古楽器グループ「アンサンブル・ヘキサメロン」を設立し、こちらでも室内楽版の英雄交響曲等を演奏。パリ地方音楽院やパリのボビニー音楽院でピアノとフォルテピアノの教授を務めています。
(東京エムプラス)
解説日本語訳&日本語曲目表記オビ付き/解説:ルーカ・モンテブニョーリ(日本語訳:SOREL)
【曲目】
ハイドン:オラトリオ 《天地創造》 Hob.XXI:2より 序奏 混沌の描写, ラルゴ(ダニエル・シュタイベルト編曲)
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 Op.55 《英雄》(ルーカ・モンテブニョーリ編曲)
グルック:歌劇 《オルフェオとエウリディーチェ》 Wq.41より 第2幕 第2場 聖霊の踊り, アンダンテ・グラツィオーソ(ジャン=ルイ・アダン編曲)
歌劇 《エコーとナルシス》 Wq.47より プロローグ 第2場 ダンスのアリア ― 悲しみのアリア, アンダンテ・グラツィオーソ
第3幕 第5場 ダンスのアリア, アレグロ・ヴィヴァーチェ(ジャン=ルイ・アダン編曲)
【演奏】
ルーカ・モンテブニョーリ(フォルテピアノ)
使用楽器:ベートーヴェンが所有したエラール・フレール1803年パリ製のレプリカ(クリス・マーネ2016年ロイセレデ製)
【録音】
2023年6月13日-15日、ブリュッヘ・コンセルトヘボウ室内楽ホール(ベルギー)
カテゴリ : ニューリリース | タグ : BEETHOVEN 2020
掲載: 2024年01月10日 00:00