carnival balloon
〈ゆるさ〉が魅力!? グッド・タイムなポップスを奏でる4人組
carnival balloon:左から北山ゆう子、北山昌樹、鈴木信大、内田晴元
70年代のアメリカン・ロックを基調としたグッド・タイム・ミュージックを、時にメランコリックに、時にグルーヴィーに響かせる4人組、carnival balloon。つじあやの、曽我部恵一、Cymbals、前園直樹など、数多くのアーティストのサポート・バンドとして彼らの名前を記憶している人もいるのかもしれない。結成以来約3年以上の時を経て、4月10日にようやくファースト・アルバム『songbird』がリリースされるというのだからそう記憶されるのも無理はない。メンバーの鈴木と北山に話を訊いた。
「結成したのは99年くらいかな? その時はライヴを何回かやりましたけど、それ以来carnival balloonとしての活動ってあんまりしてないんですよ(笑)。メンバー中の2人はFolk Flatという他のバンドをやってたり、それぞれ単独で他のアーティストのサポートをしたりしているんで。あとは普通に会社で働いているメンバーがいたりするし、意外と忙しいんですよ、僕ら(笑)」。(鈴木)
「去年は前園(直樹)君に勢いがあったからね。それを止めるのも悪いし、やれるときにやっておいたほうがいいだろうとは思ってバック・バンドをやっていた。うちらのバンドには〈俺が俺が!〉って前に出るキャラの人がいないからバック・バンドは結構合ってるのかもね。それがいいのか悪いのかはわからないけど(笑)」。(北山)
〈去年の活動の中心〉とメンバー自らが語るように、03年の彼らは前園直樹のバック・バンドとして、ライヴやシングル“すてきなあなたに”(大傑作!)のレコーディングに参加。この経験は、お互いにとって充分過ぎるほどにに刺激的だったようだ。
「前園君のバック・バンドをやったことが、このアルバムを作るきっかけにはなっていますね、良い影響を受けていると思います。それで僕らはこうやって30歳を超えてからファーストをやっとリリース。みたいなね(笑)。僕らはどこ行っても〈ゆるい〉って言われちゃうんですよ」。(鈴木)
文頭で触れたように『songbird』は、楽器構成やシャッフル感など、アメリカン・ロックの影響を色濃く見せている。しかし、その核にあるのがノスタルジーではないということは、本作を一聴するだけで歴然だ。“冬の散歩道”、“ロンサム・カウボーイ”で聴かせるナイーヴさ、“wouldn't it be nice”、“タイトルばかりの恋”が持つグルーヴ感。それら全てに、キラキラと輝く〈ポップス〉のエッセンスがまぶされている。彼らの持つ音楽的素養の幅は、とても〈レイド・バック〉という単語一つで表現しきれるものではないだろう。
「普通の人が聴いて、普通にいいと思われないと意味がないと思っているんです。ポップっていうのは、作品に限らず、ライヴだったり、僕らの活動全体で目指していることですね。アルバムも僕らが目指している〈ポップさ〉が良く出ているので、その辺は気に入ってます」。(鈴木)
インタビュー終了後、鈴木は「凄いファンでビデオを何本も見てる」という矢沢永吉の数々のエピソードを嬉しそうに語っていた。carnival balloonと矢沢永吉の間に音楽的共通点を見つけ出すことにはあまり意味がないとは思う。が、余計な含みもなく〈永ちゃんが大好き〉と語るそのてらいのなさにこのバンドの持つ大きな魅力が〈ゆるさ〉であることがなんだか理解できたような気がした。
carval balloon『songbird』
1. カントリー・ロード
2. wouldn't it be nice!(試聴する)
3. マヨネーズ・ストーリー
4. 冬の散歩道(試聴する)
5. タイトルばかりの恋
6. dawn
7. サンディエゴ・サンセット
8. ロンサム・カウボーイ