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どの怪獣にもウルトラマンに勝てるチャンスはあったかもしれない!?『ウルトラマンA』の超獣たちはなぜ敗北したのか

ウルトラマンA大超獣図鑑

特撮といえば仮面ライダーや戦隊ものなどのヒーロー作品や、ゴジラを代表する怪獣シリーズの名が挙がるが、その中でもやはりウルトラマンシリーズは外せないといった人も多いのではないだろうか。1966年の初代『ウルトラマン』から現在まで続くシリーズの中でも、1972年の作品『ウルトラマンA(エース)』に登場する「ウルトラ怪獣」について隅々まで解説したのが「ウルトラマンA大超獣図鑑」だ。


●武器は詰め込めばいいというものじゃない
本書は『ウルトラマンA』に登場するウルトラ怪獣やウルトラマン、地球防衛隊「TAC」などの情報を網羅し、作家でUMA研究科の中沢健の解説と共に徹底分析したもの。ちなみにシリーズに「ウルトラマン大怪獣図鑑」「ウルトラセブン大侵略者図鑑」「帰ってきたウルトラマン大怪獣図鑑」があり、本書はシリーズ4冊目となる。

各怪獣(物語内では“超獣”)のページには攻撃力や能力などのパラメーターの他、物語にどう関わりどう倒されたかなどの情報や「足形」までが紹介されており、非常に読み応えのある一冊だ。

とくに本書が興味深いのは、ウルトラマンとの戦いを分析している点だろう。例えば第1話に登場する超獣「ベロクロン」について。ベロクロンは「全身に武器を装備」「口からは超高熱の火炎を吐く」「体内で生成したミサイルを全身の突起や手の爪から発射可能」など、物凄いポテンシャルを秘めた超獣だ。

しかしウルトラマンAにはあえなく敗北。ベロクロンの戦いについては、以下のように分析がなされている。

全身兵器の超獣だが、A(エース)の素早さに翻弄されていた。武器の詰め込みすぎが動きに影響した可能性もある。

「ウルトラマンA大超獣図鑑」より

ちなみに超獣たちは地球征服を企む謎の生命体「ヤプール」によって作られている。ヤプールも良かれと思ってベロクロンに武器を盛りに盛ったのだろうが、それが裏目に出る結果となったようだ。

●頭脳プレイに特化していれば……
一角超獣「バキシム」は変身能力を持つ超獣で、人間の子どもに化けて暗躍した。非常に高い知能を持つ上に空間移動能力があり、兵器をものともしない頑丈な皮膚と高いジャンプ力を誇る優れた身体能力も持つ。

賢くて身体能力も高いバキシムが、なぜウルトラマンに破れたのか。

A(エース)との戦いでは、ほとんど攻撃が当たらず、一方的に攻撃を食らう展開に。(中略)バキシムは人間の姿に変身し、策謀をめぐらせていた時のほうが活躍が目立っていた。人間態のままでA(エース)に変身する前の北斗隊員や南隊員を襲ったほうが、チャンスがあったのかもしれない。

「ウルトラマンA大超獣図鑑」より

派手に暴れたかったのかも知れないが、せっかくの賢さを生かしきれなかったのが残念だ。

●ウルトラマンを圧倒した超人
ウルトラマンAをあと一歩というところまで追い詰めた「エースキラー」もまた、ヤプールが生み出した「超人」。ゴルゴダ星でウルトラ4兄弟を捕らえたエースキラーは、それぞれが持つエネルギーを奪いウルトラ4兄弟の必殺技を使いこなせるように。その強さは、エースと同等の能力を持つ「エースロボット」を一方的に破壊する程だ。

4兄弟を助けに来たエースとの戦いでもエースを圧倒するが、4兄弟が残ったエネルギーをエースに照射、そのエネルギーを集約した新技「スペースQ」で倒されてしまう。

せっかく4兄弟を捕らえていたのに、みすみすエースへの手助けを許してしまうとは……。ウルトラ兄弟の力を見くびり、4兄弟を処刑してしまわなかったことが敗因と思われる。

様々な能力や多彩な技で、ウルトラマンを苦しめてきたウルトラ怪獣たち。最後には地球を守るウルトラマンが勝つのはセオリーだが、「この能力を生かせれば勝てたかも」「あそこでもっと違う手を打っていれば」などと考えながら本書を読むと、より怪獣たちへの愛着が湧いてくるかも知れない。

タグ : レビュー・コラム

掲載: 2025年02月19日 21:30

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