『激ロック』スペシャルコーナー【10月レコメンドアイテム】

FALL OUT BOY / 『From Under The Cork Tree (20th Anniversary Edition)』
GENRE : POP PUNK, EMO2000年代ポップ・パンク/エモ・シーンを代表する名盤
『From Under The Cork Tree』の20周年記念盤!
2000年代のポップ・パンク/エモ・シーンを代表するバンドの1つ FALL OUT BOYのメジャー・デビュー作が、20周年記念盤として再リリース。収録曲「Sugar, We're Goin Down」や「Dance, Dance」は全米TOP10シングルとなり、翌年のグラミー賞最優秀新人賞にノミネートされているということだけでも、彼等が当時から頭一つ抜きんでた存在として異彩を放っていたことが分かる。そんな同作のもとの収録曲に加え、今回の記念盤には人気楽曲のライヴ・バージョン、そしてレア・トラックの「Start Today」(ハードコア・バンド GORILLA BISCUITSのカバー)も収録。彼等を長年支えた熱心なファンに刺さるのはもちろん、幅広い音楽ファンが彼等の魅力の源泉を改めて発掘することに繋がるだろう。
山本 真由【ライター推薦】
![]()
NINE INCH NAILS / 『Tron: Ares (Original Motion Picture Soundtrack)』
GENRE : INDUSTRIAL ROCK革新的なSF作品に相応しい
圧倒的迫力と存在感を放つ初サントラ
これまでも数多くの映画音楽を手掛けてきたTrent Reznor(Vo/Electronics/Gt)とAtticus Rossだが、意外にもNINE INCH NAILS名義で映画のサントラを手掛けるのは、今作が初となる。では、なぜ今作はあえてのNIN名義なのか。それは聴けば納得。一曲一曲がただの背景音楽ではなく、粒揃いで存在感があり、アーティストのオリジナル・アルバムとして成立する内容になっているからだ。特に映画の予告編にも使用されている「As Alive As You Need Me To Be」は、SF的な世界観にもぴったりの最高にクールでダンサブルで、ギンギンに尖りまくったクラブ・ナンバー。“トロン:アレス”が映像美の新時代を切り拓いたように、NINは今作で映画音楽を未知の領域へと発展させた。
山本 真由【ライター推薦】
![]()
I SEE STARS / 『The Wheel』
GENRE : POST-HARDCORE長い空白を経て、未来へと軌跡を刻む
約9年ぶりニュー・アルバム!
2025年11月に来日振替公演を控えたI SEE STARSの6thアルバム。エレクトロニコア・バンドとして頭角を現し、前作『Treehouse』で荒々しさを削ぎ落としたサウンドへとシフトした彼等。約9年ぶりとなるフル・アルバムは、コロナ禍や個人的な健康問題等、バンドを取り巻く苦難を反映したダークで混沌としたトーンを基調にしながらも、そのなかで光を見いだそうとするようなクリーン・ヴォーカルが映えた内容に。メンバー2人のおじの死を経て書かれ、エモーショナルに感情を爆発させるTrack.9や、ツアーで共演したPALAYE ROYALEを迎えた壮大なTrack.11等、ドラマチックなナンバーも胸を打つ。未来に続く旅路へと、彼等の車輪は再び回り始めた。
菅谷 透【ライター推薦】
![]()
AMORPHIS / 『Borderland』
GENRE : PROGRESSIVE METAL, MELODIC DEATH METALメランコリック・ヘヴィ・メタルの
巨匠によるビクター復帰第1弾!
メランコリックなメタル・サウンドで孤高の存在感を放つ、フィンランドが誇る大ベテランによる通算15枚目となるニュー・アルバム。今年で結成から35年という節目を迎え、本作では新たにデンマーク出身の名プロデューサー、Jacob Hansenを起用しており、豊富なキャリアに裏打ちされた安定感とフレッシュなサウンドが高次元で融合した音作りになっている。トレードマークとも言える悲哀を帯びたメロディの美しさ、ドラマチックなアンサンブルで魅せるAMORPHIS節が細部にまで刻み込まれた、独特のムードを存分に味わえる作品に仕上がった。アグレッシヴな要素はやや控えめながら、慟哭の美旋律を味わいたい方であれば間違いなく満足できるだろう。
井上 光一【ライター推薦】
![]()
ORBIT CULTURE / 『Death Above Life』
GENRE : MELODIC DEATH METAL, GROOVE METALモダン・メタル・シーンの未来を担う
スウェーデンの新星が日本デビュー!
“LOUD PARK 25”での初来日も果たし、現行メタル・シーンにおいて熱い注目を浴びているスウェーデン産4人組の、通算5枚目にして、日本デビューとなる最新作がリリースされた。磨き上げられた強固なアンサンブルと卓越したソングライティング・センスが織りなす、多彩な要素を落とし込んだアグレッシヴなヘヴィ・グルーヴと、スタジアム級のダイナミックでキャッチーなコーラス、シネマチックな音像で彩られた全10曲(※日本盤は11曲)はどれも粒揃いの出来栄えで、名盤の誉れ高い前作『Descent』(2023年)をも超える傑作と断言してしまおう。時代に流されない古き良きクラシカルな魅力を持ち合わせながら、ヘヴィ・メタルの“今”を感じ取れる強力な一枚である。
井上 光一【ライター推薦】
![]()
GOOD CHARLOTTE / 『Motel Du Cap』
GENRE : POP PUNKバンド史を振り返ることができるような
GOOD CHARLOTTE 7年ぶりのニュー・アルバム
GOOD CHARLOTTEが7年ぶりのニュー・アルバム『Motel Du Cap』をリリースした。単純に前作からスパンが空いたというだけでなく、ここ数年はライヴ等の目立った活動もほぼなかったため、今作で本当に久々にシーンにカムバックしたという形だ。全体的な音楽スタイルは、やんちゃなパンク・キッズだった彼等の初期のサウンドを思わせる、ピュアなポップ・パンクが占める。しかし各々の楽曲にちりばめられた様々なテイストには、これまでの彼等の音楽遍歴が垣間見え、また幅広い交流関係が、多彩でフレッシュなゲスト・アーティストの選出に活かされている。これ一枚でGCのバンド史を振り返ることができるような作品となった。
山本 真由【ライター推薦】
![]()
MOTION CITY SOUNDTRACK / 『The Same Old Wasted Wonderful World』
GENRE : EMO, POWER POPMOTION CITY SOUNDTRACK活動再開以来初のオリジナル・アルバム
色褪せない“グッド・メロディ無限製造機”っぷりが遺憾なく発揮された一枚
2016年のファイナル・ツアーに行けなかったことを未だに後悔している身としては、どれ程待ち望んでいたことか! 今作は、MOTION CITY SOUNDTRACKの活動再開以来初のオリジナル・アルバムで、実に10年ぶりの新作だ。完璧なデビュー・アルバム『I Am The Movie』(2003年)を発表して以来、“これ以上はないんじゃないか”というファンの期待をいい意味で裏切り、更新し続けてきた彼等。切ない初期エモの様式美とMOTION CITY SOUNDTRACK らしさ全開のポップネスが調和した、噛めば噛む程味の出るタイプの先行シングル「She Is Afraid」をはじめ、全編にわたって色褪せないその“グッド・メロディ無限製造機”っぷりを遺憾なく発揮している。
山本 真由【ライター推薦】
![]()
SILVERSTEIN / 『Pink Moon』
GENRE : POST-HARDCORE結成25周年の節目を飾る2部作アルバムの後編
前編と異なるカラーを提示しつつ、バンドの核と呼べる要素は際立った作品
『Antibloom』に続く、結成25周年の節目を飾る2部作アルバムの後編。ストレートなラウド・ナンバーやヘヴィ・チューンのインパクトが強かった前編に比べると、今回はオルタナ/ポップ・パンク等の要素をさらに増幅させた印象で、Rory Rodriguez(DAYSEEKER/Vo)をフィーチャーしたドリーミーなTrack.3や、爽快なサウンドで女性ヴォーカルとの対比もユニークなTrack.6といった、新鮮さと懐かしさが共存する、色彩に富んだ楽曲を収録した。前編と異なるカラーを提示しつつ、美しいメロディや激しいスクリームといった両作品に共通するバンドの核と呼べる要素はしっかりと際立っているのが素晴らしい。それぞれ単体でも楽しめるし、両作を並べて聴くことでダイナミックな感動も味わえる。
菅谷 透【ライター推薦】
![]()
DANCE GAVIN DANCE / 『Pantheon』
GENRE : POST-HARDCORE変化に対する不安を見事に払拭する
DANCE GAVIN DANCE新体制初のアルバム
前作『Jackpot Juicer』がビルボードのトップ10入りを果たした一方で、リリースと前後してTim Feerick(Ba)が急逝、人気の立役者の1人でもあったTilian Pearson(Vo)が脱退したDANCE GAVIN DANCE。新体制初のアルバムとなった本作『Pantheon』は、変化に対する不安を見事に払拭する快作だ。ポップ/キャッチーからシリアス/ヘヴィまで目まぐるしくシフトするカオティックなサウンドはさらに振り幅を増しつつ、EIDOLAでも活躍するAndrew WellsのハスキーなクリーンVoが新鮮さをプラス。Jon Messのスクリームとの掛け合いもバッチリとハマっている。ファンク・シーンの重鎮 George Clintonとの大胆なコラボも含め、新時代の幕開けを力強く告げる一枚。
菅谷 透【ライター推薦】
![]()
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリー・マガジン、ポータル・サイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライヴ・イベント、24年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷/新宿/下北沢に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」、また渋谷にあるロック・ファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営等、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティヴ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2025年10月27日 11:10
