トミーザグレイト
フィッシュマンズ以降の世代が紡ぐロッキンでスピリチュアルな〈歌〉──トミーザグレイト、『DANCE WITH ME...a man said』で発進!!
2003年2月のデビュー・ミニ・アルバム『初期デモ音源集』が耳の早い音楽ファンの間で話題を集めたトミーザグレイトがいよいよファースト・フル・アルバム『DANCE WITH ME...a man said』をリリースした。
そのサウンドはよく言われるようにフィッシュマンズの影響が色濃いが、そこに(わかりやすく言えば)ゆら帝的なサイケでガレージーなロックの要素やペイヴメントなどに通じるロウファイなテイストが塗り込められ、どこかいびつなポップ感覚を現出しているのがこのバンドの特色だ。
「トミーザグレイトをやるうえではフィッシュマンズの影響は大きいんですけど、このバンドをやる前に出てた高円寺の〈2000V〉とかで演ってたアンダーグラウンドな人たちとかにもすごい影響を受けて。KIRIHITOとか。あきらかに聴いたことないような感じで」。(大野彰男、ヴォーカル/ギター:以下同)
ポップな音像のなかを疾走するニューウェイヴ・ファンク的なギター・カッティング、突然ファルセットに転調する大野の予測不能のヴォーカリゼーションはこのバンドならではのスリル。表向きはフニャフニャしてるかもしれないが、そこにはスピリチュアルな意味でのロック魂がある。
「ロックってドキドキしたり楽しかったりワクワクしたりとか……そういうものなんで、それができてるかどうかわからないですけど、常にそうありたいなぁっていう」。
その意味でフィッシュマンズのなかでもとくにロッキンなアルバム『orange』の影響を指摘すると、こんな答えが返ってきた。
「『orange』含めた前後作がすごい好きです。『Neo Yankee's Holiday』と『空中キャンプ』。曲で言うと“ひこうき”“それはただの気分さ” “いかれたbaby”“新しい人”とかです」。
大野が投げる切実な歌詞にも、2003年にフィッシュマンズ被爆世代が紡ぐ〈歌〉としてのリアリティを感じる。それは以下の発言にも顕著な大野のキャラクターにも表れているだろう。
「けっこうみんなに冷めてるとか言われるんですけど……でもそんなことないんです(笑)。落ちるときは落ちますけど、そんなに深く考えてもしょうがないことをいつも考えてるんで、なんかそれにふと気付いて〈もういいやぁ〉っていう感じのリズムです」。
『DANCE WITH ME...a man said』から聴こえてくるそんなリズムに耳を澄ませてみてほしい。きっと病みつきになるだろうから。
▼ トミーザグレイトのファースト・フル・アルバム
1.風艶模様→フルレングス試聴♪
2.ロード<タノシイセカイ
3.トレモロ→フルレングス試聴♪
4.Tommy the 4
5.kim to kim→フルレングス試聴♪
6.七色=タイヨウ→フルレングス試聴♪
7.ブラックバス vs ターミネーター
8.UxAHxxx→フルレングス試聴♪
9.it's demo