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藤本タツキの世界観が爆発!最高傑作「ファイアパンチ」を振り返る

ファイアパンチ

全米でも映画化が大ヒットした藤本タツキの「ルックバック」。2024年12月29日、30日の「コミックマーケット105」にて原画集が先行販売され、2025年1月20日には一般発売も決定している。藤本タツキの代表作といえば「チェンソーマン」や「ルックバック」を思い浮かべる人が多いかもしれないが、ファンの間で“最高傑作”と評価が高いのが「ファイアパンチ」だ。

●グロテスクな描写で優しさが際立つ

「ファイアパンチ」は「週刊少年ジャンプ」発の漫画アプリ「少年ジャンプ+」にて、2016年から2018年まで連載されていた作品。8巻で完結している。

度々“映画のような漫画”と言われる藤本作品だが、実はファイアパンチの頃から“映画”を意識したマンガづくりがおこなわれており、特に第1話でタイトルが挿入されるシーンは“タランティーノ映画”を意識しているそうだ。

またチェンソーマンでもおなじみの“グロテスクな描写”や“痛々しい描写”も「ファイアパンチ」の頃から見られるが、グロテスクな描写をするのには理由があるという。「コミックナタリー」のインタビューによると、藤本は“僕はきれいな部分とか、優しいものを描くなら残酷な部分を描かないといけないと思っている”“そのほうが優しい部分に触れた時に、映えるじゃないですか”とコメントしており、グロテスクな描写は作品の世界観を伝えるために必要なことだと語っていた。

「ファイアパンチ」の主人公は題名の通り身体が炎に包まれているが、痛みを感じないわけではない。むしろ肉体が焼ける苦痛を常に感じており、自身の持つ“再生能力”のせいで死ぬこともできないという痛々しい設定になっている。

なかなか他の作品にない設定だが、さらに驚くべきは章によって全く別のジャンルのマンガのようになっているという点だ。というのも藤本は物語が展開される中で、読者が予想していた展開からまったく別方向へ進んでいくマンガを作りたいと思っていたそう。

当時の「週刊少年ジャンプ」副編集長が“タブーを全部入れしてる”と評したこともある「ファイアパンチ」を足がかりに、藤本作品をコンプリートしてみてはいかがだろうか。

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タグ : レビュー・コラム

掲載: 2025年01月08日 11:50