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得体の知れない恐怖に魅了される!ホラー漫画家・伊藤潤二の美しくも恐ろしい作品群

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日本を代表するホラー漫画家のひとり、伊藤潤二。美しさとグロテスクさが絶妙なバランスで混在する伊藤の作品は、国内だけでなく海外でも高い評価を受けている。世界で最も権威のある漫画賞のひとつである、米国アイズナー賞を通算4度も受賞している伊藤の作品を改めて紹介したい。

●歯科技工士からホラー漫画家の道へ

もともと歯科技工士として働いていた伊藤が漫画家へ転身するきっかけとなったのは、朝日ソノラマから創刊された少女ホラー漫画雑誌「月刊ハロウィン」だった。同誌に「楳図賞」が創設されたことを知った伊藤は、ホラー漫画界の巨匠・楳図かずおに読んでもらいたい一心で作品を応募。投稿作である「富江」で佳作を受賞し、デビューを果たした。

デビュー作にして代表作ともなった「富江」は、何度殺されても復活する絶世の美女・富江が、虜にした男たちを次々と破滅へ追い込んでいく恐怖を描いた作品だ。伊藤の緻密なタッチと凄惨な描写が話題となり、1999年には富江役に菅野美穂を起用して実写映画化もされている。

その後歯科技工士を辞め、専業漫画家となってからも「首吊り気球」や「双一」シリーズ、「死びとの恋わずらい」など数々の名作を発表。1998年から「ビックコミックスピリッツ」で連載がスタートした「うずまき」も伊藤の代表作のひとつで、2000年に初音映莉子主演で実写映画化された際、人間が「ヒトマイマイ」と呼ばれるカタツムリに変貌してしまうなど、強烈なシーンが実写で表現され話題を呼んだ。

また実写化だけに留まらず、伊藤の作品はアニメ化もされている。2018年には「伊藤潤二傑作集」と「魔の断片」に収録された漫画を原作としたテレビアニメ「伊藤潤二『コレクション』」が放送され、2023には「伊藤潤二『マニアック』」がNetflixで世界独占配信。好評の声を受け、アニメ第3期となる「伊藤潤二『クリムゾン』」の制作も決定している。

そんな伊藤の「頭のなか」が垣間見える書籍が「不気味の穴 恐怖が生まれ出るところ」。多くの名作が生まれた背景や異次元の「発想法」、さらにキャラクターへの思いやテクニックなどが、余すところなく語りつくされた一冊となっている。同書と共に、伊藤の名作たちを今一度振り返ってみてはいかがだろうか。

伊藤潤二 コミックス

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タグ : レビュー・コラム

掲載: 2025年08月12日 17:26