実写ドラマ「秘密」スタートで再注目!少女漫画にSFを融合させた漫画家・清水玲子とは
過去にアニメ化や映画化もされている、清水玲子の大ヒット漫画「秘密 -トップ・シークレット-」。2025年1月には、板垣李光人と中島裕翔がダブル主演を務めるドラマ版の放送も開始している。清水作品は少女漫画とSFをうまくミックスしたものが多く、同作も生前の記憶を映像化できるMRI技術が用いられたSFサスペンス。一方で、少女漫画らしい複雑な人間関係もしっかり描かれている。
●美麗なイラストと重厚なSFストーリーの調和
清水作品の魅力を語る上で、まずは清水が描き上げる美しく繊細な絵柄は外せない。漫画家の浦沢直樹がプレゼンターを務めるドキュメンタリー番組「浦沢直樹の漫勉」でも、「絵の風通しがいい」「『ハードな話だから、このぐらい軽さを持っていないと』というところも、センスが表れる」と絶賛されている。
過去にもクローン技術が題材の「輝夜姫」や人魚族を描いた「月の子 MOON CHILD」など、数々のヒット作を生み出してきた清水。いかにも少女漫画らしいタッチでキャラクターが描かれる一方でグロテスクな描写もみられるなど、意外に重厚でハードな内容が多いというのも清水作品の特徴だ。とはいえ読者からは「ショッキングな描写もあるのに絵がきれいだからどんどん読み進められる」と評価する声も寄せられている。
また、飛躍しすぎないSF設定も清水作品ならではの魅力。MRI技術やクローン技術などは、誰もが聞いたことがあるだろう。身近な要素をフィクションとして取り入れることで、読み手も小難しさを感じることなく、すんなりと世界観に没入できるのではないか。
「秘密 -トップ・シークレット-」では、第1話にあたる「1999」からアメリカ大統領が刺殺されるという事件が発生。犯人を特定すべく、大統領が生前に見ていた映像を探ろうと始まるのがMRI捜査だ。科学的なセリフの応酬が繰り広げられるも、取っつきにくさを感じさせないところにも清水の手腕を感じるはず。
また、SF的な技術を導入していながら、人物の背景に深みを持たせている点にも注目してほしい。大統領が死の直前にみせた不可解な行動からたどっていく真相は、清水の美麗なタッチもあって耽美的ですらある。
1999年に連載が開始された「秘密 -トップ・シークレット-」は、2012年に完結。同年にはスピンオフ新シリーズ「秘密 season 0」がスタートし、現在も連載が続いている。メインキャラである薪と青木のコンビネーションも見どころなので、ドラマで気になった人はぜひ単行本でも楽しんでほしい。
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掲載: 2025年02月12日 11:00