WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.277
J.J.ジョンソン『ブルー・トロンボーン』(1957)
J.J.ジョンソン(tb)
トミー・フラナガン(p)
ポール・チェンバース(b)
マックス・ローチ(ds)
1957年4月録音
曲目:
01.ハロー・ヤング・ラヴァーズ
02.ケヴ
03.ホワッツ・ニュー
04.ブルー・トロンボーン (パートI)
05.ブルー・トロンボーン (パートII)
06.風と共に去りぬ
07.100プルーフ
【アルバム紹介】
1.名トロンボーン・プレイヤー、J.J.ジョンソンの1957年のアルバム
2.トロンボーンの演奏とは思えない速いパッセージをテクニカルにプレイ
3.豪華メンバーによるワン・ホーン・カルテット編成
今回取り上げるのはトロンボーン奏者。モダン・ジャズ・シーンの中でひときわ異彩を放った名プレイヤー、J.J.ジョンソンのアルバムを紹介します。
J.J.ジョンソンは1924年生まれなので、2024年は生誕100年の記念年にあたります。9歳の時にピアノを演奏するようになり、トロンボーンを手にしたのは14歳になった頃でした。プロとしてのキャリアは40年代に入ってからで、カウント・ベイシー楽団にも在籍、その後、ディジー・ガレスピーやチャーリー・パーカーらビバップの大物たちとの共演で、トロンボーンという楽器の特性上、演奏するのが難しい速いパッセージをプレイするテクニックを身につけ、モダン・ジャズのトロンボーンの一つのスタイルを作り上げました。
本作は1957年にコロムビア・レーベルに吹き込まれた一作で、ピアノに名盤請負人ことトミー・フラナガン、ベースにレジェンド、ポール・チェンバース、そしてドラムスに名手マックス・ローチと豪華メンバーによるワン・ホーン・カルテットの編成になっています。
楽曲はスタンダード3曲(1、3、6)と他は自身のオリジナルという構成です。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
爽快にスイング“ハロー・ヤング・ラヴァーズ”。
この曲はリチャード・ロジャースが作曲、オスカー・ハマースタイン2世が作詞をした人気ミュージカル『王様と私』の中の1曲で有名なナンバーで、フランク・シナトラ、ペリー・コモらの歌唱のバージョンなどがよく知られています。ここでは快速で爽快なスイング・ビートに乗った演奏で聴かせます。
ピアノの短いリズミカルなイントロの後、J.J.ジョンソンのトロンボーンが朗々とテーマを奏でてゆきます。ソロに移ると、神業ともいえる細かく音が動くプレイを要所要所に盛り込み、表情豊かに展開します。一段落するとソロはトミー・フラナガンのピアノに移り、渋いフレージングで魅了します。やがて、テーマに回帰し、その勢いのまま、ストレートにエンディングをむかえます。
ジャズの世界ではサックスやトランペットが管楽器の主流ではありますが、そんな中でトロンボーンが主役のアルバムを聴いてみると、どこか新鮮な印象を受けると同時に、その楽器の持つ新たな一面を知ることが出来ます。卓越したジャズ・トロンボーンを存分に堪能するには、本作はうってつけの一枚でしょう。
国内盤Blu-spec CD2
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2024年05月24日 10:00