古里おさむ
くるりに見出されたシンガー・ソングライター、満を持してのデビュー作
イラスト:ユタカ!サプライズ(subflex・コンコルド)
3月12日に、くるりが主催するレーベル〈NOISE McCARTNEY RECORDS〉からファースト・アルバム『ロードショー』をリリースしたシンガー・ソングライター、古里おさむ。ほぼ全ての楽曲が、プライベート色の強い宅録曲で構成されたこの作品は、シンプルで装飾を廃したアコースティックな曲を中心に全9曲が収録されている。ぽつねんとした孤独感が全体を覆いつつも、それを補うようにぬくもりやあたたかさが存在している彼の作風は、どうやらそのバック・グラウンドが強く反映しているようだ。
「20歳くらいの時に4トラックのMTRを買って。それから毎日日記みたいに曲を作っては録音してましたね。このアルバムも生活の延長というか、やっぱり日記に近いものだと自分では思っています」。
そもそも、彼が東京に出てきたのは約1年半前の話なのだそう。それまでは、スーパーカーを生んだ青森県八戸市で生活を送っていた。「まだ東京に来て日が浅いので、僕を構成しているものの8~9割は八戸で出来ています(笑)」と冗談めいて話していた彼だが、あながち冗談というわけでもなさそうだ。スケールは決して大きくないものの、しっかりと地に足が付いた歌。そこには、都会的な窮屈さとは違う、どこか牧歌的な時間の流れを感じる。
「曲から〈生活の匂い〉が伝わってこないと嫌なんですよ。僕は戦前ブルースを良く聴いていたんですけど、当時の録音技術だとどうしてもノイズばかりになってしまう。でも、そこには凄いリアルな〈生活の匂い〉を感じるんです。僕の曲に音数があまり入っていないのは、音の隙間から感じるものがあると思っていて。それが届けばいいな、と」。
アルバムのジャケットでイラストを描いているのは、〈上京して初めて会った友達〉だというユタカ!サプライズの手によるもの。古里の曲調から感じる、手作り感と日常風景がこのジャケットや、ライナーのイラストには集約されているかのようにマッチしている。
「ジャケットもそうなんですけど、アルバムに演奏で参加してもらったのは、ほとんど友達なんです。くるりがデモテープを募集しているっていう話も友達から聞いたんです。これまでいろんな所にテープを送っても聴いてもらえなかったんだけど、彼らは誠実だからきっと聴いてくれるだろうという話もその時に聞いて。でも、ラジオで僕の曲が流れた時は凄い恥ずかしかったですね(笑)」。
と、まあなんとも悠長な感じがするが、その奥にはしっかりとした決意があるのも確かだ。
「26歳になってから音楽をやるために東京にでてきたので、もう後戻りはできないな、という気持ちはあります。でも、自分はのんびりやれればいいかな、とも思っていて。(フォーク・インプロージョンなどの活動で知られる)ルー・バーロウみたいな。でも、あんなにだらけすぎなのは良くないかも(笑)」。
古里おさむ 『ロードショー』
1. 休日は雨 (フルサイズ試聴♪)
2. スターライト (フルサイズ試聴♪)
3. 博士
4. 波乗り
5. さいころ
6. 天秤
7. 外出前
8. ループ線
9. 大切なもの
古里おさむ出演イベント情報
3月24日(水) S.P.C connection@吉祥寺Star Pine's Cafe
出演:古里おさむ、edge、TSUNTA3、-ケシン-
料金:2,300円
問い合わせ:0422-23-2251(Star Pine's Cafe)
3月31日(水) 下北沢Club Que
出演:古里おさむ、サンダルバッヂ、東京ローカルホンク
料金:2,300円
問い合わせ:03-3412-9979(Club Que)
4月18日(日) TOWER RECORD新宿店インストア・イベント
入場:Free
※オリジナル特典あり
問い合わせ:03-5360-7811(TOWER RECORD新宿店)