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新ドラマ主題歌も書き下ろし!“文筆家・星野源”のエッセイで赤裸々に紡がれる言葉たち

星野源

1月14日からスタートしたドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』。主題歌に星野源の楽曲『Eureka』が起用されており、久しぶりとなる星野源のドラマ主題歌に喜びの声をあげたファンは多いだろう。

星野源といえばドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』などの俳優活動に加えて、文筆活動も評価が高い。雑誌「ダ・ヴィンチ」では、心の機微を繊細に綴ったエッセイ「いのちの車窓から」を連載。単行本はシリーズ累計60万部を突破している。そこで今回は、“作家”としての星野源の活動を振り返っていこう。


●結婚前に新垣結衣に向けて綴っていた言葉
「いのちの車窓から」の連載が始まったのは2014年。つまり2016年10月期のドラマ『逃げ恥』以前のことで、当然ドラマで共演した新垣結衣との結婚よりも前になる。エッセイはドラマ放送後の2017年に最初の単行本を刊行。共演者だった新垣について、星野源が言及した回を収録しているという意味でも貴重だろう。

来る日も来る日も撮影があり、夫婦という設定から二人だけのシーンが多く、いつも一緒にいるけれど、一日に一回はこの人は素敵だと思う場面がある。

「いのちの車窓から」より

星野源いわく、ある日の撮影で自身の小道具の眼鏡に指紋がついてしまったという。持道具スタッフを探そうと顔を上げたところ、隣にいた新垣結衣が既に持道具スタッフを手招きしていたという。10代から活躍していながらおごることなく、誠実で周囲に目を配る気遣いも持つ新垣結衣。そんな“未来の伴侶”に向けて、

あなたは本当に素敵な、普通の女の子である。

「いのちの車窓から」より

と綴っていた星野源の言葉に、胸をくすぐられずにはいられない。

有名人にまつわるエピソードでは、大泉洋の回にも注目してほしい。大泉洋は星野源との初対面時に「君みたいなやつが売れるのをよしとしない」と言い、芝居でも音楽でも星野源の活動を全力で阻止していくと宣言したそうだ。実際に大河ドラマ『真田丸』での共演時、大泉は撮影の合間にずっと冗談を交えて話しかけてきたが、事務所の先輩でもあるため星野源は「黙っててください」とは言えなかった。

一方で深夜に食事できる店を一緒に探してくれたり、モノマネを振れば即座にノリノリで返してくれたりと、星野源が振り返るたびに大泉洋の優しい一面が思い出されていく。大泉から愛されていることに気づいた星野源がラジオで紹介したところ、『真田丸』の現場で大泉洋からリアクションがあったという。

「聞いたよ。ラジオで僕のこと話してくれたらしいね」
「あ、話しました」
「じゃあ、リスナーが喜ぶように、もっといじめないといけないねえ」
そのいじわるな言葉を、なぜかとても嬉しく感じた。

「いのちの車窓から」より

●『恋』の特大ヒットで“おかしく”なっていた
2024年9月には「いのちの車窓から 2」が刊行され、2024年のブレイク女優・河合優実やテレビプロデューサーの佐久間宣行といった面々から絶賛の声が寄せられた。同書では売れっ子ゆえに笑顔の裏で抱えていた戸惑いや虚無感が赤裸々に綴られており、前巻よりもいっそう「星野源源のリアル」が垣間見える。

中でも『逃げ恥』の主題歌『恋』の特大ヒットにより、星野源の知名度が押し上げられたことで生活も一変してしまったというエピソードは衝撃的だ。ドラマ終了後の2017年から「おかしくなって」いき、何をしても悲しいとしか感じず虚空をぼんやり見つめるようになったというのだから、よほど追いつめられた精神状態だったのだろう。そんな星野源を救ったのが俳優・生田斗真であり、馬鹿な話も真剣な話もした2人きりのハワイ旅行が、星野源の病んだ気持ちを晴らしてくれたそうだ。

コロナ禍が星野源の楽曲制作に与えた“プラス”の影響も大きい。自粛期間中に“やりたかったこと”をやろうと星野源が始めたのが、キーボードと「DAW(Digital Audio Workstation)」を使った曲作り。パソコンでの打ち込みによる作曲は、星野源のスタイルを大きく変えたという。

面白くて仕方がない。作曲を始めた中学生の頃に戻った様にワクワクしながら、打ち込みと自宅での録音で作った『折り合い』という曲をリリースした。

「いのちの車窓から 2」より

星野源は、まさに自身を取り巻く環境と“折り合い”をつけたということなのだろう。

●“死の淵”からよみがえった思いを記したエッセイも
「いのちの車窓から」に限らず、星野源の作品には名著が多い。たとえば星野源にとって初エッセイとなった2009年刊行の「そして生活はつづく」には、「みんなばらばらでいいじゃないか」という言葉が記されている。“ばらばら”で思い出されるのは、2024年末の「NHK紅白歌合戦」でも注目を集めた2010年発表の楽曲『ばらばら』。星野源の場合、エッセイに綴った言葉がそのまま音楽活動に通じているのかもしれない。

その後、多忙な日々を描いた「働く男」を2013年に発売。2014年刊行の「よみがえる変態」では、くも膜下出血による闘病を経て“死の淵”から蘇った思いが綴られている。「よみがえる変態」には闘病期に病院で作詞したという『地獄でなぜ悪い』にまつわる項もあるので、楽曲制作の背景を知る上でもファンにとっては重要な1冊だ。

ミュージシャン、俳優、文筆家とまさにマルチな活躍を見せる星野源。エッセイなどの著書に綴られる言葉は、星野源というアーティストの“未来”を知る手掛かりとなるのではないだろうか。

タグ : レビュー・コラム

掲載: 2025年02月03日 12:00

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