WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.274
デイヴ・ブルーベック『エニシング・ゴーズ』(1967)
デイヴ・ブルーベック(p)
ポール・デスモンド(as)
ジーン・ライト(b)
ジョー・モレロ(ds)
1965年12月8日、1966年2月17日録音
曲目:
01.エニシング・ゴーズ
02.ラヴ・フォー・セール
03.ナイト・アンド・デイ
04.恋とは何でしょう
05.アイ・ゲット・ア・キック・アウト・オブ・ユー
06.ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス
07.ユー・アー・ザ・トップ
08.オール・スルー・ザ・ナイト
【アルバム紹介】
1.デイヴ・ブルーベック・カルテットの1967年リリースの逸品
2.50年代から続いたレギュラー・カルテットとしての最後のスタジオ・レコーディング作
3.ジャケ買いを誘う美脚ジャケ
今回取り上げるのは、名ピアニスト、デイヴ・ブルーベックが自身のカルテットでレコーディングした逸品です。
デイヴ・ブルーベック・カルテットといえば、誰もが知っている5拍子の名曲“テイク・ファイヴ”の名演で知られた存在ですが、本作は全曲スタンダード・ナンバーで、数多くの名曲を世に送り出した作曲家コール・ポーターの楽曲を取り上げた内容になっています。
メンバーは気心知れた顔ぶれ、アルト・サックスにポール・デスモンド、ベースにジーン・ライト、ドラムスにジョー・モレロの面々で、本作はこのメンバーでの最後のスタジオ・レコーディングでもあります。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
快速にスイングする“ナイト・アンド・デイ”。
邦題は“昼も夜も”というタイトルのこの曲はコール・ポーターが1932年にミュージカル『陽気な離婚』のために書いた1曲で、フレッド・アステアが歌ったことで知られていますが、その後ジャズのスタンダード曲となり、多くのジャズ・ミュージシャンの演奏があります。
ここでのデイヴ・ブルーベックの演奏は快速なスイング・ビートを基調としたアグレッシヴな解釈になっています。イントロから躍動的なリズムの上をポール・デスモンドのクールなサックスがつつくようなフレーズで入ってきて流れに乗ってテーマ・メロディを奏でてゆきます。その後ソロへと移行し、多彩なデスモンド節で魅了します。続いて、デイヴ・ブルーベックのピアノ・ソロに移り、勢いよく次から次へと変化に富むフレーズを繰り出しつつ、いつのまにか、少しだけテーマに戻りますがデスモンドはここではお休み、そして徐々に音量をさげてゆき、エンディングらしいエンディングがないまま演奏を終えます。この曲に限らず、他の曲でも抜群の相性がなせるカルテットの見事な演奏が聴けます。
なお、デイヴ・ブルーベックといえば、”テイク・ファイヴ“を収録した傑作アルバム『タイム・アウト』が代表作として有名ではありますが、本作は印象的な美脚ジャケであるがゆえ、ひそかに人気も高く、ジャケ買いしたくなるジャズの隠れ名盤といえそうです。
国内盤Blu-spec CD2
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2024年05月03日 10:00